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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2010年第46号(医療機関向け情報)

第12巻第46号[宮崎県第46週(11/15〜11/21)、全国第45週(11/8〜11/14)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第46週の発生動向

定点医療機関からの報告総数は844人(定点あたり25.7)で、前週比115%と増加した。

前週に比べ多かった主な疾患はインフルエンザ、水痘とA群溶血性レンサ球菌咽頭炎で、減少した主な疾患は流行性耳下腺炎であった。

インフルエンザの報告数は60人(1.0)で前週比194%と増加した。日向(8.0)保健所からの報告が多く、年齢別では5歳以下が全体の67%、6歳から9歳が23%、10-14が5%、20-50歳が5%を占めた。

水痘の報告数は82人(2.3)で前週比144%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(1.7)と比較すると約1.3倍であった。宮崎市(4.3)、都城(4.0)保健所からの報告が多く、年齢別では1歳から5歳で全体の約9割を占めた。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の報告数は77人(2.1)で前週比140%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(1.7)と比較すると約1.3倍であった。延岡(5.5)、日南(3.7)、宮崎市(2.2)保健所からの報告が多く、年齢別では4歳から6歳で全体の約半数を占めた。

保健所別流行警報開始基準値超過疾患

全数把握対象疾患

  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核16例が日向(13例)、都城・日南・中央(各1例)保健所から報告された。
    《都城保健所》
    30歳代の男性で肺結核。咳、痰がみられた。
    《日南保健所》
    80歳代の女性で肺結核。咳、痰、発熱、呼吸困難がみられた。
    《日向保健所》
    同一施設から無症状病原体保有者13例が報告された。男性10例、女性3例で、40歳代が1例、50歳代が6例、60歳代が6例であった。
    《中央保健所》
    70歳代の男性で肺結核。咳がみられた。
  • 3類感染症
    報告なし。
  • 4類感染症
    日本紅斑熱1例が日南保健所から報告された。70歳代の男性で発熱、発疹がみられた。
  • 5類感染症
    急性脳炎1例が宮崎市保健所から報告された(45週分)。12歳の男児で発熱、意識障害がみられた。

病原体情報(衛生環境研究所 微生物部)

インフルエンザ検出速報(平成22年11月15日〜11月21日までに検体採取分)

  • 延岡保健所、高鍋保健所、日向保健所、宮崎市保健所管内でインフルエンザA型の報告があった。延岡の6例、高鍋の3例、日向の2例、宮崎市の1例について遺伝子検査を実施した結果、延岡の1例、日向の1例を除くすべての事例からインフルエンザAH3(A香港型)が検出された。
ウイルス(平成22年11月9日〜11月22日までに分離同定)

  • 無菌性髄膜炎の幼児からムンプスウイルスが分離された。本県では4年ぶりの検出であった。
細菌(平成22年11月9日〜11月22日までに分離同定)

  • 腸管出血性大腸菌O115:H10が10代後半の患者から分離された。O115:H10は全国的にも分離報告が少ない血清型である。腸管出血性大腸菌のVT型別(VT1,VT2,VT1&VT2)は、血清型によって偏る傾向があり、過去10年間の全国の分離報告でO115:H10はVT1しか検出されていない。

全国第45週の発生動向

定点医療機関あたりの患者報告総数は15.5で、前週比129%と増加した。今週増加した主な疾患は感染性胃腸炎と水痘で、減少した主な疾患はヘルパンギーナであった。

感染性胃腸炎の報告数は23,366人(7.7)で、前週比145%と増加した。例年同時期の約1.3倍である。大分県(30.2)、山形県(23.0)、新潟県(19.5)からの報告が多く、年齢別では1歳から4歳で全体の約半数を占めた。

水痘の報告数は3,842人(1.3)で、前週比134%と増加した。例年同時期の約1.3倍である。青森県(2.5)、徳島県(2.3)、滋賀県(2.2)からの報告が多く、年齢別では1歳から5歳で全体の約8割を占めた。

全数把握対象疾患
  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核298例
  • 3類感染症
    コレラ1例、細菌性赤痢2例、腸管出血性大腸菌感染症48例、腸チフス1例
  • 4類感染症
    A型肝炎3例、エキノコックス症1例、つつが虫病16例、デング熱1例、日本紅斑熱1例、ライム病1例、レジオネラ症14例
  • 5類感染症
    アメーバ赤痢11例、ウイルス性肝炎4例、急性脳炎3例、クロイツフェルト・ヤコブ病1例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例、後天性免疫不全症候群19例、ジアルジア症1例、梅毒5例、麻しん3例

お知らせ

細菌性赤痢菌患者の広域散発発生について

11月10日に厚労省健康局結核感染症課と医薬食品安全部監視安全課は連名で各自治体宛に依頼文書を発出し、細菌性赤痢菌患者発生の初動調査に当たっては感染症担当と食品担当の部局は連携して詳細な喫食調査及び食材の遡り調査を実施するように求めた。また、同時に患者分離菌株の確保と速やかな国立感染症研究所への送付の依頼もあった。

同文書及び国立感染症研究所の病原微生物検出情報によると、本年39週から42週(9月27日〜10月24日)にかけて、遺伝子検査(PFGA及びMLVA法)で類似の型を取る ShigellA sonnei による本症が全国的に発生し始め次いで急増した。通常の週では ShigellA sonnnei による発生数は3例以下であるが41週には10例、42週には6例の発生を見た。流行状況から食品を介する拡大も考えられている。

各医療機関におかれては、同症発生が疑われる場合には速やかに保健所に届け出ていただきたい。

平成22年11月22日
衛生環境研究所

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