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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2011年第32号

第13巻第32号[宮崎県32週(8/8〜8/14)、全国31週(8/1〜8/7)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第32週の発生動向

定点医療機関からの報告総数は960人(定点あたり29.8)で、前週比97%とほぼ横ばいであった。

前週に比べ増加した主な疾患はRSウイルス感染症と水痘で、減少した主な疾患はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎であった。

RSウイルス感染症の報告数は47人(1.3)で前週比179%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(0.06)の約22倍と多かった。延岡(4.0)、日向(2.5)保健所からの報告が多く、年齢別では2歳以下で全体の約9割を占めた。全て4歳以下の報告であった。

水痘の報告数は56人(1.6)で前週比169%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(1.1)の約1.4倍であった。小林(6.0)保健所からの報告が多く、年齢別では6ヶ月から4歳で全体の約9割を占めた。

マイコプラズマ肺炎1人が都城保健所から報告された。患者は10歳の男児で原因菌はMycoplasma pneumoniae であった。

保健所別流行警報開始基準値超過疾患
疾患別流行警報開始基準値超過疾患


全数把握対象疾患

  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核5例が宮崎市(2例)、延岡・高鍋・高千穂(各1例)保健所から報告された。
    《宮崎市保健所》
    • 80歳代の男性で肺結核。咳、痰、発熱がみられた。
    • 50歳代の男性で肺結核。
    《延岡保健所》
    70歳代の男性で無症状病原体保有者。
    《高鍋保健所》
    20歳代の女性で肺結核。咳、痰、発熱がみられた。
    《高千穂保健所》
    80歳代の男性でその他の結核(腰椎硬膜外膿瘍)。発熱、腰痛がみられた。
  • 3類感染症
    腸管出血性大腸菌感染症1例が宮崎市保健所から報告された。50歳代の女性で無症状病原体保有者。原因菌のO血清型は不明(VT2産生)。
  • 4類感染症
    報告なし。
  • 5類感染症
    報告なし。

病原体情報(衛生環境研究所 微生物部)

ウイルス(平成23年8月2日〜平成23年8月15日までに検出)

  • 手足口病と診断された小児からコクサッキーウイルスA16型が分離された。
細菌(平成23年8月2日〜平成23年8月15日までに検出)

  • 胃腸炎症状を呈した女児から、血清型O15のEHECが分離された。なお、この女児からは約1週間前に血清型O26のEHECも分離されていた。
  • 急性胃腸炎を呈した10代患者の便からCampylobacter jejuni, Campylobacter coli, およびClostridium perfringens (ウェルシュ菌)が分離された。以前にも一人の患者から2種類のカンピロバクターを分離しているが、菌の分離に加え、PCRなどの遺伝子検査法を実施すると混合感染を判定できる。
    また、分離されたウェルシュ菌はα毒素およびエンテロトキシンをコードする遺伝子を保有していることを確認している。ただし、ウエルシュ菌は健康人でも約1%がエンテロトキシン産生菌を保菌していることから、結果の解釈に注意する必要がある。
  • 家庭内食中毒事例で患者3名からSalmonella Bareilly (O7:y:1,5)が検出された。国立感染症情報センターによると、サルモネラ血清型別検出数では2009年は32株、2010年は20株であり、当所ではH17年に3株、H18年に2株、散発例から分離されている。

全国第31週の発生動向

定点医療機関あたりの患者報告総数は20.6で、前週比93%と減少した。今週増加した主な疾患はRSウイルス感染症で、減少した主な疾患は咽頭結膜熱であった。

RSウイルス感染症の報告数は808人(0.26)で、前週比118%と増加した。大阪府・鹿児島県(各1.0)、和歌山県(0.84)、宮崎県(0.75)からの報告が多く、年齢別では2歳以下で全体の約9割を占めた。

ヘルパンギーナの報告数は12,996人(4.2)で、前週比94%と減少した。新潟県(12.8)、群馬県(9.2)、長野県(8.1)からの報告が多く、年齢別では1歳から4歳で全体の約7割を占めた。

手足口病の報告数は23,568人(7.6)で、前週比92%と減少した。山形県(14.7)、大分県(14.4)、岩手県(13.8)からの報告が多く、年齢別では1歳から3歳で全体の約6割を占めた。

全数把握対象疾患
  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核380例
  • 3類感染症
    コレラ2例、細菌性赤痢5例、腸管出血性大腸菌感染症250例
  • 4類感染症
    A型肝炎1例、つつが虫病1例、デング熱3例、日本紅斑熱5例、マラリア2例、ライム病1例、レジオネラ症18例
  • 5類感染症
    アメーバ赤痢10例、急性脳炎1例、クロイツフェルト・ヤコブ病2例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例、後天性免疫不全症候群13例、梅毒14例、破傷風1例、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例、風疹6例、麻しん5例

月報告対象疾患の発生動向 <7月>

性感染症

【宮崎県】 定点医療機関総数:13
定点医療機関からの報告総数は51人(3.9)で、前月比98%とほぼ同数であった。また、昨年7月(2.9)の約1.4倍と多かった。

《疾患別》

  • 性器クラミジア感染症
    報告数33人(2.5)で、前月とほぼ同数、前年の約1.3倍であった。日向(6.0)、宮崎市(3.3)、延岡(3.0)保健所からの報告が多く、男性19人・女性14人で、20歳代が全体の約半数を占めた。
  • 性器ヘルペスウイルス感染症
    報告数5人(0.38)で、前月と同数、前年の約4.8倍であった。男性2人・女性3人で、20歳代・40歳代が各2人、30歳代が1人であった。
  • 尖圭コンジローマ
    報告数2人(0.15)で、前月と同数、前年の約1.9倍であった。40歳代の男性と女性であった。
  • 淋菌感染症
    報告数11人(0.85)で、前月の約8割、前年の約1.2倍であった。男性4人、女性7人で、20歳代が全体の約半数、30歳代が約3割を占めた。

【全国】定点医療機関総数:967
定点医療機関からの報告総数は4,296人(4.4)で、前月比99%とほぼ横ばいであった。疾患別報告数は、性器クラミジア感染症2,208人(2.3)で前月比93%、性器ヘルペスウイルス感染症725人(0.75)で前月比104%、尖圭コンジローマ427人(0.44)で前月比94%、淋菌感染症936人(0.97)で前月比114%であった。

薬剤耐性菌

【宮崎県】 定点医療機関総数:7
定点医療機関からの報告総数は46人(6.6)で前月比144%と増加した。また昨年7月(5.0)の約1.3倍と多かった。

《疾患別》

  • メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
    報告数40人(5.7)で、前月の約1.4倍、前年の約2倍であった。宮崎市(19.0)保健所からの報告が多く、70歳以上が全体の約4割、60歳代が約3割を占めた。
  • ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
    報告数5人(0.71)で、前月の約1.7倍、前年の約3割であった。宮崎市(3.0)、延岡(2.0)保健所からの報告であった。5歳未満が4人、70歳以上が1人であった。
  • 薬剤耐性緑膿菌感染症
    報告数は1人(0.14)で前月と同数であった。70歳以上の男性であった。
  • 薬剤耐性アシネトバクター感染症
    報告はなかった。

【全国】 定点医療機関総数:468
定点医療機関からの報告総数は2,264人(4.8)で、前月比91%と減少した。疾患別報告数は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症1,892人(4.0)で前月比94%、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症317人(0.68)で前月比70%、薬剤耐性緑膿菌感染症52人(0.11)で前月比157%、薬剤耐性アシネトバクター感染症3人(0.01)であった。

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