
宮崎県感染症発生動向調査2013年第32号
第15巻第32号[宮崎県第32週(8/5〜8/11)全国第31週(7/29〜8/4)]
宮崎県感染症週報
宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所
宮崎県平成25年第32週の発生動向
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)(全数把握対象)の報告が延岡保健所から1例あった。県内での報告は4例目となった。発症は7月下旬。60歳代女性、林業関係者で、ダニの刺し口はなく、海外渡航歴もなかった。
風しん(全数把握対象)の報告が宮崎市保健所から1例あり、32週までの累積報告数は23例となった。患者は2歳でワクチン接種歴は1回あった(1歳時)。
定点医療機関からの報告総数は817人(定点あたり25.8)で、前週比105%と増加した。
前週に比べ増加した主な疾患は手足口病と水痘で、減少した主な疾患は感染性胃腸炎であった。
インフルエンザ・小児科定点からの報告
【手足口病】
- 報告数は253人(7.0)で前週比115%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値*(4.2)の約1.7倍である。日向(11.0)、宮崎市(10.4)保健所からの報告が多く、年齢別では6ヶ月から2歳が全体の約8割を占めた。


【水痘】
- 報告数は45人(1.3)で前週比214%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値*(1.1)の約1.1倍である。日向(3.0)保健所からの報告が多く、年齢別では6ヶ月から4歳が全体の約9割を占めた。
* 過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値

基礎幹定点からの報告
- 無菌性髄膜炎:宮崎市保健所管内で1人報告された。患者は月齢0ヶ月で病原体不明。
- マイコプラズマ肺炎:日南保健所管内で1人報告された。患者は30歳代。
流行警報レベル開始基準値超過疾患
全数把握対象疾患(32週までに届出のあったもの)
- 1類感染症
報告なし。
- 2類感染症
結核6例。
- 3類感染症
腸管出血性大腸菌感染症2例。
- 4類感染症
デング熱2例、重症熱性血小板減少症候群1例。
- 5類感染症
梅毒1例、風しん1例。

全数把握対象疾患累積報告数(2013年第1週〜32週)

( )内は今週届出分、再掲
病原体情報(衛生環境研究所微生物部 平成25年8月12日までに検出)
ウイルス

- 髄膜炎、発疹、咳嗽等の症状を呈した乳児3名、幼児2名からエコーウイルス18型が分離された。
- 手足口病疑いの幼児2名からコクサッキーウイルスA6型が検出された。
- エコーウイルス感染症疑いの幼児1名からコクサッキーウイルスB3型が分離された。
細菌

- 都城保健所管内の保育園で0〜4歳児を中心としたO26:H11 VT1による腸管出血性大腸菌感染症の集団発生が起こった。国立感染症研究所の病原微生物検出情報Vol.34 No.5によると長野県の保育所ではプール水が原因と推定される腸管出血性大腸菌感染症O26:H11 VT1の集団感染事例が報告されており、プールに入る前に足の砂を落とすタライ水から当該菌が分離されている。また、厚生労働省による「保育所における感染症対策ガイドライン」(2012年11月改訂)では
@年少児が利用することの多い簡易用ミニプールも含めて、塩素消毒を含む水質管理の徹底
Aプール遊び前のシャワーとお尻洗いの徹底
B排泄が自立していない乳幼児には個別のたらいを用意し、プールを共用しない
などが推奨されている。この時期は宮崎県でも毎年、保育園等で腸管出血性大腸菌の集団感染が発生しており、食べ物を介した感染だけでなく、簡易用ミニプール水を介した感染拡大の防止にも注意する必要がある。
全国第31週の発生動向
定点医療機関あたりの患者報告総数は19.9で、前週比97%と横ばいであった。今週増加した主な疾患はRSウイルス感染症で、減少した主な疾患はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎であった。
RSウイルス感染症の報告数は1,109人(0.35)で前週比135%と増加した。沖縄県(1.5)、福岡県(1.3)、宮崎県(0.92)からの報告が多く、年齢別では2歳以下が全体の約9割を占めた。
手足口病の報告数は27,187人(8.7)で前週比98%と横ばいであった。新潟県(18.3)、埼玉県(17.2)、山梨県(16.0)からの報告が多く、年齢別では1歳から3歳が全体の約7割を占めた。
ヘルパンギーナの報告数は10,255人(3.3)で前週比96%と横ばいであった。山形県(9.0)、新潟県(8.5)、高知県(7.0)からの報告が多く、年齢別では1歳から4歳が全体の約7割を占めた。
全数把握対象疾患(全国第31週)
月報告対象疾患の発生動向 <7月>
性感染症
【宮崎県】 定点医療機関総数:13
定点医療機関からの報告総数は43人(3.3)で、前月比196%と増加した。また、昨年7月(2.7)の約1.2倍であった。
《疾患別》
- 性器クラミジア感染症
報告数27人(2.1)で、前月の約1.8倍、前年の約1.4倍であった。20歳代が全体の約6割を占めた。
- 性器ヘルペスウイルス感染症
報告数4人(0.31)で、前月と同程度、前年の約7割であった。20歳代が2人、30歳代・40歳代がそれぞれ1人であった。
- 尖圭コンジローマ
報告数1人(0.08)で、前月及び前年と同程度であった。患者は20歳代であった。
- 淋菌感染症
報告数11人(0.85)で、前月の約5.5倍、前年の約1.4倍であった。20歳代が全体の約6割を占めた。

【全国】定点医療機関総数:974
定点医療機関からの報告総数は4,524人(4.6)で、前月比107%と増加した。疾患別報告数は、性器クラミジア感染症2,342人(2.4)で前月比107%、性器ヘルペスウイルス感染症771人(0.79)で前月比105%、尖圭コンジローマ533人(0.55)で前月比106%、淋菌感染症878人(0.90)で前月比111%であった。
薬剤耐性菌
【宮崎県】 定点医療機関総数:7
定点医療機関からの報告総数は42人(6.0)で前月比114%と増加した。また、昨年7月(2.9)の約2.1倍であった。
《疾患別》
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
報告数41人(5.9)で、前月の約1.2倍、前年の約2.4倍であった。70歳以上が全体の約半数、5歳未満が約3割を占めた。
- ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
報告はなかった。
- 薬剤耐性緑膿菌感染症
報告数1人(0.14)で、前月及び前年と同程度であった。患者は70歳以上であった。
- 薬剤耐性アシネトバクター感染症
報告はなかった。
【全国】 定点医療機関総数:470
定点医療機関からの報告総数は1,975人(4.2)で、前月比108%と増加した。疾患別報告数は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症1,679人(3.6)で前月比109%、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症254人(0.54)で前月比106%、薬剤耐性緑膿菌感染症40人(0.09)で前月比113%、薬剤耐性アシネトバクター感染症2人であった。
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