6. 地 下 水
宮崎県は降水量も多く、水源涵養機能の大きい山地や台地に恵まれているので、各河川の流量は渇水期においても相対的に大きい。また、海岸平野や内陸盆地には、概して透水性の大きい堆積物が発達しているので、沖積低地面積が狭い割合には地下水に恵まれていると言える。 延岡の化学・繊維工場や日南市のパルプ工場は、五ヶ瀬川・祝子川・広渡川などの豊富な河川表流水に着目して立地したと言えるが、一般に生活用水や工業用水を全面的に表流水に依存することは必ずしも容易ではない。その点で地下水の存在は、直接的な生活や生産活動に対してはもちろん、生活環境全般に対しても有形・無形の恩恵を与えている。 地下水はそれを含む地盤や地表水域と密接に関連しており、たとえば山麓・台地地帯の地下水の汚染は河川水の汚染につながり、ひいては海岸線の海洋汚染をもたらすものである。また海岸近くの地下水の過度の汲み上げは、海水侵入による地下水の塩水化を招き、あるいは軟弱粘土層の発達したところでは地盤沈下が発生しないとも限らない。今後一層増加すると予想された需要に対して、地下水の開発・利用および維持・管理については、環境保全計画の一環としてとり上げられる必要があろう。 次に県下の主要地下水域について、地下水の賦存状況の概要を述べる。 |