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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2011年第17号・第18号

第13巻第17号[宮崎県17週(4/25〜5/1)、全国16週(4/18〜4/24)]
第13巻第18号[宮崎県18週(5/2〜5/8)、全国17週(4/25〜5/1)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第17週、第18週の発生動向

【17週】
定点からの報告総数は2,130人(定点あたり50.9)で前週比94%と減少した。

増加した主な疾患は伝染性紅斑と水痘で、減少した主な疾患はインフルエンザであった。

マイコプラズマ肺炎1人が都城保健所から報告された。患者は4歳の男児で原因菌はMycoplasma pneumoniaeであった。

クラミジア肺炎1人が高鍋保健所から報告された。患者は60歳代の女性で原因菌はChlamydophila pneumoniaeであった。

【18週】
連休で医療機関が休みだった影響か、定点からの報告総数は1,272人(定点あたり31.8)で前週比62%と大幅に減少した。増加した主な疾患はなかった。減少した主な疾患はインフルエンザとA群溶血性レンサ球菌咽頭炎であった。

インフルエンザの報告数は575人(9.9)で前週比53%と減少した。延岡(16.4)、都城(15.5)、日向(12.8)保健所からの報告が多く、年齢別では5歳以下が全体の31%、6-9歳が32%、10-14歳が24%、15-19歳が2%、20歳以上が11%を占めた。

マイコプラズマ肺炎1人が都城保健所から報告された。患者は3歳の女児で原因菌はMycoplasma pneumoniaeであった。

保健所別流行警報開始基準値超過疾患

【17週】

※感染性胃腸炎は、平成22年12月22日に流行警報開始基準値20を上回ったので流行警報を発令しましたが、第17週において終息基準値12を下回った(10.9)ため、警報を解除します。

【18週】

感染性胃腸炎の集団発生(平成23年4月25日〜平成23年5月8日まで)

感染性胃腸炎の集団発生はありませんでした。

※感染性胃腸炎の集団発生については、宮崎県感染症週報により情報提供を行っていましたが、流行警報の解除に伴い、掲載を終了します。

全数把握対象疾患

【17週】

  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核1例が宮崎市保健所から報告された。40歳代の女性で無症状病原体保有者。
  • 3類感染症
    腸管出血性大腸菌感染症1例が都城保健所から報告された。30歳代の女性で無症状病原体保有者。原因菌の血清型はO146(VT2産生)。
  • 4類感染症
    報告なし。
  • 5類感染症
    麻疹1例が宮崎市保健所から報告された。1歳の女児で修飾麻疹(検査診断例)。発熱、発疹、中耳炎がみられた。ワクチン接種歴1回あり。

【18週】

  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核8例が宮崎市(5例)、都城(3例)保健所から報告された。
    《宮崎市保健所》
    • 90歳代の男性で肺結核。咳、発熱、呼吸困難がみられた。
    • 70歳代の女性で結核性胸膜炎。咳、発熱、胸痛がみられた。
    • 60歳代の女性で無症状病原体保有者。
    • 1歳の女児で疑似症患者。咳、痰、発熱、呼吸困難がみられた。
    • 20歳代の女性で無症状病原体保有者。
    《都城保健所》
    • 30歳代の女性で疑似症患者。頚部リンパ節腫脹がみられた。
    • 20歳代の男性で疑似症患者。頚部リンパ節肥大がみられた。
    • 20歳代の男性で疑似症患者。
  • 3類感染症
    腸管出血性大腸菌感染症1例が都城保健所から報告された。20歳代の女性で無症状病原体保有者。原因菌のO血清型は不明(VT1、VT2産生)。
  • 4類感染症
    報告なし。
  • 5類感染症
    報告なし。

病原体情報(衛生環境研究所 微生物部)

細菌(平成23年4月19日〜平成23年5月9日までに検出)

  • 下痢、嘔吐の患者から血清型O111の腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia coli ; EHEC)が検出されている。国立感染所研究所感染情報センター(IDSC)に報告された2010年のベロ毒素産生性大腸菌血清型別報告数は、O157(全検出数の72%)、O26(同18%)、O103(同3.3%)、O111(同1.9%)の順である。EHECが産生するベロ毒素(Verotoxin; VT)は大きくVT1とVT2の2種類があるが、EHECはVT1のみ、VT2のみ、VT1/VT2両方を産生する株に大別される。(これまでの報告からO111は報告年によって変動があるが、VT1のみとVT1/VT2両方を産生する株がほぼ同数となっている。)
    また、VT2はVT1よりも毒性が強いとされ、VT2が検出された場合はVT1の有無に関わらず、溶血性尿毒症症候群(Hemolyticuremic syndrome; HUS)や脳症等の重篤な病態への転帰に注意する必要がある。
ウイルス(平成23年4月19日〜平成23年5月9日までに検出)

