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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2010年第42号(医療機関向け情報)

第12巻第42号[宮崎県第42週(10/18〜10/24)、全国第41週(10/11〜10/17)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第42週の発生動向

定点医療機関からの報告総数は574人(定点あたたり18.7)で、前週とほぼ同じであった。

前週に比べ多かった主な疾患はインフルエンザと水痘で、減少した主な疾患は伝染性紅斑と流行性耳下腺炎であった。

インフルエンザの報告数は8人(0.14)で前週比267%と増加した。延岡(0.57)、都城(0.40)保健所からの報告であった。年齢別では5歳以下が全体の38%、6-9歳が12%、20歳代-50歳代が50%を占めた。

水痘の報告数は37人(1.0)で前週比132%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(0.86)と比較すると約1.2倍である。延岡(2.0)、都城(1.3)、宮崎市(1.2)保健所からの報告が多く、年齢別では1歳から3歳で全体の約7割を占めた。

無菌性髄膜炎が宮崎市・日南(各1人)保健所から報告された。宮崎市保健所からは11歳の女児、日南保健所からは5歳の男児でMumps Virus疑い。

マイコプラズマ肺炎が延岡・高鍋(各1人)保健所から報告された。延岡保健所からは4歳の男児、高鍋保健所からは3歳の女児で、原因菌はいずれも Mycoplasma pneumoniae 。

クラミジア肺炎1例が高鍋保健所から報告された。3歳の女児で原因菌は Chlamydophila pneumoniae

保健所別流行警報開始基準値超過疾患

基準値を超えた疾患はなかった。

全数把握対象疾患

  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核7例が宮崎市(3例)、日南(2例)、小林・中央(各1例)保健所から報告された。
    《宮崎市保健所》
    • 80歳代の男性で肺結核。血痰がみられた。
    • 50歳代の女性で無症状病原体保有者。
    • 50歳代の女性で無症状病原体保有者。
    《日南保健所》
    • 60歳代の男性で肺結核。咳、痰がみられた。
    • 70歳代の男性で肺結核。発熱、呼吸困難がみられた。
    《小林保健所》
    80歳代の男性で疑似症患者。胸水貯留がみられた。
    《中央保健所》
    80歳代の男性で肺結核。
  • 3類感染症
    報告なし。
  • 4類感染症
    日本紅斑熱1例が日南保健所から報告された。60歳代の男性で発熱、刺し口、発疹、がみられた。
  • 5類感染症
    報告なし。

病原体情報(衛生環境研究所 微生物部)

インフルエンザ検出速報(平成22年10月18日〜10月24日までに検体採取分)

  • 延岡保健所管内と都城保健所管内でインフルエンザA型の報告があった。延岡の4例、都城の1例について遺伝子検査を実施した結果、インフルエンザAH3(A香港型)が検出された。県内でA香港型が検出されたのは今シーズン初めてである。全国的にはA香港型が新型より多く検出されている。
ウイルス(平成22年10月20日から10月26日までに分離同定)

  • 発疹症の乳幼児からエコーウイルス25型が検出された。
細菌(平成22年10月13日〜10月26日までに分離同定)

  • 9月下旬に、百日咳菌が分離された。百日咳菌は菌の分離に時間を要し、また分離率も悪いことから、診断には血清学的診断が行われることが多いが、PCRやLamp法などの遺伝子診断により迅速に診断できる。今回の患者は、発症後10日ほど経過していたが、PCR、Lamp法、培養により診断された。
    これまで百日咳は小児の疾患とされ、今回の患者も乳幼児であるが、最近では成人の発生も年々増加している。成人発生例は、症状が典型的でないため、見逃されやすく、感染源として周囲へ感染拡大してしまうことがあり、注意が必要である。
  • 9月下旬に、赤痢菌が検出された。患者は80代前半の男性で、発熱(39.3度)、嘔吐、下痢を呈したが、本人および周囲に海外旅行暦はなく、感染経路は不明であった。

全国第41週の発生動向

定点医療機関あたりの患者報告総数は8.8で、前週比95%と減少した。今週増加した主な疾患は水痘で、減少した主な疾患はヘルパンギーナとインフルエンザであった。

水痘の報告数は2,312人(0.76)で、前週比133%と増加した。例年同時期の約1.4倍である。島根県・福井県(各1.4)、石川県(1.2)からの報告が多く、年齢別では1歳から4歳で全体の約7割を占めた。

流行性耳下腺炎の報告数は3,083人(1.0)で、前週比97%とほぼ横ばいであった。例年同時期の約1.4倍である。宮崎県・島根県(各2.5)、山口県(2.3)からの報告が多く、年齢別では2歳から6歳で全体の約7割を占めた。

全数把握対象疾患
  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核250例
  • 3類感染症
    細菌性赤痢11例、腸管出血性大腸菌感染症59例
  • 4類感染症
    A型肝炎2例、つつが虫病2例、デング熱5例、日本紅斑熱3例、マラリア1例、レジオネラ症15例
  • 5類感染症
    アメーバ赤痢6例、急性脳炎1例、クロイツフェルト・ヤコブ病2例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例、後天性免疫不全症候群25例、髄膜炎菌性髄膜炎1例、梅毒4例、破傷風2例、バンコマイシン耐性腸球菌感染症3例、風疹1例、麻しん4例

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