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宮崎県衛生環境研究所の外部評価について

平成29年度外部評価を受けて


  1. はじめに
    当研究所は、平成19年4月に「宮崎県衛生環境研究所調査研究課題評価実施要綱」を策定し、研究課題の公平性・客観性・透明性の確保に努めて参りました。
    この要綱に基づき、平成29年8月24日に、外部の有識者(別表1)で構成される「調査研究評価委員会(以下「委員会」という。)」を開催し、平成28年度に終了した調査研究課題、平成29年度も継続して実施する課題及び平成29年度から新たに実施する課題の中で特に重要な6つの調査研究課題に対して、幅広い視点から数多くの有益な意見や助言をいただきました。
  2. 評価結果と今後の対応
    今回の課題に対する評価、意見等については別表2のとおりで、評価については5段階評価で、いずれも4(高く評価できる)または5(非常に高く評価できる)でした。
    委員会で出された貴重な意見等を参考に、実際に調査研究課題に取り組んでいく中で、一部計画の見直しなどを行いました。
    今後とも、委員会の意見等を踏まえ、所業務の活性化に取り組んでいくとともに、県内における保健衛生・環境保全分野における科学的・技術的中核機関としての職務の遂行に努めて参ります。

別表1 宮崎県衛生環境研究所調査研究評価委員会委員名簿
(任期 平成29年4月1日〜平成31年3月31日)

氏名 所属
南嶋 洋一(委員長) 古賀総合病院 臨床検査部長(宮崎大学名誉教授)
山本 隆一 九州保健福祉大学 副学長
村 一志 宮崎県医師会 常任理事
後藤 義孝 宮崎大学農学部 獣医学科教授
土手 裕 宮崎大学工学部 社会環境システム工学科教授


別表2 調査研究課題に対する評価委員会の主な意見と所としての対応

本県に生息するデングウイルス媒介蚊の生息状況及び蚊からのウイルス検出に関する研究









本県に生息するデングウイルス媒介蚊の生息状況及び蚊からのウイルス検出に関する研究

研究期間
平成27年度〜平成29年度

評価:4
(高く評価できる)

意見1 県内で捕捉されたヒトスジシマカのデングウイルスが陰性であった調査結果は、県民にとって重要な情報であることから、今後も調査継続が望まれる。
対応 国内におけるデング熱の輸入感染者数は年々増加傾向にあり、県内でもデング熱の輸入感染が報告されていることから、今後も蚊のモニタリング調査を実施することは当所としても必要であると考えております。しかしながら、当該調査は、国庫予算1/2を含む県の事業として取り組んでいることから、最終的には事務局である感染症対策室と協議の上、決定したいと考えております。
意見2 蚊の生息状況調査は、対象とする蚊の行動習性をふまえ、採取時間帯、採取場所の条件を各保健所で統一するなど、研究精度を高めていただきたい。
対応 採取条件の統一は、各保健所の業務の都合上、難しいところがありますが、御指摘のとおり、対象とする蚊によって行動習性が異なるため、ヒトスジシマカの昼間吸血性という習性を考慮した上で、今後モニタリング調査を実施したいと考えております。
意見3 ネッタイシマカは、東南アジアでは優先種であり、地球温暖化による生息北限の北上が予想され、九州でも5月から10月の間は生息可能とされているので、宮崎空港及びその周辺ではネッタイシマカも意識しておく必要があるのではないか。
対応 宮崎空港における蚊の調査は、福岡検疫所宮崎空港出張所が行っているため、検疫所との情報交換を行っていきたいと考えております。
意見4 今後、メスの成虫に加えて、幼虫(ボウフラ)の分布も調査対象とし、その調査結果を発生源対策による抜本的媒介蚊防除対策に反映させては如何であろう。
対応 御指摘のとおり、幼虫がどこに発生しているかを知ることは、蚊を防除する必要が出てきた場合に重要な情報となるため、今年度の宮崎県蚊媒介感染症対策会議での協議の中で、検討していきたいと考えております。
意見5 デング熱は日本に定着している懸念がありましたが、まだ大丈夫でしょうか。
対応 デング熱の国内感染は2014年以来報告されていないため、定着している可能性は低いと思われます。しかし、国内のデング熱輸入感染報告数は増加していることに加え、ヒトスジシマカの生息域の北限の上昇も報告されていることから、いつ定着してもおかしくない状況ではあると考えられます。
意見6 冬でも気温の高い繁華街ではシマカは越冬できないのでしょうか。
対応 シマカを含む蚊の活動は、22℃〜31℃が適温であり、冬の繁華街は場所によってはこの温度条件を満たす可能性がありますが、下草や灌木があるところといった気温以外の条件も必要とされていますので、この条件を満たさない繁華街では越冬できる可能性は低いと考えられます。
意見7 デングウイルスのみならず、他の蚊媒介感染症も考慮した複数ウイルスを一斉検出する方法の検討といった取り組みも、積極的に県民に広くアピールしていただくことが大切ではないか。
対応 他の蚊媒介感染症も含め、一斉に検出する検査方法を構築することは、デング熱以外の患者発生に備えることができ、かつ、検査効率を向上することとなるため、今後も努力してまいります。
意見8 ダニ媒介性ウイルス感染症やリケッチア症といった昆虫媒介性の感染症が宮崎県では常態化していることから、単に調査結果を示すだけでなく、防除対策を含めた衛生管理の方法を広報などを通じて広く県民に周知してもらうための工夫をお願いしたい。
対応 ダニ媒介性ウイルス感染症等の調査研究は当所でも実施しており、その結果に基づき、感染症対策室が県民に周知を行っております。今回の調査結果も、関係機関と情報を共有した上で、適宜周知してまいります。
市場流通品の生鮮魚における粘液胞子虫類の実態調査と効率的な検出法の検討









