私たちは常に宇宙、大地、食物などの自然界から放射線を受けて生活しています。衛生環境研究所では国と共同でその放射線の量に変化が生じていないか測定しています。
近年、私たちが自然界から受ける放射線の中で、ラドンからの放射線が大きな割合を占めていることがわかり、ラドンの濃度分布などが全国的に調査されています。今回はこのラドンからの放射線についてご紹介します。
- ラドンとは
ラドンというのは、ラジウムから発生する無色・無臭で弱い放射線を出すガス状の天然に存在する物質です。ラドンは地球上のどこにでも存在しますが、花崗岩(みかげ石など)地帯では存在量が多いと言われています。また、建物の建材からも発生します。
- ラドンからの放射線
ラドンは気体なので呼吸などを通して体内に取り込まれやすく、弱い放射線ですが、高い濃度のラドンを長い時間吸入し続けると肺の内部で放射線の影響を受けることになります。
人が自然界の放射線から受ける線量の半分以上がラドンによるものであると言われています。国内のラドンに関する実態調査(※)によると、家屋内のラドン濃度は欧米に比べるとかなり低く、アメリカの3分の1程度です。これは、欧米では石やコンクリート製の建物が多いのに対し、日本はラドン発生量が少ない木造家屋が多く、木造家屋は比較的通気性が良いためと考えられています。なお、宮崎県の家屋内ラドン濃度については全国平均に近い値となっています。
また、日本では屋外のラドン濃度は屋内の半分以下といわれています。ラドンの濃度やシックハウスの原因を減らすためにも、部屋の換気は適度に行いましょう。
※この調査は国の委託により(財)日本分析センターが実施したものです。調査には全都道府県が協力しています。
・一人当たりの年間線量(世界平均)
・医療関係の線量を除く
出典:2000年国連放射線影響科学委員会報告