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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2015年第32号

第17巻32号[宮崎県第32週(8/3〜8/9)全国第31週(7/27〜8/2)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県2015年第32週の発生動向

トピックス

腸管出血性大腸菌感染症(全数報告の感染症)の報告が都城保健所管内で3例、高鍋保健所管内で2例あった。2015年の累計報告数は23例で、昨年第32週(累計17例)の約1.4倍とやや多い。

 

全数報告の感染症(32週までに新たに届出のあったもの)
  • 1類感染症
    報告なし。
  • 2類感染症
    結核7例。
  • 3類感染症
    腸管出血性大腸菌感染症5例。
  • 4類感染症
    報告なし。
  • 5類感染症
    カルバペネム耐性腸内細菌感染症1例。

全数把握対象疾患累積報告数(2015年第1週〜32週)

( )内は今週届出分、再掲

定点把握の対象となる5類感染症

・定点医療機関からの報告総数1,119人(定点当たり34.9)で、前週比95%とやや減少した。前週に比べ増加した主な疾患はRSウイルス感染症で、減少した主な疾患は手足口病とヘルパンギーナであった。

インフルエンザ・小児科定点からの報告

【手足口病】
・報告数は588人(16.3)で、前週比83%と減少した。第19週以降12週ぶりに減少に転じたが、依然流行警報レベルを超過している。例年同時期の定点当たり平均値(4.4)の約3.8倍と多い。宮崎市(19.7)、高鍋(18.8)、延岡(18.3)保健所からの報告が多く、年齢別は1〜2歳が全体の約6割を占めた。

【ヘルパンギーナ】
・報告数は133人(3.7)で、前週比84%と減少した。例年同時期の定点当たり平均値(3.5)の約1.1倍であった。日南(8.3)、日向(8.0)保健所からの報告が多く、年齢別では1〜2歳が全体の約半数を占めた。

過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値。

 

基幹定点からの報告

○無菌性髄膜炎:都城保健所管内で3例報告された。0歳が1例、1〜4歳が2例で、病原体はいずれもRSウイルスであった。
○マイコプラズマ肺炎:延岡保健所管内で1例報告された。1〜4歳であった。

流行警報・注意報レベル基準値超過疾患

病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成27年8月10日までに検出)

細菌

当所において今年度初めて、Legionella pneumophila SG1が分離された。レジオネラ症は、レジオネラ属菌に汚染された目に見えないほどの細かい水滴(エアロゾル)を吸い込むことで感染する。レジオネラ属菌は自然界に広く存在しており、私たちの周辺から完全に取り除くことは困難である。健康な人も感染するが、特に高齢者や幼児、ほかの病気にかかっているなど、抵抗力の弱い人は感染しやすいので注意が必要である。

ウイルス

○肝機能障害を伴う不明熱の小児からライノウイルスが分離された。ライノウイルスの主な臨床症状は鼻漏、鼻閉、くしゃみなどの呼吸器症状であり、急性の呼吸器感染症の約50%の原因ウイルスといわれている。一方で、肝機能障害、感染性胃腸炎、無菌性髄膜炎、急性脳症・脳炎など、呼吸器系以外の臨床診断症例においても、ライノウイルスが検出されているとの報告がある。本症例も肝機能障害を認めている。これらは、呼吸器系以外の感染症の病因になっている可能性が示唆され、注目されている。
○急性脳症疑いの乳児からサイトメガロウイルスが検出された。サイトメガロウイルスは通常、乳幼児期に感染し、以降、潜伏感染する。本症例について、咽頭ぬぐい液ではウイルスが検出されたが、髄液では検出されていないため、サイトメガロウイルスが急性脳症の起因ウイルスであるかは不明である。
○水痘と診断された乳児から水痘・帯状疱疹ウイルスが検出された。水痘・帯状疱疹ウイルスの検査は、主に水疱液、咽頭ぬぐい液、髄液、末梢血リンパ球などの検体で行うが、本症例では便検体からウイルスが検出された。症状のひとつである水疱形成は皮膚のみならず、口腔や消化管粘膜に見られることもあるため、今回、便中にウイルスが検出された可能性がある。
○ヘルペス口内炎を伴う乳児、手足口病または水痘疑いの乳児からヒトヘルペスウイルス6型が検出された。ヒトヘルペス6型は突発性発疹の原因ウイルスとして知られている。2歳までにほとんどの小児が初感染し、以降、唾液腺やリンパ節、神経系などに潜伏感染する。そのため、咽頭ぬぐい液から検出されても、既感染であることを証明するのみになる可能性がある。ウイルス遺伝子の検出においては、通常ウイルスが存在しない部位(血漿、髄液など)からのウイルスDNA検出、もしくはウイルスDNAの定量が求められる。検査結果の解釈の際は、他の検査、臨床所見と合わせ総合的に判断する必要がある。

