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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2018年第10号

第20巻第10号[宮崎県第10週(3/5〜3/11)全国第9週(2/26〜3/4)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第10週の発生動向

トピックス
  • A型肝炎(全数把握対象疾患)
    今週2例の届出があり、昨年第52週から10週までの県内累計は17例となった。保健所別は宮崎市が14例、都城が2例、日南が1例であり、病型は患者が15例、無症状病原体保有者が2例である。年齢群別では20歳代が全体の約半数を占め、主な症状として全身倦怠感、発熱、食欲不振、黄疸、肝機能異常等がみられた。A型肝炎ワクチン接種歴、海外渡航歴はいずれも不明もしくは無い。また、遺伝子型は判明している11例全てでIAである。
  • インフルエンザ(定点把握対象疾患)
    インフルエンザの定点当たり報告数が9.0と前週の約半数に減少し、今シーズン流行期に入って初めて流行警報レベル終息基準値(10.0)を下回りました(詳細後述)。
全数報告の感染症(10週までに新たに届出のあったもの)
  • 1類感染症:報告なし。
  • 2類感染症:結核4例。
  • 3類感染症:報告なし。
  • 4類感染症:E型肝炎1例、A型肝炎2例。
  • 5類感染症:ウイルス性肝炎1例、カルバペネム耐性腸内細菌感染症1例、クロイツフェルト・ヤコブ病1例、侵襲性インフルエンザ菌感染症1例、百日咳2例。

全数把握対象疾患累積報告数(2018年第1週〜10週)

(   )内は今週届出分、再掲

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関からの報告総数は1,292人(定点当たり33.9)で、前週比87%と減少した。なお、前週に比べ増加した主な疾患は咽頭結膜熱と感染性胃腸炎で、減少した主な疾患はインフルエンザである。

インフルエンザ・小児科定点からの報告

【インフルエンザ】
報告数は529人(9.0)で、前週比48%と減少し、例年同時期の定点当たり平均値*(22.1)の約0.4倍である。小林(18.4)、都城(12.4)、日南(11.6)保健所からの報告が多く、年齢別は10歳未満が全体の半数以上を占めている。

【感染性胃腸炎】
報告数は497人(13.8)で、前週比133%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(12.3)の約1.1倍である。小林(28.3)、日南(26.0)、日向(19.5)保健所からの報告が多く、年齢別は1〜4歳が全体の半数以上を占めている。

*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値

基幹定点からの報告
  • 感染性胃腸炎(ロタウイルス)
    報告数は18例で、日向(16例)、延岡、高鍋(各1例)保健所からの報告であった。0〜4歳が12例、5〜9歳が5例、10歳代が1例で、病原体の群別は不明である。
保健所別 流行警報・注意報レベル基準値超過疾患

病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成30年3月12日までに検出)

細菌

10代前半の小児より百日咳菌(Bordetella pertussis)が遺伝子検査により検出された。平成30年1月1日より感染症法が改正され、これまでの小児科定点把握疾患から全数把握疾患となり、LAMP法などを含むPCR法による検出も届出のための検査所見として認められることとなった。当所では、Real-time PCR法とLAMP法の2種類の遺伝子検査と分離培養を実施しているが、抗菌薬服用後の検体では偽陰性になる可能性があるため注意が必要である。LAMP法を用いた遺伝子検査については、平成28年11月より関連学会が定めるガイドラインの百日咳診断基準における臨床診断例定義を満たす患者に対して保険適用となり、大手検査会社による受託検査も始まっている。

ウイルス

○A型肝炎と診断された成人2名からA型肝炎ウイルスTAが検出された。当所では今年に入り、A型肝炎と診断された7名の遺伝子型別検査を実施しており、7名全員からA型肝炎ウイルスTAを検出している。全国でもTAが圧倒的に多く、次いでVA、UBとなっている。

○ウイルス性髄膜炎と診断された乳児の便・咽頭ぬぐい液からエンテロウイルス71型(EV71)が分離された。EV71は、コクサッキーウイルスA6型(CA6)やCA16とともに、手足口病の起因ウイルスとして知られている。また、EV71は他の手足口病起因ウイルスに比べ重症化しやすく、合併症として無菌性髄膜炎、脳炎を起こすことも知られている。全国の手足口病起因ウイルスの検出状況をみると、昨年はCA6が約半数を占めていたが、今年はEV71が多く検出されていることから、今後の動向に注目する必要がある。

