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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2010年第17・18号(医療機関向け情報)

第12巻第17号[宮崎県17週(4/26〜5/2)、全国16週(4/19〜4/25)]
第12巻第18号[宮崎県18週(5/3〜5/9)、全国17週(4/26〜5/2)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第17週、第18週の発生動向

【17週】
定点からの報告総数は1,217人(定点あたり35.4)で前週比88%と減少した。

増加した主な疾患は手足口病と流行性耳下腺炎で、減少した主な疾患は感染性胃腸炎であった。

細菌性髄膜炎1人が宮崎市保健所から報告された。患者は2ヶ月の女児。

【18週】
連休で医療機関が休みだった影響か、定点からの報告総数は882人(定点あたり26.2)で前週比74%と大幅に減少した。増加した主な疾患は水痘で、減少した主な疾患は感染性胃腸炎とA群溶血性レンサ球菌咽頭炎であった。

水痘の報告数は178人(4.9)で前週比111%と増加した。延岡(8.8)、日南(7.0)保健所からの報告が多く、警報レベルを超えている。年齢別では1歳から4歳で全体の約8割を占めた。

保健所別流行警報開始基準値超過疾患

【17週】

【18週】

全数把握対象疾患

【17週】

  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核2例が宮崎市保健所から報告された。
    • 80歳代の男性で肺結核。咳、呼吸困難がみられた。
    • 70歳代の男性で肺結核。咳、痰、発熱がみられた。
  • 3類感染症
    腸管出血性大腸菌感染症1例が都城保健所から報告された。2歳の女児で水様性下痢、血便がみられた。原因菌の血清型はO26(VT1産生)。
  • 4類感染症
    A型肝炎1例が宮崎市保健所から報告された。30歳代の女性で全身倦怠感、発熱、食欲不振、黄疸、肝腫大、肝機能異常がみられた。血清IgM抗体の検出。
  • 5類感染症
    報告なし。

【18週】

  • 1類〜5類感染症
    報告なし。

病原体情報(衛生環境研究所 微生物部)

細菌(平成21年5月11日までに分離同定)

ウイルス(平成21年5月11日までに分離同定)

報告なし。

全国第16週、第17週の発生動向

【16週】
定点医療機関あたりの患者報告総数は17.8で、前週比110%と増加した。増加した主な疾患は手足口病、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎で、減少した疾患はRSウイルス感染症と流行性耳下腺炎であった。

【17週】
定点医療機関あたりの患者報告総数は17.8で、前週比100%と横ばいであった。今週増加した主な疾患はヘルパンギーナと咽頭結膜熱で、減少した疾患は百日咳とRSウイルス感染症であった。

ヘルパンギーナの報告数は640人(0.22)で前週比138%と増加した。地域別では熊本県(1.5)、高知県(1.4)、香川県(0.86)からの報告が多く、年齢別では1歳から4歳で全体の約8割を占めた。

咽頭結膜熱の報告数は717人(0.24)で前週比120%と増加した。地域別では佐賀県(0.74)、新潟県・富山県(各0.66)からの報告が多く、年齢別では1歳から4歳で全体の約7割を占めた。

全数把握対象疾患

【16週】

  • 1類感染症
    報告なし
  • 2類感染症
    結核270例
  • 3類感染症
    細菌性赤痢2例、腸管出血性大腸菌感染症13例、腸チフス1例
  • 4類感染症
    A型肝炎15例、つつが虫病1例、デング熱3例、レジオネラ症2例
  • 5類感染症
    アメーバ赤痢7例、急性脳炎2例、クロイツフェルト・ヤコブ病3例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症4例、後天性免疫不全症候群12例、ジアルジア症1例、梅毒5例、破傷風1例、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例、風しん6例、麻しん12例

【17週】

  • 1類感染症
    報告なし
  • 2類感染症
    結核268例
  • 3類感染症
    細菌性赤痢4例、腸管出血性大腸菌感染症15例、腸チフス2例
  • 4類感染症
    A型肝炎3例、つつが虫病4例、日本紅斑熱1例、マラリア1例、レジオネラ症11例
  • 5類感染症
    アメーバ赤痢10例、ウイルス性肝炎1例、急性脳炎3例、クロイツフェルト・ヤコブ病2例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例、後天性免疫不全症候群12例、ジアルジア症5例、梅毒6例、破傷風1例、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例、風しん1例、麻しん10例

A型肝炎が増加

国立感染症研究所によるとA型肝炎罹患患者が3月以降全国的に増加していることが分かった。今回は広い範囲で集団発生が起きている可能性があるとして注意を喚起している。同症はA型肝炎ウイルスに汚染された水や食材を通じて感染し発症する。55歳未満では抗体(免疫)を持つ人が少なく、高齢者では重症化しやすいので予防のために魚介類の十分な加熱などの処置が望まれる。当県においても例年通年で1名くらいの患者数で推移していたが今年は今月初めで3名(内1名は外国での感染)になっている。

添付のグラフを見ると、患者は3月の上旬(10週)から増加し今月始めの17週までに全国で151名を数え、昨年の同期34名、昨年通年115名を大きく超えている。東京、広島、福岡などの大きな都市を中心に患者発生が多く見られる。現在の時点では原因食材としては「カキ」が半数近くを占めほとんどの例は国内での感染らしい。今後の患者数の推移に留意したい。

同症は、発熱、倦怠感、嘔吐、黄疸などの症状でかぜと紛らわしいことがある。特効薬はなく、通常は1〜2ヶ月で回復するがまれに劇症化する。今回も患者の内1名は死亡している。しかし肝硬変や肝ガンに進行することはない。潜伏期間は2〜7週と長い。予防としては、食品は85度以上で1分以上加熱する。調理器具や患者使用物の消毒は煮沸や次亜塩素酸ナトリウム(500〜5000pm)で行う。トイレの後、食事の前、料理を作るとき、オムツ替えの後、などには良く手を洗うことに留意する。症状などで心当りの場合は速やかに最寄りの医療機関の受診が望まれる。

医療機関におかれましては、患者発見の際は、遺伝子学的検査のために糞便などの検査材料が望まれており、保健所への届出と共に検査材料確保・提供に協力をいただきたい。

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