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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2011年第28号

第13巻第28号[宮崎県28週(7/11〜7/17)、全国27週(7/4〜7/10)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第28週の発生動向

定点医療機関からの報告総数は1,555人(定点あたり44.7)で、前週比96%とほぼ横ばいであった。

前週に比べ増加した主な疾患はヘルパンギーナで、減少した主な疾患はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎とRSウイルス感染症であった。

ヘルパンギーナの報告数は479人(13.3)で前週比123%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(4.7)の約2.8倍であった。県全体で警報レベルを超えており、小林(36.7)、日南(18.7)、中央(14.0)保健所からの報告が多かった。年齢別では1歳から4歳で全体の約8割を占めた。

手足口病の報告数は514人(14.3)で前週比102%とほぼ横ばいであったが、例年同時期の定点あたり平均値(4.2)の約3.4倍と多い。県全体で警報レベルを超えており、延岡(22.0)、宮崎市(16.2)、日向(15.0)保健所からの報告が多かった。年齢別では6ヶ月から3歳で全体の約8割を占めた。

無菌性髄膜炎2人が宮崎市保健所から報告された。患者は0ヶ月の男児であった。

保健所別流行警報開始基準値超過疾患
疾患別流行警報開始基準値超過疾患


全数把握対象疾患

  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核5例が宮崎市(3例)、日南(2例)保健所から報告された。
    《宮崎市保健所》
    • 50歳代の男性で肺結核。発熱、呼吸困難がみられた。
    • 30歳代の男性で無症状病原体保有者。
    • 50歳代の男性で肺結核。
    《日南保健所》
    • 70歳代の男性で肺結核。呼吸困難がみられた。
    • 80歳代の男性で粟粒結核。発熱、呼吸困難がみられた。
  • 3類感染症
    腸管出血性大腸菌感染症3例が都城保健所から報告された。
    • 30歳代の男性で無症状病原体保有者。原因菌はO26(VT1、VT2産生)。
    • 30歳代の女性で無症状病原体保有者。原因菌はO91(VT1産生)。
    • 11ヶ月の女児で水様性下痢がみられた。原因菌はO15(VT産生)。
  • 4類感染症
    報告なし。
  • 5類感染症
    ウイルス性肝炎1例が宮崎市保健所から報告された。30歳代の男性でB型。全身倦怠感、褐色尿、発熱、肝機能異常、黄疸がみられた。

病原体情報(衛生環境研究所 微生物部)

ウイルス(平成23年7月5日〜平成23年7月19日までに検出)

  • 下気道炎(気管支炎)の乳児からライノウイルス遺伝子が検出された。ライノウイルスは、普通感冒の代表的ウイルスとして知られているが、喘息の悪化をもたらすことがあり、幼児や高齢者、免疫不全者に下気道炎を起こすこともある。また、ライノウイルスは数百種類以上の血清型があるいわれ、このウイルスに対する抵抗力をつけることは難しいとされている。
細菌(平成23年7月5日〜平成23年7月19日までに検出)

  • 日南保健所および都城保健所管内で腸管出血性大腸菌O26の集団発生があった。前者で検出されたO26はVT1産生、後者ではVT1、VT2両方が検出された。O26感染では無症状病原体保有者も多く、保育所、幼稚園などでの集団発生に注意を要する。

全国第27週の発生動向

定点医療機関あたりの患者報告総数は25.3で、前週比113%と増加した。今週増加した主な疾患はヘルパンギーナと手足口病で、減少した主な疾患はインフルエンザと水痘であった。

ヘルパンギーナの報告数は10,708人(3.4)で、前週比153%と増加した。宮崎県(10.9)、徳島県(8.4)、熊本県(8.1)からの報告が多く、年齢別では1歳から4歳で全体の約7割を占めた。

手足口病の報告数は30,506人(9.7)で、前週比135%と増加した。佐賀県(42.3)、福岡県(41.0)、熊本県(32.7)からの報告が多く、年齢別では1歳から4歳で全体の約7割を占めた。

全数把握対象疾患
  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核381例
  • 3類感染症
    細菌性赤痢4例、腸管出血性大腸菌感染症102例、腸チフス1例
  • 4類感染症
    A型肝炎1例、オウム病1例、つつが虫病1例、デング熱3例、日本紅斑熱2例、ブルセラ症1例、ライム病1例、レジオネラ症16例
  • 5類感染症
    アメーバ赤痢13例、ウイルス性肝炎4例、急性脳炎3例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例、後天性免疫不全症候群21例、梅毒11例、破傷風3例、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例、風疹7例、麻しん13例

月報告対象疾患の発生動向<6月>

性感染症

【宮崎県】 定点医療機関総数:13
定点医療機関からの報告総数は52人(4.0)で、前月比121%と増加した。また、昨年6月(2.3)の約1.7倍と多かった。

《疾患別》

  • 性器クラミジア感染症
    報告数32人(2.5)で、前月の約1.3倍、前年の約2倍であった。日向(9.0)、延岡(3.5)保健所からの報告が多く、男性19人・女性13人で、20歳代が全体の約半数を占めた。
  • 性器ヘルペスウイルス感染症
    報告数5人(0.38)で、前月の約6割、前年の約1.7倍であった。男性1人・女性4人で、10歳代が3人、20歳代・40歳代が各1人であった。
  • 尖圭コンジローマ
    報告数2人(0.15)で、前月の2倍、前年と同数であった。30歳代と60歳代の男性であった。
  • 淋菌感染症
    報告数13人(1.0)で、前月・前年の約1.4倍であった。男性10人、女性3人で、20歳代が全体の約半数、30歳代が約4割を占めた。

【全国】定点医療機関総数:966
定点医療機関からの報告総数は4,327人(4.5)で、前月比109%と増加した。疾患別報告数は、性器クラミジア感染症2,362人(2.5)で前月比116%、性器ヘルペスウイルス感染症692人(0.72)で前月比100%、尖圭コンジローマ455人(0.47)で前月比104%、淋菌感染症818人(0.85)で前月比102%であった。

薬剤耐性菌

【宮崎県】 定点医療機関総数:7
定点医療機関からの報告総数は32人(4.6)で前月比84%と減少した。また昨年6月(6.4)の71%と少なかった。

《疾患別》

  • メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
    報告数28人(4.0)で、前月とほぼ同数、前年の約9割であった。宮崎市(9.0)、延岡(7.0)保健所からの報告が多く、70歳以上が全体の約半数を占めた。
  • ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
    報告数3人(0.43)で、前月の約3割、前年の約2割であった。宮崎市(2.0)、高鍋(1.0)保健所からの報告であった。5歳未満が2人、60歳代が1人であった。
  • 薬剤耐性緑膿菌感染症
    報告数は1人(0.14)で70歳以上の女性であった。
  • 薬剤耐性アシネトバクター感染症
    報告はなかった。

【全国】 定点医療機関総数:468
定点医療機関からの報告総数は2,495人(5.3)で、前月比99%とほぼ横ばいであった。疾患別報告数は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症2,004人(4.3)で前月比101%、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症455人(0.97)で前月比92%、薬剤耐性緑膿菌感染症35人(0.07)で前月比88%、薬剤耐性アシネトバクター感染症1人(0.0)であった。

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