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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2010年第38号(医療機関向け情報)

第12巻第38号[宮崎県第38週(9/20〜9/26)、全国第37週(9/13〜9/19)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第38週の発生動向

定点医療機関からの報告総数は520人(定点あたり17.8)で、前週比86%と減少した。

前週に比べ多かった主な疾患はRSウイルス感染症と水痘であった。

RSウイルス感染症の報告数は63人(1.8)で前週比140%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(0.54)と比較すると約3.2倍と多い。日向(7.3)、延岡(4.8)保健所からの報告が多く、年齢別では6ヶ月から3歳で全体の約9割を占めた。全て4歳以下の報告であった。

水痘の報告数は30人(0.83)で前週比176%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(0.98)と比較すると約8割である。宮崎市(1.7)、日向(1.5)保健所からの報告が多く、年齢別では1歳から3歳で全体の約8割を占めた。全て5歳以下の報告であった。

無菌性髄膜炎1人が延岡保健所から報告された。患者は1ヶ月の男児。

保健所別流行警報開始基準値超過疾患

※流行性角結膜炎は、平成22年9月10日に流行警報開始基準値8を上回ったので流行警報を発令しましたが、第38週において終息基準値4を下回った(3.8)ので、警報を解除します。

全数把握対象疾患

  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核4例が宮崎市(2例)、都城・小林(各1例)保健所から報告された。
    《宮崎市保健所》
    • 60歳代の男性で疑似症患者。腰・下肢痛がみられた。
    • 60歳代の男性で肺結核。咳、痰、食欲不振、体重減少がみられた。
    《都城保健所》
    10歳代の男性で無症状病原体保有者。
    《小林保健所》
    80歳代の男性で肺結核。
  • 3類感染症
    腸管出血性大腸菌感染症1例が宮崎市保健所から報告された。80歳代の女性で無症状病原体保有者。原因菌の血清型は不明(VT産生)。
  • 4類感染症
    レプトスピラ症1例が宮崎市保健所から報告された。70歳代の男性で発熱、筋肉痛、結膜充血がみられた。
  • 5類感染症
    破傷風1例が宮崎市保健所から報告された。60歳代の男性で筋肉のこわばり、開口障害、嚥下障害、発語障害、痙笑、易興奮性、反弓緊張がみられた。

病原体情報(衛生環境研究所 微生物部)

細菌(平成22年9月15日〜9月27日までに分離同定)

  • 今年初めて、Campylobacter fetus が同定された。本菌は、流産を起こしたり、新生児の敗血症や髄膜炎を起こすことが報告されているが、今回の患者は、敗血症を呈した成人女性であった。なお、昨年(2009年)は4株が検出されたが患者は全例、子宮内感染が原因とされる新生児や成人女性で、発熱などの症状が認められた。
  • 今年、当所で同定した腸管出血性大腸菌33株のうち半数はO157であるが、今回O121を検出した。本血清型菌は、そのほとんどがVT2を産生し、重症化しやすい血清型であるが、本県での検出数は少なく、昨年(2009年)は検出されていない。
ウイルス(平成22年9月15日〜9月27日までに分離同定)

  • フィリピンに渡航歴のある人の血清からデングウイルス2型の遺伝子が検出され、デングウイルスが分離された。現在、日本国内にはデングウイルスは常在しないが、デングウイルスが常在する熱帯・亜熱帯地域でデングウイルスに感染し、帰国後あるいは来日後発症する輸入例が毎年相当数存在する。
  • 髄膜炎の乳幼児からエコーウイルス25型が検出された。

[デング熱・デング出血熱]

デングウイルスには1〜4型の4つの型があり、1つの地域において複数の型のデングウイルスが同時期に存在していることが多い。1つの型のウイルスに感染した場合、同じ型のデングウイルスには感染しないが、他の型のデングウイルスには感染し、発症する可能性がある。デングウイルスに感染した場合、不顕性感染が多いと推察されている。

デングウイルスはネッタイシマカやヒトスジシマカの刺咬により人→蚊→人で感染環が成立する。デングウイルス感染により、デング熱とデング出血熱という二つの異なる病態を示す。デング熱は、発熱・発疹・痛み(関節痛)が3主徴である急性熱性疾患で、致死率は低い。これに対して、デング出血熱は、発熱・出血傾向・循環障害を示し、適切な治療を実施しないとショック死する危険性が高い。

現在、ワクチンはなく、対症療法が中心である。蚊に刺されないようにするのが唯一の予防法である。

全国第37週の発生動向

定点医療機関あたりの患者報告総数は9.8で、前週比97%とほぼ横ばいであった。今週増加した主な疾患はRSウイルス感染症とA群溶血性レンサ球菌咽頭炎で、減少した主な疾患はヘルパンギーナと咽頭結膜熱であった。

RSウイルス感染症の報告数は746人(0.25)で、前週比132%と増加した。例年同時期の約1.7倍である。佐賀県・鹿児島県(各1.4)、宮崎県(1.3)、福岡県(0.9)からの報告が多く、年齢別では2歳以下で全体の約9割を占めた。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の報告数は1,943人(0.65)で、前週比108%と増加した。例年同時期の約9割である。鳥取県(1.6)、福井県(1.3)、山口県(1.2)からの報告が多く、年齢別では3歳から6歳で全体の約半数を占めた。

全数把握対象疾患
  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核276例
  • 3類感染症
    コレラ1例、細菌性赤痢5例、腸管出血性大腸菌感染症147例、腸チフス1例
  • 4類感染症
    E型肝炎1例、A型肝炎4例、デング熱15例、日本紅斑熱5例、マラリア3例、類鼻疽1例、レジオネラ症12例
  • 5類感染症
    アメーバ赤痢13例、ウイルス性肝炎4例、クロイツフェルト・ヤコブ病2例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例、後天性免疫不全症候群19例、梅毒11例、バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例、風疹1例、麻しん3例

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