所長挨拶 研究所の紹介 発表・調査研究 情報・ニュース 宮崎県感染症情報センター 見学と研修のお申し込み リンク集 お問い合わせ

宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2012年第28号

第14巻第28号[宮崎県第28週(7/9〜7/15)全国第27週(7/2〜7/8)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第28週の発生動向

定点医療機関からの報告総数は953人(定点あたり27.8)で、前週比115%と増加した。

インフルエンザ・小児科定点からの報告

前週に比べ増加した主な疾患はへルパンギーナで、減少した主な疾患は咽頭結膜熱であった。

【ヘルパンギーナ】

  • 報告数は388人(10.8)で前週比123%と増加し、引き続き流行警報レベル開始基準値(6.0)を超えている。例年同時期の定点あたり平均値(6.1)の約1.8倍である。延岡(31.0)、日南(13.3)、宮崎市(10.8)保健所からの報告が多く、年齢別では1歳から3歳で全体の約7割を占めた。

【A群溶血性レンサ球菌咽頭炎】

  • 報告数は116人(3.2)で前週比110%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(2.0)の約1.6倍である。延岡(11.0)保健所からの報告が多く、年齢別では3歳から5歳で全体の約半数を占めた。

基幹定点からの報告
  • マイコプラズマ肺炎
    高鍋(4人)、延岡(1人)保健所から報告された。全て10歳代前半で、病原体はMycoplasma pneumoniae
流行警報開始基準値超過疾患

全数把握対象疾患

  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核8例。
  • 3類感染症
    報告なし。
  • 4類感染症
    レジオネラ症1例。
  • 5類感染症
    報告なし。

全数把握対象疾患累積報告数(2012年第1週〜28週)

( )内は今週届出分、再掲

病原体情報(衛生環境研究所微生物部 平成24年7月17日までに検出)

細菌

  • 発熱、下痢を呈した乳幼児(家族)2名から、腸管出血性大腸菌(EHEC)O26:H11,VT1が分離された。
  • 海外旅行の帰国者から、毒素原性大腸菌(ETEC)O159:HUT,STが分離された。
    ETECは食中毒の起因菌であると同時に、海外旅行者下痢症の原因菌としても重要である。
    ETECは、耐熱性エンテロトキシン(ST;Heat stable enterotoxin)もしくは易熱性エンテロトキシン(LT;Heat labile enterotoxin)の両方またはいずれかを産生する菌であり、生化学的症状では一般の大腸菌と区別できない。
    感染症法では5類の感染性胃腸炎に含まれ、主症状はコレラ様の激しい下痢である。
ウイルス

  • 発熱、下痢を呈した乳児の咽頭ぬぐい液からライノウイルスが検出された。
  • A型インフルエンザの小児からインフルエンザAH3型が検出された。
  • ウイルス感染疑い乳児の咽頭ぬぐい液からパラインフルエンザが検出された。
    RSウイルス等とともに、小児の下気道炎の原因ウイルスである。
    パラインフルエンザ3型は春から初夏にかけて多く見られる。

全国第27週の発生動向

定点医療機関あたりの患者報告総数は15.8で、前週比99%と横ばいであった。今週増加した主な疾患はヘルパンギーナと手足口病で、減少した主な疾患は感染性胃腸炎であった。

ヘルパンギーナの報告数は9,632人(3.1)で、前週比135%と増加した。宮崎県(8.8)、群馬県(8.1)、大分県(7.0)からの報告が多く、年齢別では1歳から4歳が全体の約8割を占めた。

手足口病の報告数は2,104人(0.67)で、前週比116%と増加した。福井県(4.9)、青森県・新潟県(各4.5)、宮城県(2.2)からの報告が多く、年齢別では1歳から4歳が全体の約7割を占めた。

全数把握対象疾患(全国第27週)


月報告対象疾患の発生動向 <6月>

性感染症

【宮崎県】 定点医療機関総数:13
定点医療機関からの報告総数は41人(3.2)で、前月比87%と減少した。また、昨年6月(4.0)の約8割であった。

《疾患別》

  • 性器クラミジア感染症
    報告数22人(1.7)で、前月の約8割、前年の約7割であった。延岡(3.5)、都城(3.0)保健所からの報告が多く、男性6人・女性16人で、20歳代が全体の約4割、30歳代が約3割を占めた。
  • 性器ヘルペスウイルス感染症
    報告数9人(0.69)で、前月と同じ、前年の約1.8倍であった。男性2人・女性7人で、40歳代・50歳代・70歳代がそれぞれ2人であった。
  • 尖圭コンジローマ
    報告数4人(0.31)で、前月の約1.3倍、前年の2倍であった。男性3人・女性1人で、20歳代・30歳代・50歳代・60歳代のそれぞれ1人であった。
  • 淋菌感染症
    報告数6人(0.46)で、前月の約9割、前年の約半数であった。男性5人・女性1人で、30歳代・50歳代がそれぞれ2人、10歳代後半・20歳代がそれぞれ1人であった。


【全国】定点医療機関総数:972
定点医療機関からの報告総数は4,079人(4.2)で、前月比99%と横ばいであった。疾患別報告数は、性器クラミジア感染症2,166人(2.2)で前月比101%、性器ヘルペスウイルス感染症745人(0.77)で前月比98%、尖圭コンジローマ457人(0.47)で前月比94%、淋菌感染症711人(0.73)で前月比97%であった。

薬剤耐性菌

【宮崎県】 定点医療機関総数:7
定点医療機関からの報告総数は25人(3.6)で前月比89%と減少した。また、昨年6月(4.6)の約8割であった。

《疾患別》

  • メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
    報告数20人(2.9)で、前月の約8割、前年の約7割であった。70歳以上が全体の約8割を占めた。
  • ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
    報告数3人(0.43)で、前月の1.5倍、前年と同程度であった。1〜4歳の報告であった。
  • 薬剤耐性緑膿菌感染症
    報告数2人(0.29)で前月と同数、前年の2倍であった。60歳代と70歳以上の報告であった。
  • 薬剤耐性アシネトバクター感染症
    報告はなかった。

【全国】 定点医療機関総数:468
定点医療機関からの報告総数は2,013人(4.3)で、前月比94%と減少した。疾患別報告数は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症1,682人(3.6)で前月比93%、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症307人(0.66)で前月比100%、薬剤耐性緑膿菌感染症24人(0.05)で前月比63%、薬剤耐性アシネトバクター感染症の報告はなかった。

PDFファイルダウンロード


宮崎県衛生環境研究所
〒889-2155 宮崎市学園木花台西2丁目3-2 / 電話.0985-58-1410 FAX.0985-58-0930