全国2018年第9週の発生動向

全数報告の感染症(全国第9週)

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比84%と減少した。なお、前週と比較して増加した主な疾患は感染性胃腸炎(ロタウイルス)で、減少した主な疾患はインフルエンザである。

インフルエンザの報告数は86,179人(17.4)で前週比77%と減少し、例年同時期の定点当たり平均値*(18.4)の約0.9倍である。北海道(27.2)、富山県(25.6)、秋田県(25.5)、沖縄県(25.4)からの報告が多く、年齢別では10歳未満が全体の約半数を占めている。

手足口病の報告数は380人(0.12)で前週比109%と増加したが、例年同時期の定点当たり平均値*(0.15)の約0.8倍である。宮崎県(1.0)、沖縄県(0.88)、長崎県(0.77)からの報告が多く、年齢別では1〜3歳が全体の約7割を占めている。

感染性胃腸炎(ロタウイルス)の報告数は149人(0.31)で前週比119%と増加したが、例年同時期の定点当たり平均値*(0.34)の約0.9倍である。宮崎県(2.1)、広島県(1.7)からの報告が多く、年齢別では1〜9歳が全体の約9割を占めている。

* 過去5年間の当該週、前週、後週(計15 週)の平均値

月報告対象疾患の発生動向 <2018年2月>

性感染症

【宮崎県】 定点医療機関総数:13
定点医療機関からの報告総数は23人(1.8)で、前月比92%と減少した。また、昨年2月(3.1)の58%である。

《疾患別》

  • 性器クラミジア感染症
    報告数14人(1.1)で、前月及び昨年2月の0.7倍である。20〜24歳が全体の半数を占めた。(男性5人・女性9人)
  • 性器ヘルペスウイルス感染症
    報告数6人(0.46)で、前月の3.0倍、昨年2月の1.5倍である。(女性6人)
  • 尖圭コンジローマ
    報告数1人(0.08)で、昨年2月の約0.1倍である。(男性1人)(前月報告なし)
  • 淋菌感染症
    報告数2人(0.15)で、前月の約0.7倍、昨年2月の約0.2倍である。(男性1人・女性1人)

【全国】定点医療機関総数:975
定点医療機関からの報告総数は3,414人(3.5)で、前月比91%と減少した。疾患別報告数は、性器クラミジア感染症1,821人(1.9)で前月比93%、性器ヘルペスウイルス感染症683人(0.70)で前月比95%、尖圭コンジローマ370人(0.38)で前月比91%、淋菌感染症540人(0.55)で前月比80%である。

薬剤耐性菌

【宮崎県】 定点医療機関総数:7
定点医療機関からの報告総数は18人(2.6)で、前月比120%と増加した。また、昨年2月と同率である。

《疾患別》

  • メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
    報告数15人(2.1)で、前月と同率、昨年2月の約0.9倍である。70歳以上が全体の7割以上を占めている。
  • ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
    報告数3人(0.43)で、昨年2月の3.0倍である。(前月報告なし)
  • 薬剤耐性緑膿菌感染症
    報告なし。

【全国】 定点医療機関総数:476
定点医療機関からの報告総数は1,485人(3.1)で、前月比95%と減少した。疾患別報告数は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症1,317人(2.8)で前月比97%、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症159人(0.33)で前月比83%、薬剤耐性緑膿菌感染症9人(0.02)で前月と同率である。

インフルエンザ情報《県内第10週、全国第9週(再掲)》

県内第10週インフルエンザ発生動向

2018年3月5日〜3月11日までの1週間で529人(9.0)の報告があった。前週の約0.5倍と減少し、例年同時期の定点当たり平均値*(22.1)の約0.4倍である(図1)。保健所別推移を図2に示す。年齢群別では5歳未満が全体の21%、5-9歳が30%、10-14歳が11%、15-19歳が4%、20-59歳が24%、60歳以上が10%を占めている(図3)。

*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値


全国第9週インフルエンザ発生動向

2018年2月26日〜3月4日までの1週間で86,179人(17.4)の報告があり、前週の約0.8倍と減少した。北海道(27.2)、富山県(25.6)、秋田県(25.5)、沖縄県(25.4)からの報告が多い。年齢群別では5歳未満が全体の19%、5-9歳が28%、10-14歳が15%、15-19歳が5%、20-59歳が22%、60歳以上が11%である。

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