市場流通品の生鮮魚における粘液胞子虫類の実態調査と効率的な検出法の検討

研究期間
平成29年度〜平成30年度

評価:4
(高く評価できる)

意見1 県内でヒラメを養殖し、そのヒラメのカルパッチョを売りにしているレストランが市内にある。そのヒラメは、ナナホシクドアの存否は如何であろうか。
対応 養殖ヒラメに係るクドア(ナナホシクドア)対策については、生産者等と連携して対策を実施するよう農林水産省・安全局畜水産安全管理課長から各県水産主務部局に対して通知(平成28年6月23日付け)されており、これに基づき対策が取られているものと考えられます。
意見2 若しクドア・セプテンプンクタータが常時陰性であれば、「クドアフリー宮崎ヒラメ」として、県産ヒラメの販促に利用できるのではないだろうか。
対応 新しい宮崎ブランドとして期待できると思われますので、関係各課に情報を提供していきたいと考えております。
繊維製品及び接着剤に含まれるホルムアルデヒド溶出量調査









繊維製品及び接着剤に含まれるホルムアルデヒド溶出量調査

研究期間
平成27年度〜平成28年度

評価:5
(非常に高く評価できる)

意見1 研究結果については県民が理解しやすい内容を慎重に検討したうえで情報発信してほしい。
対応 家庭用品規制法で規制を受ける商品、規制外の商品を明確にし、これらからのホルムアルデヒド溶出の現状を踏まえ、敏感肌の方や乳幼児への対処方法など正しい知識を薬務対策室及び消費生活センターを通じて県民へ情報発信していきたいと考えております。
意見2 家庭用品の規制値については県民の多くは安全に守られているものと当然視して使用しているのではないか。人体への安全性を考えると家庭用品規制対象外商品についても常時監視が必要なのではないか。
対応 今年度から、法規制対象外商品(化粧品雑貨)をターゲットとして、分析方法の検討も含め調査研究を行ってまいります。
牛乳及び蜂蜜中の残留動物用医薬品の迅速分析試験法の検討及び妥当性評価









牛乳及び蜂蜜中の残留動物用医薬品の迅速分析試験法の検討及び妥当性評価

研究期間
平成26年〜平成28年

評価:4
(高く評価できる)

