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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2011年第36号

第13巻第36号[宮崎県36週(9/5〜9/11)、全国35週(8/29〜9/4)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第36週の発生動向

定点医療機関からの報告総数は666人(定点あたり21.3)で、前週比82%と減少した。

前週に比べ増加した主な疾患はなかった。減少した主な疾患は手足口病とヘルパンギーナであった。

RSウイルス感染症の報告数は147人(4.2)で前週比88%と減少した。例年同時期の定点あたり平均値(0.47)の約9倍である。日向(12.0)、延岡(8.8)保健所からの報告が多く、年齢別では2歳以下で全体の約9割を占めた。

細菌性髄膜炎1人が日南保健所から報告された。患者は70歳代の女性で原因菌はStaphylococcus epidermidis であった。

マイコプラズマ肺炎3人が延岡(2人)、日南(1人)保健所から報告された。3歳の男児、7歳の男児、80歳代の男性で病原体は全てMycoplasma pneumoniae であった。

保健所別流行警報開始基準値超過疾患

※伝染性紅斑は、平成23年3月3日に流行警報開始基準値2を上回ったので流行警報を発令しましたが、第36週において終息基準値1を下回った(0.77)ので、警報を解除します。

※ヘルパンギーナは、平成23年7月7日に流行警報開始基準値6を上回ったので流行警報を発令しましたが、第36週において終息基準値2を下回った(1.74)ので、警報を解除します。

疾患別流行警報開始基準値超過疾患


全数把握対象疾患

  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核2例が宮崎市保健所から報告された。
    • 70歳代の男性で肺結核。咳がみられた。
    • 80歳代の女性で肺結核。発熱がみられた。
  • 3類感染症
    腸管出血性大腸菌感染症1例が都城保健所から報告された。30歳代の女性で腹痛、水様性下痢、血便、発熱がみられた。原因菌はO103(VT産生)。
  • 4類感染症
    レプトスピラ症1例が宮崎市保健所から報告された。60歳代の女性で発熱、結膜充血、蛋白尿がみられた。
  • 5類感染症
    • 後天性免疫不全症候群1例が延岡保健所から報告された。20歳代の男性で無症候性キャリア。
    • 梅毒1例が高鍋保健所から報告された。30歳代の女性で無症状病原体保有者。
全数把握対象疾患累積報告数(2011年第1週〜36週)

( )内は今週届出分、再掲

病原体情報(衛生環境研究所 微生物部)

細菌(平成23年8月30日〜平成23年9月12日までに検出)

  • HUS、下痢あるいは無症状の乳幼児4名から腸管出血性大腸菌(EHEC)O157(VT2)が分離された。国立感染症情報センター(IASR)によると2000年〜2009年のO157のVT型別累計では、VT1とVT2の両方とも陽性が65%を占め、VT2のみ陽性は約34%である。VT1のみ陽性は1.4%である。
  • Salmonlla Saintpaulが小児2人から検出された。IASRの報告によると2007年〜2011年のサルモネラ血清型別検出数では、常に上位5番以内の報告数である。
ウイルス(平成23年8月30日〜平成23年9月12日までに検出)

  • 無菌性髄膜炎の乳幼児の咽頭ぬぐい液と髄液からコクサッキーウイルスB1型(CoxB1)が分離された。本県では、4月以降、CoxB1型はすでに4例分離されており、無菌性髄膜炎を呈した新生児からの分離が主であった。また、全国の無菌性髄膜炎患者由来のウイルス別報告数では、CoxB1が最も多く検出されている。
  • 手足口病と診断された小児7名及び成人1名からコクサッキーウイルスA16型が分離された。このうち小児4名は、約1ヶ月前に手足口病を発症し、コクサッキーウイルスA6型が検出されており、異なる型のコクサッキーウイルスの感染がおこったと考えられる。本年、全国的に手足口病の原因ウイルスは、コクサッキーウイルスA6型が圧倒的に多いが、コクサッキーウイルスA16型も検出されている。
  • 手足口病またはヘルパンギーナと診断された乳児1名、小児2名からコクサッキーウイルスA6型が検出された。
  • ウイルス発疹症の小児からライノウイルスとコクサッキーウイルスA6型が検出され、混合感染が疑われた。

