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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2023年第24号

第25巻第24号 [宮崎県第24週 (6/12〜6/18) 全国第23週(6/5〜6/11)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県感染症対策課
宮崎県衛生環境研究所

令和5年第24週の発生動向

トピックス
  • 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)(全数報告の感染症)の報告が高千穂保健所管内からあった。患者は60歳代の男性で、ダニの刺し口は確認できなかった。県内での報告は、累計104例となった。

全数報告の感染症(24週までに新たに届出のあったもの)
  • 1類感染症:報告なし。
  • 2類感染症:結核3例。
  • 3類感染症:報告なし。
  • 4類感染症:重症熱性血小板減少症候群1例、日本紅斑熱1例。
  • 5類感染症:アメーバ赤痢1例、梅毒4例。

 

全数把握対象疾患累積報告数(2023年第1週〜第24週)

(   )内は今週届出分、再掲

定点把握の対象となる5類感染症

・定点医療機関からの報告総数は1,751人(定点当たり40.3)で、前週比105%と増加した。なお、前週に比べ増加した主な疾患はインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症及び咽頭結膜熱で、減少した主な疾患はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎であった。

インフルエンザ・小児科定点からの報告
【新型コロナウイルス感染症】

報告数は341人(5.9)で、前週比142%と増加した。日向(10.2)、中央(9.5)、高鍋(7.7)保健所からの報告が多く、年齢群別は別グラフに示す。

【インフルエンザ】

報告数は473人(8.2)で、前週比125%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.06)の約128.8倍であった。都城(21.1)、小林(18.0)、日南(14.4)保健所からの報告が多く、年齢群別は5歳から9歳が全体の約4割を占めた。

【ヘルパンギーナ】

報告数は362人(10.1)で、前週比94%と減少した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.56)の約17.9倍であった。中央(18.0)、都城(13.8)、延岡(12.0)保健所からの報告が多く、年齢群別は1歳から4歳が全体の約7割を占めた。

*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均

基幹定点からの報告

なし

保健所別 流行警報・注意報レベル基準値以上の疾患

病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 令和5年6月19日までに検出)

細菌

○70歳代の女性から、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)が分離された。ETECは小腸粘膜上皮細胞に付いて増え、エンテロトキシンと呼ばれる毒素を出して下痢を起こす。エンテロトキシンには易熱性毒素(LT)と耐熱性毒素(ST)の2種類があり、ETECはその一方または両方の産生性あるいは毒素遺伝子が確認された大腸菌である。ETEC 感染症による主症状は下痢であり嘔吐を伴うことも多く、重症例(特に小児)の場合コレラと同様に脱水症状に陥ることがある。ETECは、大規模な食中毒あるいは海外旅行者下痢症の原因となることの多い下痢原性大腸菌であるので、注意が必要である。

ウイルス

○発熱等の症状を呈する患者12名からインフルエンザウイルスAH3が分離・検出された。その内6名は、5月に発生した宮崎市内の高校での集団感染事例である。
○乳幼児2名と小児1名からライノウイルスが検出された。ライノウイルスは、小児から高齢者まで幅広い年齢層に上気道炎のみならず下気道炎(気管支炎や肺炎など)を起こし、喘息や慢性肺疾患の増悪を引き起こすこともあるので注意が必要である。

新型コロナウイルスゲノム解析結果情報(衛生環境研究所微生物部)

その他のX系統も含むXBB系統は第24週で約90%を占めており、特にXBB.1.5系統が52%を占めています。
「X」で始まる名前は遺伝子組換えで発生した系統に付けられます。
XBBはBJ.1(BA.2.10.1系統)/BM.1.1.1(BA.2.75.3系統)の組換え株です。
ゲノム解析は概ね前週の検体を用いて実施しています。なお、解析検体数が多くない場合は割合の変動が大きくなります。
衛生環境研究所においては、県内医療機関の協力のもと、新型コロナウイルスのPCR陽性となった検体を毎週収集し、ゲノム解析を実施しています。

全国2023年第23週の発生動向

全数報告の感染症

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比110%と増加した。なお、前週と比較して増加した主な疾患はRSウイルス感染症、手足口病、ヘルパンギーナ及び流行性耳下腺炎で、減少した主な疾患はインフルエンザであった。

新型コロナウイルス感染症の報告数は25,163人(5.1)で前週比112%と増加した。沖縄県(18.4)、鹿児島県(7.4)、石川(6.6)からの報告が多く、年齢群別では20歳未満が全体の約4割を占めた。

インフルエンザの報告数は6,688人(1.4)で前週比89%と減少した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.10)の約13.8倍であった。宮崎県(6.5)、鹿児島県(5.1)、長崎県(4.7)からの報告が多く、年齢群別では15歳未満が全体の約7割を占めた。

ヘルパンギーナの報告数は9,390人(3.0)で前週比160%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.23)の約13.3倍であった。宮崎県(10.7)、和歌山県(7.1)、愛媛県(6.1)、大分県(6.1)からの報告が多く、年齢群別では1歳から5歳が全体の約8割を占めた。

* 過去5年間の当該週、前週、後週(計15 週)の平均値

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