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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2010年第35号(医療機関向け情報)

第12巻第35号[宮崎県第35週(8/30〜9/5)、全国第34週(8/23〜8/29)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第35週の発生動向

定点医療機関からの報告総数は693人(定点あたり26.5)で、前週比109%と増加した。

先週に比べ多かった主な疾患は流行性角結膜炎で、減少した主な疾患は流行性耳下腺炎であった。

流行性角結膜炎の報告数は51人(8.5)で前週比142%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(2.3)の約3.6倍と多い。宮崎市(10.7)、都城(9.0)保健所からの報告が多く、年齢別では10歳未満で全体の約3割、20歳代から50歳代で全体の約半数を占めた。

手足口病の報告数は116人(3.2)で前週比84%と減少した。例年同時期の定点あたり平均値(1.3)の約2.5倍と多い。中央(9.0)、高鍋(8.5)、延岡(7.0)保健所からの報告が多く警報レベルを超えている。年齢別では1歳から3歳で全体の約7割を占めた。
クラミジア肺炎1人が高鍋保健所から報告された。患者は60歳代の男性で、原因菌はChlamydophila pneumoniae

保健所別流行警報開始基準値超過疾患

全数把握対象疾患

  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核10例が宮崎市(6例)、都城(2例)、延岡・中央(各1例)保健所から報告された。
    《宮崎市保健所》
    • 40歳代の女性で肺結核。咳がみられた。
    • 50歳代の女性で無症状病原体保有者。
    • 40歳代の女性で無症状病原体保有者。
    • 60歳代の女性で無症状病原体保有者。
    • 40歳代の女性で無症状病原体保有者。
    • 10歳代の女性で無症状病原体保有者。
    《都城保健所》
    • 60歳代の男性で疑似症患者。腰痛がみられた。
    • 80歳代の男性で肺結核。咳、痰、呼吸困難がみられた。
    《延岡保健所》
    70歳代の男性で肺結核。咳、痰がみられた
    《中央保健所》
    60歳代の女性で疑似症患者。発熱がみられた。
  • 3類感染症
    腸管出血性大腸菌感染症3例が都城・延岡・日向(各1例)保健所から報告された。
    《都城保健所》
    2歳の女児で水様性下痢がみられた。原因菌の血清型はO157(VT産生)。
    《延岡保健所》
    7歳の女児で腹痛、溶血性尿毒症症候群がみられた。原因菌のO血清型は不明(VT産生)。
    《日向保健所》
    40歳代の女性で無症状病原体保有者。原因菌の血清型はO157(VT1、VT2産生)。
  • 4類感染症
    報告なし。
  • 5類感染症
    報告なし。

全国第34週の発生動向

定点医療機関あたりの患者報告総数は10.3で、前週比99%であった。今週増加した主な疾患は感染性胃腸炎とA群溶血性レンサ球菌咽頭炎で、減少した主な疾患はヘルパンギーナと流行性耳下腺炎であった。

感染性胃腸炎の報告数は9,013 人(3.0)で、前週比110%と増加した。例年同時期の約1.2倍である。大分県(7.7)、宮崎県(6.6)、鹿児島県(5.2)からの報告が多く、年齢別では6ヶ月から3歳で全体の約半数を占めた。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の報告数は1,574人(0.52)で、前週比106%と増加した。例年同時期の約9割である。福井県(1.3)、富山県(1.1)からの報告が多く、年齢別では3歳から6歳で全体の約半数を占めた。

全数把握対象疾患
  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核317例
  • 3類感染症
    コレラ1例、細菌性赤痢7例、腸管出血性大腸菌感染症232例
  • 4類感染症
    A型肝炎4例、オウム病2例、デング熱12例、日本紅斑熱4例、マラリア2例、レジオネラ症17例、レプトスピラ症1例
  • 5類感染症
    アメーバ赤痢9例、ウイルス性肝炎1例、急性脳炎2例、後天性免疫不全症候群16例、ジアルジア症1例、髄膜炎菌性髄膜炎1例、梅毒8例、破傷風1例、麻しん6例

ウイルス情報

日本脳炎は、蚊(コガタアカイエカ)が媒介する日本脳炎ウイルスによっておこる感染症で、夏から秋にかけて患者が発生します。

感染しても多くは不顕性感染ですが、過去には、100人から1,000人の感染者の中で1人が発病すると報告されています。発病する場合には、約5〜15日の潜伏期間の後、数日間の高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、引き続き急激に光への過敏症、意識障害、けいれん等の中枢神経系障害(脳の障害)を生じます。脳炎を発症した場合20〜40%が死亡に至るといわれています。

日本脳炎はヒトからヒトへの感染はなく、ブタなどの動物の体内でウイルスが増殖した後、そのブタを刺した蚊がヒトを刺すことによって感染します。

日本脳炎の流行予測のために、毎年7月から9月にかけて、ブタの血清中の抗体検査を行い、ブタの感染状況を調査しています。

8月30日採血分の検査結果で、11頭のうち3頭に新鮮感染が認められました。ワクチンの接種など感染を防ぐための注意が必要です。

予防対策
  1. 蚊の多い場所や、蚊の活動が活発になる日没後に戸外に出かけるときには、長袖、長ズボンを身につける、虫除け剤を使用するなど、蚊に刺されないよう十分に注意する。
  2. 家庭周りの小さな水たまり(植木鉢の皿、古タイヤ、竹の切り株など)をなくし、蚊の発生源を減らす。
  3. 休養、栄養、睡眠を十分にとり過労を避け、体力の保持に努める。

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