意見1 本研究で確立した迅速分析試験法によるコリスチンの残留検査はできないか。また、検査が困難であれば検査方法の技術的改良と最適化の検討はできないか。
対応 本試験法で、コリスチンの定量分析を試みたところ通常検査で用いる濃度範囲では検出ができませんでした。コリスチンは極性が高く今回検討した他の動物用医薬品とは性質が異なるので、同時に分析することは困難と考えられます。今後は必要に応じて本試験法とは別に検討したいと考えております。
意見2 今回確立した迅速分析試験法で分析できる動物用医薬品の種類を増やすよう今後検討しないか。
対応 本迅速分析試験法のさらなる改良や検討を行う際に、動物用医薬品の種類の追加も併せて検討したいと考えております。
本県における公共用水域の水質の推移に関する研究









本県における公共用水域の水質の推移に関する研究

研究期間
平成29年度〜平成31年度

評価:4
(高く評価できる)

意見1 昭和から平成にかけて、県北〜県央域における河川の水質が浄化していることが、可視化されたデータとして確認できたことの意義は大きいと思う。また、将来の公共用水域の水質保全に活用できるデータである。
対応 これまで本県が蓄積してきたデータを体系的に整備することができたと考えております。今後、結果をわかりやすい形式で公表するとともに、多くの部署で水質保全に役立てていただけるよう発信していく予定としております。
意見2 降雨量などの気象条件との相関関係は認められるだろうか。
対応 公共用水域におけるサンプリングは、国の通知に基づき気象条件の安定している日に実施しており、降雨量などの気象データとの相関は確認しておりません。
意見3 GIS(地理情報システム)と組み合わせると、より有効に活用できると思われるので、活用例として検討していただきたい。
対応 地理情報システムは、研究結果を公表する上で有効な手段でありますので、今後、検討したいと考えております。
意見4 生活圏における水質の維持管理については県民の関心も高いことから、今後も継続して監視を行っていくとともに、県民への啓発にもつなげていただきたい。
対応 水質の常時監視については、県の水質測定計画に基づき今後も継続してまいります。また、調査結果については、行政各課に提供するほか、当所の所報等で広く情報提供してまいります。
火山活動の大気汚染物質高濃度事象に及ぼす影響の解析









火山活動の大気汚染物質高濃度事象に及ぼす影響の解析

研究期間
平成29年度〜平成31年度

評価:4
(高く評価できる)

意見1 近年、九州地域でも火山活動が活発化しており、重要な研究課題と考えられる。研究成果の利用を強く意識した解析を期待している。
対応 成果発表会での報告や研究所報等への掲載、また、研修等を通じて、県民への適切な情報提供に努めてまいります。
意見2 県民が大気汚染の主原因を正しく理解し、適切な対応がとれることが重要であると思うので、正確な情報の公開をお願いするとともに、気象庁などと連携し、これまでに蓄積されたデータを利用した予報システム(注意報、警報など住民への注意喚起)の構築をお願いしたい。
対応 大気汚染物質の測定データについては、「みやざきの空」ホームページにてリアルタイムで広く提供しており、また、噴火等の火山情報(噴火警報・予報など)については気象庁が公開しております。実際に大気汚染が深刻となり、注意報等の発令基準に達する恐れがある場合には、宮崎地方気象台等の関係機関と情報交換を行うとともに注意報等を発令する体制が整備されております。
意見3 今後、熊本県や鹿児島県との連携を深め、火山活動による大気汚染物質高濃度上昇を直接示すことができる体制を整備していただきたい。
対応 全国の大気汚染状況については、環境省がwebサイト「そらまめ君(環境省大気汚染物質広域監視システム)」を開設しており、既に整備されております。ただし、大気汚染常時監視測定局は発生源(工場、車等)による大気汚染の寄与の把握を目的として配置されており、火山に特化した配置はなされていない状況にあります。
意見4 人体に対して影響がでるものなのか、疫学的な調査などを行っていくのか、教えてほしい。
対応 本研究は、火山活動が大気環境(SO2、SPM及びPM2.5)に与える影響の調査を目的としていますので、健康影響に係る調査等については、現在のところ想定しておりません。

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