全国第31週の発生動向

全数報告の感染症(全国第31週)
定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比106%とやや増加した。前週と比較して増加した主な疾患はRSウイルス感染症と手足口病で、減少した主な疾患は水痘と伝染性紅斑であった。

手足口病の報告数は32,289人(10.3)で前週比109%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値(4.0)の約2.5倍と多い。新潟県・宮崎県(各19.6)、宮城県・山形県(各18.7)からの報告が多く、年齢別では1〜2歳が全体の約半数を占めた。

ヘルパンギーナの報告数は9,603人(3.1)で前週比108%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値(3.5)の約0.9倍であった。和歌山県・大分県(各6.0)、山梨県(5.8)、三重県・佐賀県(各5.7)からの報告が多く、年齢別では1〜2歳が全体の約半数を占めた。

月報告対象疾患の発生動向 <2015年7月>

性感染症

【宮崎県】 定点医療機関総数:13
定点医療機関からの報告総数は45人(3.5)で、前月比132%と増加した。また、昨年7月(1.9)の約1.9倍であった。
《疾患別》
○性器クラミジア感染症:報告数28人(2.2)で、前月の約1.2倍、昨年7月の約2.2倍と多い。20歳代が全体の約6割を占めた。(男性11人・女性17人)
○性器ヘルペスウイルス感染症:報告数4人(0.31)で、前月の約1.3倍、昨年7月と同じであった。30歳代が全体の半数を占めた。(女性4人)
○尖圭コンジローマ:報告数2人(0.15)で、前月の約0.7倍、昨年7月と同じであった。(男性2人)
○淋菌感染症:報告数11人(0.85)で、前月及び昨年7月の2.2倍と多い。20歳代が全体の約8割を占めた。(男性9人・女性2人)

【全国】定点医療機関総数:979
定点医療機関からの報告総数は4,233人(4.3)で、前月比106%とやや増加した。疾患別報告数は、性器クラミジア感染症2,175人(2.2)で前月比106%、性器ヘルペスウイルス感染症737人(0.75)で前月比94%、尖圭コンジローマ509人(0.52)で前月比108%、淋菌感染症812人(0.83)で前月比120%であった。

薬剤耐性菌

【宮崎県】 定点医療機関総数:7
定点医療機関からの報告総数は25人(3.6)で前月比139%と増加した。また昨年7月(4.9)の約0.7倍であった。
《疾患別》
○メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症:報告数24人(3.4)で、前月の約1.4倍、昨年7月の約0.8倍であった。70歳以上が全体の半数を占めた。
○ペニシリン耐性肺炎球菌感染症:報告数1人(0.14)で、前月と同じで、昨年7月の0.5倍であった。
○薬剤耐性緑膿菌感染症 :報告はなかった。

【全国】 定点医療機関総数:475
定点医療機関からの報告総数は1,580人(3.3)で、前月比101%とほぼ横ばいであった。疾患別報告数は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症1,391人(2.9)で前月比102%、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症162人(0.34)で前月比90%、薬剤耐性緑膿菌感染症27人(0.06)で前月比150%であった。

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