全国第35週の発生動向

定点医療機関あたりの患者報告総数は14.7で、前週比104%と横ばいであった。今週増加した主な疾患はRSウイルス感染症と手足口病で、減少した主な疾患は流行性耳下腺炎であった。

RSウイルス感染症の報告数は1,242人(0.40)で、前週比138%であった。宮崎県(4.8)、香川県(2.1)、徳島県(1.7)からの報告が多く、年齢別では2歳以下が全体の約9割を占めた。

手足口病の報告数は13,797人(4.4)で、前週比111%と増加した。秋田県(16.2)、青森県(12.9)、山形県(10.8)からの報告が多く、年齢別では1歳から3歳で全体の約6割を占めた。

全数把握対象疾患
  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核398例
  • 3類感染症
    細菌性赤痢24例、腸管出血性大腸菌感染症117例、パラチフス1例
  • 4類感染症
    E型肝炎2例、A型肝炎1例、つつが虫病2例、デング熱2例、日本紅斑熱3例、マラリア2例、レジオネラ症22例、レプトスピラ症1例
  • 5類感染症
    アメーバ赤痢12例、クリプトスポリジウム症1例、クロイツフェルト・ヤコブ病2例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例、後天性免疫不全症候群18例、ジアルジア症1例、梅毒13例、破傷風2例、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例、風しん7例、麻しん4例

月報告対象疾患の発生動向 <8月>

性感染症

【宮崎県】 定点医療機関総数:13
定点医療機関からの報告総数は44人(3.4)で、前月比86%と減少した。また、昨年8月(4.9)の約7割と少なかった。

《疾患別》

  • 性器クラミジア感染症
    報告数24人(1.9)で、前月の約7割、前年の約6割であった。日向(4.0)、延岡(2.5)保健所からの報告が多く、男性・女性各12人で、20歳代が全体の約6割を占めた。
  • 性器ヘルペスウイルス感染症
    報告数8人(0.62)で、前月の約1.6倍、前年の約9割であった。男性3人・女性5人で、30歳代・40歳代が各2人、20歳代・50歳代・60歳代・70歳以上が各1人であった。
  • 尖圭コンジローマ
    報告数3人(0.23)で、前月の1.5倍、前年と同数であった。男性2人・女性1人で、20歳代が2人、10歳代が1人であった。
  • 淋菌感染症
    報告数9人(0.69)で、前月の約8割、前年の約6割であった。すべて男性で、20歳代が全体の約6割、30歳代が約3割を占めた。

【全国】定点医療機関総数:967
定点医療機関からの報告総数は4,575人(4.7)で、前月比107%と増加した。疾患別報告数は、性器クラミジア感染症2,321人(2.4)で前月比105%、性器ヘルペスウイルス感染症741人(0.77)で前月比103%、尖圭コンジローマ483人(0.50)で前月比114%、淋菌感染症1,030人(1.1)で前月比110%であった。

薬剤耐性菌

【宮崎県】 定点医療機関総数:7
定点医療機関からの報告総数は36人(5.1)で前月比78%と減少した。また昨年8月(5.4)の約9割であった。

《疾患別》

  • メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
    報告数32人(4.6)で、前月の約8割、前年と同数であった。宮崎市(9.0)、高鍋(8.0)保健所からの報告が多く、70歳以上が全体の約6割、5歳未満が約3割を占めた。
  • ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
    報告数3人(0.43)で、前月の約6割、前年の約半数であった。延岡(2.0)、高鍋(1.0)保健所からの報告であった。60歳代が2人、70歳以上が1人であった。
  • 薬剤耐性緑膿菌感染症
    報告数は1人(0.14)で前月と同数であった。70歳以上の男性であった。
  • 薬剤耐性アシネトバクター感染症
    報告はなかった。

【全国】 定点医療機関総数:467
定点医療機関からの報告総数は2,513人(5.4)で、前月比111%と増加した。疾患別報告数は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症2,148人(4.6)で前月比114%、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症315人(0.67)で前月比99%、薬剤耐性緑膿菌感染症45人(0.10)で前月比91%、薬剤耐性アシネトバクター感染症5人(0.01)であった。

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