所長挨拶 研究所の紹介 発表・調査研究 情報・ニュース 宮崎県感染症情報センター 見学と研修のお申し込み リンク集 お問い合わせ

宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2017年第22号

第19巻22号[宮崎県第22週(5/29〜6/4)全国第21週(5/22〜5/28)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第22週の発生動向

トピックス

手足口病(定点把握対象)
第22週(5/29〜6/4)の県内の定点当たり報告数は5.2で、今年初めて流行警報レベル開始基準値(5.0)を超えた。2015年と比較して3週間早くなっている(2016年は流行警報レベル開始基準値超えず)。詳細後述。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
(全数報告の感染症)の報告が宮崎市(2例)、日南(1例)保健所から報告があった。県内での報告は今年4〜6例目で、累計42例(平成25年3月届出開始以降)である。患者の60歳代女性はダニの刺し口があり、70歳代男性及び80歳代女性はダニの刺し口はない。発症は、いずれも5月下旬で、海外渡航歴はない。

全数報告の感染症(22週までに新たに届出のあったもの)
  • 1類感染症:報告なし。
  • 2類感染症:結核5例。
  • 3類感染症:腸管出血性大腸菌感染症2例。
  • 4類感染症:重症熱性血小板減少症候群3例、日本紅斑熱1例。
  • 5類感染症:カルバペネム耐性腸内細菌感染症2例。

全数把握対象疾患累積報告数(2017年第1週〜22週)

(   )内は今週届出分、再掲

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関からの報告総数は760人(定点当たり22.9)で、前週比94%と減少した。なお、前週に比べ増加した主な疾患は手足口病とヘルパンギーナで、減少した主な疾患は感染性胃腸炎である。

インフルエンザ・小児科定点からの報告

【手足口病】
報告数は186人(5.2)で、前週比149%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(1.3)の約4.1倍である。中央(11.0)、都城、日向(各8.0)保健所からの報告が多く、年齢別は1〜2歳が全体の約7割を占めた。

【A群溶血性レンサ球菌咽頭炎】
報告数は119人(3.3)で、前週比103%とほぼ横ばいであり、例年同時期の定点当たり平均値*(3.4)の約1.0倍である。中央(11.0)、高千穂(9.0)、宮崎市(4.7)保健所からの報告が多く、年齢別は3〜6歳が全体の約6割を占めた。

*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値

基幹定点からの報告

○感染性胃腸炎(ロタウイルス):日南(3例)、都城(1例)保健所から報告があり、いずれも0〜4歳であった。なお、病原体の群別は不明である。

保健所別 流行警報・注意報レベル基準値超過疾患

病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成29年6月5日までに検出)

細菌

○2名の男児から、Salmonella Stanleyが分離された。S. Stanleyは、2014年度・2015年度と当所では全く分離されていないが、2016年度に6件分離され、今年度はすでに5件分離されている。今後、食中毒の発生や患者数の増加が認められた場合には、共通の感染源がないか探索する必要がある。

ウイルス

○髄膜炎、脳炎の症状のある幼児の咽頭ぬぐい液と髄液からムンプスウイルスが検出された。ムンプスウイルスは唾液を通じて、空気感染や接触感染などにより感染する。一般的に2〜12歳の子供に感染するが、3〜4割は不顕性感染であるとされている。ムンプスウイルスによる髄膜炎は、髄膜炎の中では比較的症状が軽いが、重症化すると脳炎を起こす場合もあり、まれに顔面神経麻痺などの後遺症が残る場合もあることから、注意が必要である。

○ライノウイルスが、呼吸器症状などを呈した10名の咽頭ぬぐい液および鼻汁から検出された。ライノウイルスの流行は、春と秋とされている。当所における昨年4月〜6月末までのライノウイルス検出数は4件であったが、今年は4月〜6月上旬までに14件検出されており、今後の発生動向に注意が必要である。

○ワクチン接種後の幼児の咽頭ぬぐい液および血液から麻疹ウイルスが検出された。麻疹ワクチン接種後の副反応として、発熱や発疹などの症状を呈することもあるが、野生株麻疹に比べ症状は軽いとされている。また、これまでのところ、ワクチン株麻疹の患者から他人へ感染した事例は報告されていない。

全国2017年第21週の発生動向

全数報告の感染症(全国第21週)

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比100%と横ばいであった。なお、前週と比較して増加した主な疾患は咽頭結膜熱と水痘で、減少した主な疾患はインフルエンザと流行性耳下腺炎である。

RSウイルス感染症の報告数は698人(0.22)で前週比96%とほぼ横ばいであり、例年同時期の定点当たり平均値*(0.11)の2.0倍である。沖縄県(2.8)、北海道(0.94)、新潟県(0.51)からの報告が多く、年齢別では1歳以下が全体の約8割を占めた。

咽頭結膜熱の報告数は2,867人(0.91)で前週比140%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(0.61)の約1.5倍である。鹿児島県(1.9)、北海道、山梨県(各1.8)からの報告が多く、年齢別では1〜3歳が全体の約6割を占めた。

* 過去5 年間の当該週、前週、後週(計15 週)の平均値

PDFファイルダウンロード


宮崎県衛生環境研究所
〒889-2155 宮崎市学園木花台西2丁目3-2 / 電話.0985-58-1410 FAX.0985-58-0930