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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2015年第28号

第17巻28号[宮崎県第28週(7/6〜7/12)全国第27週(6/29〜7/5)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県2015年第28週の発生動向

トピックス

後天性免疫不全症候群(全数報告の感染症)の報告が宮崎市保健所から3例あった。病名は無症候性キャリアが1例、AIDSが2例であった。県内の今年の報告数は累計11例となり、現行の感染症法となった平成11年以降最も報告数の多かった昨年の第28週累計報告数(4例))の約2.8倍と多い。年齢群別では30歳代が全体の46%を占める。また、推定感染経路は性行為感染が全体の82%を占める。

2015年:第1週〜第28週のデータ
その他※※:AIDS指標疾患以外の発症例
腸管外アメーバ症等
その他※※※:刺青等

全数報告の感染症(28週までに新たに届出のあったもの)
  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核4例。
  • 3類感染症
    腸管出血性大腸菌感染症1例。
  • 4類感染症
    報告なし。
  • 5類感染症
    急性脳炎1例、後天性免疫不全症候群3例。

全数把握対象疾患累積報告数(2015年第1週〜28週)

( )内は今週届出分、再掲

定点把握の対象となる5類感染症

・定点医療機関からの報告総数989人(定点当たり29.4)で、前週比91%と減少した。前週に比べ増加した主な疾患はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎と伝染性紅斑と流行性耳下腺炎で、減少した主な疾患はヘルパンギーナであった。

インフルエンザ・小児科定点からの報告

【手足口病】
・報告数は320人(8.9)で、前週比105%とやや増加した。流行警報レベル開始基準値を4週連続で超過した。例年同時期の定点当たり平均値*(5.8)の約1.5倍と多い。中央(21.0)、延岡(13.3)、小林(12.7)保健所からの報告が多く、年齢別は1〜2歳が全体の約6割を占めた。
過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値

【ヘルパンギーナ】
・報告数は151人(4.2)で、前週比88%と減少した。例年同時期の定点当たり平均値(6.4)の約0.7倍であった。日南(8.3)、日向(7.3)、延岡(6.0)保健所からの報告が多く、年齢別では1〜2歳が全体の約6割を占めた。

流行警報・注意報レベル基準値超過疾患

病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成27年7月13日までに検出)

ウイルス

○手足口病(疑いも含む)の乳幼児4名から、それぞれコクサッキーA6型、A9型、A10型、A16型が分離・検出された。また、発疹症およびエンテロウイルス感染症疑いの乳幼児8名から、コクサッキーA9型が分離された。全国のエンテロウイルスの検出状況をみると、コクサッキーA16が一番多く、次いでA6、A10の順に多く認めるが、当所では、A9の分離が多い傾向にある。先月より手足口病や発疹症、エンテロウイルス感染症疑いの検体が増加しており、引き続き発生動向に注視していく必要がある。
○水痘と診断された乳児から水痘・帯状疱疹ウイルス(ヘルペスウイルス3型)が検出された。
○百日咳疑いの乳児からパラインフルエンザ3型が検出された。全国でみると、5月から6月にかけて検出数が増加している。当所では6月に1件検出されている。今後の発生動向に注意していく必要がある。
○呼吸器症状を伴う乳児と不明の発疹症の小児からライノウイルスが検出された。

細菌

2名の患者から腸管病原性大腸菌(EPEC)が分離された。EPECの判定基準はeae(インチミン遺伝子)陽性の大腸菌で、ST/LT/VTを持たない大腸菌とされている。EPECは細胞に強固に接着することで微絨毛などを破壊し下痢を引き起こす。乳幼児においてはしばしば重症化し、コレラ様の脱水症状が見られることもある。

全国第27週の発生動向

全数報告の感染症(全国第27週)
定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比103%とほぼ横ばいであった。前週と比較して増加した主な疾患は手足口病とヘルパンギーナで、減少した主な疾患は咽頭結膜熱と感染性胃腸炎であった。

手足口病の報告数は17,294人(5.5)で前週比120%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値(3.9)の約1.4倍と多い。福井県(15.0)、京都府(13.0)、香川県(11.1)からの報告が多く、年齢別では1〜2歳が全体の約半数を占めた。

ヘルパンギーナの報告数は6,045人(1.9)で前週比129%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値(3.4)の約0.6倍と少ない。三重県(7.9)、福岡県(7.3)、愛媛県(6.2)からの報告が多く、年齢別では1〜2歳が全体の約半数を占めた。

月報告対象疾患の発生動向 <2015年6月>

性感染症

【宮崎県】 定点医療機関総数:13
定点医療機関からの報告総数は34人(2.6)で、前月比85%と減少した。また、昨年6月(3.3)の約0.8倍であった。
《疾患別》
○性器クラミジア感染症:報告数23人(1.8)で、前月及び昨年6月の約0.9倍であった。年齢別では20歳代が全体の約4割を占めた。(男性9人・女性14人)
○性器ヘルペスウイルス感染症:報告数3人(0.23)で、前月の0.5倍、昨年6月の1.5倍であった。年齢別では50歳代が全体の約7割を占めた。(男性1人・女性2人)
○尖圭コンジローマ:報告数3人(0.23)で、昨年6月の3.0倍であった(前月報告なし)。年齢別では、20歳代が全体の約7割を占めた。(男性3人)
○淋菌感染症:報告数5人(0.38)で、前月の約0.7倍、昨年6月の約0.4倍であった。年齢別では20歳代が全体の約4割を占めた。(男性4人・女性1人)

【全国】定点医療機関総数:976
定点医療機関からの報告総数は3,974人(4.1)で、前月比102%とほぼ横ばいであった。疾患別報告数は、性器クラミジア感染症2,043人(2.1)で前月比104%、性器ヘルペスウイルス感染症782人(0.80)で前月比99%、尖圭コンジローマ471人(0.48)で前月比96%、淋菌感染症678人(0.69)で前月比102%であった。

薬剤耐性菌

【宮崎県】 定点医療機関総数:7
定点医療機関からの報告総数は18人(2.6)で前月比120%と増加した。また昨年6月(2.9)の0.9倍であった。
《疾患別》
○メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症:報告数17人(2.4)で、前月の約1.1倍、昨年6月の約1.2倍であった。70歳以上が全体の約7割を占めた。
○ペニシリン耐性肺炎球菌感染症:報告数1人(0.14)で、昨年6月の0.2倍であった(前月報告なし)。
○薬剤耐性緑膿菌感染症 :報告はなかった。

【全国】 定点医療機関総数:476
定点医療機関からの報告総数は1,567人(3.3)で、前月比105%とやや増加した。疾患別報告数は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症1,365人(2.9)で前月比106%、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症183人(0.38)で前月比97%、薬剤耐性緑膿菌感染症19人(0.04)で前月比100%であった。

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