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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2010年第23号(医療機関向け情報)

第12巻第23号[宮崎県23週(6/7〜6/13)、全国22週(5/31〜6/6)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第23週の発生動向

定点医療機関からの報告総数は1,054人(定点あたり30.5)で、前週比98%とほぼ横ばいであった。

前週に比べ増加した主な疾患はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎と手足口病で、減少した主な疾患は感染性胃腸炎であった。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の報告数は76人(2.1)で前週比162%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(3.5)の約6割と少ない。延岡(8.5)保健所からの報告が多く警報レベルを超えている。年齢別では3歳から6歳で全体の約6割を占めた。

手足口病の報告数は207人(5.8)で前週比125%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(2.8)の約2倍と多い。日南(26.7)、都城(9.3)保健所からの報告が多く警報レベルを超えている。年齢別では1歳から3歳で全体の約7割を占めた。

保健所別流行警報開始基準値超過疾患

全数把握対象疾患

  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核5例が宮崎市(3例)、延岡・日南(各1例)保健所から報告された。
    《宮崎市保健所》
    • 70歳代の女性で肺結核。咳、痰がみられた。
    • 50歳代の女性で肺結核。咳、痰、発熱がみられた。
    • 50歳代の男性で肺結核。発熱、胸痛、血痰がみられた。
    《延岡保健所》
    60歳代の男性で肺結核。体重減少、栄養失調がみられた。
    《日南保健所》
    90歳代の男性で疑似症患者。咳、呼吸困難がみられた。
  • 3類感染症
    腸管出血性大腸菌感染症2例が宮崎市・延岡(各1例)保健所から報告された。
    《宮崎市保健所》
    50歳代の女性で無症状病原体保有者。原因菌の血清型はO157(VT2産生)。
    《延岡保健所》
    10歳代の男子で腹痛、水様性下痢、血便、嘔吐、発熱がみられた。原因菌の血清型はO157(VT2産生)。
  • 4類感染症
    報告なし。
  • 5類感染症
    報告なし。

全国第22週の発生動向

定点医療機関あたりの患者報告総数は18.3で、前週比101%とほぼ横ばいであった。今週増加した主な疾患は伝染性紅斑とヘルパンギーナで、減少した主な疾患は水痘であった。

伝染性紅斑の報告数は1,867人(0.62)で、前週比188%と増加した。例年同時期の約1.3倍である。福井県(1.8)、神奈川県・千葉県(各1.5)からの報告が多く、年齢別では4歳から7歳までが全体の約6割を占めた。

ヘルパンギーナの報告数は2,930 人(0.97)で、前週比131%と増加した。例年同時期の約1.3倍である。宮崎県(3.9)、福岡県(2.4)、徳島県(2.2)からの報告が多く、年齢別では1歳から4歳で全体の約8割を占めた。

全数把握対象疾患
  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核345例
  • 3類感染症
    細菌性赤痢4例、腸管出血性大腸菌感染症92例
  • 4類感染症
    A型肝炎4例、つつが虫病9例、デング熱1例、日本紅斑熱1例、レジオネラ症11例、レプトスピラ症1例
  • 5類感染症
    アメーバ赤痢12例、急性脳炎1例、クロイツフェルト・ヤコブ病2例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例、後天性免疫不全症候群14例、ジアルジア症2例、梅毒6例、破傷風3例、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例、風疹3例、麻しん8例

月報告対象疾患の発生動向 <5月>

性感染症

【宮崎県】 定点医療機関総数:13
定点医療機関からの報告総数は53人(4.1)で、前月比121%と増加した。昨年5月(3.4)の約1.2倍と多かった。

《疾患別》

  • 性器クラミジア感染症
    報告数23人(1.8)で、前月の約1.2倍、前年とほぼ同数であった。都城(4.5)保健所からの報告が多く、男性12人・女性11人で、20歳代が全体の約6割を占めた。
  • 性器ヘルペスウイルス感染症
    報告数14人(1.1)で、前月の約2.8倍、前年の約1.2倍であった。男性5人・女性9人で、10歳代・50歳代がそれぞれ2人、20歳代・30歳代がそれぞれ3人、40歳代が4人であった。
  • 尖圭コンジローマ
    報告数5人(0.38)で、前月の約1.7倍、前年の約1.2倍であった。男性2人・女性3人で、10歳代・40歳代・60歳代がそれぞれ1人、20歳代が2人であった。
  • 淋菌感染症
    報告数11人(0.85)で、前月の約6割、前年の約2.6倍であった。全て男性で、20歳代が全体の約6割、40歳代が全体の約3割を占めた。

【全国】定点医療機関総数:955
定点医療機関からの報告総数は4,025人(4.2)で、前月比99%であった。疾患別報告数は、性器クラミジア感染症2,097人(2.2)で前月比98%、性器ヘルペスウイルス感染症683人(0.72)で前月比95%、尖圭コンジローマ442人(0.46)で前月比105%、淋菌感染症803人(0.84)で前月比102%であった。

薬剤耐性菌

【宮崎県】 定点医療機関総数:7
定点医療機関からの報告総数は41人(5.9)で前月比124%と増加した。また昨年5月(5.3)の約1.1倍であった。

《疾患別》

  • メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
    報告数24人(3.4)で、前月の1.3倍、前年の約9割であった。宮崎市(9.0)、日南(6.0)保健所からの報告が多く、70歳以上が全体の約8割を占めた。
  • ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
    報告数16人(2.3)で、前月の約1.1倍、前年の約1.8倍であった。宮崎市(14.0)保健所からの報告が多く、10歳未満が全体の約9割を占めた。
  • 薬剤耐性緑膿菌感染症
    報告数1人(0.14)。延岡保健所からの報告で、40歳代の女性であった。

【全国】 定点医療機関総数:466
定点医療機関からの報告総数は2,693人(5.8)で、前月比108%と増加した。疾患別報告数は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症2,000人(4.3)で前月比101%、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症646人(1.4)で前月比135%、薬剤耐性緑膿菌感染症47人(0.1)で前月比167%であった。

A型肝炎の流行について(2)

本週報第18週号で全国的なA型肝炎の多発を報告した。その後の推移について中央感染症情報センター(国立感染症研究所)から「注意喚起情報−第4報」として情報提供があり注意の喚起がなされた。

今年の第10週頃から本症は増加し始め第13週には26例の発生を見た。以降減少傾向にはあるものの依然毎週10例程度の発生があり、第21週までの累積患者数は221である。患者の年齢は6〜88歳で中央値は49歳であり男女性差はない。患者の内、劇症肝炎が40〜60歳代に6例発生し1名は死亡している。診断は血清IgM抗体検査で殆どが実施されている。全国的な広域アウトブレイクの可能性もあり今後の推移が注目される。本症の疫学的な性状について以下のように掲載されている。

表1 A型肝炎報告例の臨床像と感染経路(NESID入力内容による)

(2010年第10週〜第21週の診断例n=190)

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