  • ヘルパンギーナの乳児からコクサッキーウイルスA4型が分離された。コクサッキーウイルスA4型はヘルパンギーナの原因ウイルスとして最も多い。本県では2004年〜2009年までの6年間分離されていなかったが、昨年1例分離されたことに続き、本年1例目である。ヘルパンギーナの主な症状は、咽頭から軟口蓋にかけての小水疱と発熱で、予後は良好である。毎年5月頃から4歳以下の小児を中心に全国的に増加しはじめる。
  • ウイルス性髄膜炎の小児からムンプスウイルスが分離された。ムンプスウイルスは流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の原因ウイルスで、予後は一般に良好であるが、無菌性髄膜炎、睾丸炎・卵巣炎、膵炎など種々の合併症や、まれに高度難聴などの後遺症を残すことがある。
  • ロタウイルス腸炎の乳児からA群ロタウイルス1型が検出された。ロタウイルス胃腸炎の主な症状は嘔吐・下痢で、通常予後は良いがノロウイルスに比べて重症度が高く、まれに肝障害、けいれん、急性脳炎を伴うことがある。
  • ウイルス性脳炎の小児からヒトライノウイルスが検出された。ヒトライノウイルスは普通感冒(かぜ)の病因ウイルスで、一般的に症状は軽く数日で軽快する。

全国第16週、第17週の発生動向

【16週】
定点医療機関あたりの患者報告総数は24.4で、前週比109%と増加した。増加した主な疾患はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎、インフルエンザで、減少した主な疾患は流行性耳下腺炎であった。

【17週】
定点医療機関あたりの患者報告総数は22.9で、前週比94%と減少した。今週増加した主な疾患は手足口病と水痘で、減少した疾患はインフルエンザとRSウイルス感染症であった。

手足口病の報告数は715人(0.23)で前週比115%と増加した。広島県(0.99)、福岡県(0.93)、宮崎県(0.92)からの報告が多く、年齢別では1歳から3歳で全体の約7割を占めた。

水痘の報告数は4,751人(1.5)で前週比114%と増加した。沖縄県(5.4)、宮崎県(4.4)、新潟県(3.1)からの報告が多く、年齢別では1歳から4歳で全体の約7割を占めた。

インフルエンザの報告数は32,966人(6.8)で、前週比89%と減少した。長野県(20.4)、福井県(19.6)、宮崎県・沖縄県(各18.6)からの報告が多く、年齢別では5歳以下が全体の28%、6-9歳が35%、10-14歳が21%、15-19歳が5%、20歳以上が11%を占めた。

全数把握対象疾患

【16週】

  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核341例
  • 3類感染症
    腸管出血性大腸菌感染症4例
  • 4類感染症
    E型肝炎1例、A型肝炎1例、レジオネラ症8例
  • 5類感染症
    アメーバ赤痢10例、ウイルス性肝炎1例、急性脳炎3例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症5例、後天性免疫不全症候群14例、ジアルジア症1例、梅毒4例、破傷風1例、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例、風しん12例、麻しん20例

【17週】

  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核300例
  • 3類感染症
    細菌性赤痢1例、腸管出血性大腸菌感染症24例
  • 4類感染症
    A型肝炎2例、つつが虫病2例、日本紅斑熱1例、マラリア1例、レジオネラ症6例、レプトスピラ症1例
  • 5類感染症
    アメーバ赤痢6例、ウイルス性肝炎1例、急性脳炎3例、後天性免疫不全症候群14例、ジアルジア症1例、梅毒6例、破傷風3例、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例、風しん7例、麻しん30例

インフルエンザ情報《県内第17週,18週、全国第16週,17週(再掲)》

県内第17週、18週インフルエンザ発生動向

平成23年第17週(4/25〜5/1)の報告数は1,096人(定点当り18.6)で前週比81%と減少した。第18週(5/2〜5/8)の報告数は575人(9.9)で前週比53%と減少した(図1-1,2)。延岡(16.4)、都城(15.5)、日向(12.8)保健所からの報告が多かった(図2)。年齢別では5歳以下が全体の31%、6-9歳が32%、10-14歳が24%、15-19歳が2%、20歳以上が11%を占めた(図3)。

全国第16週、17週インフルエンザ発生動向

平成23年第16週(4/18〜4/24)の報告数は36,993人(7.6)で前週の118%と増加した。第17週(4/25〜5/1)の報告数は32,966人(6.8)で前週の89%と減少した。 長野県(20.4)、福井県(19.6)、宮崎県・沖縄県(18.6)からの報告が多く、年齢別では5歳以下が全体の28%、6-9歳が35%、10-14歳が21%、15-19歳が5%、20歳以上が11%を占めた。

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