宮崎ガス田 |
宮崎平野一帯の天然ガス埋蔵地域は、宮崎市を中心に北は児湯郡から南は日南市に至る南北約80km、東西約20kmに及び、総称して宮崎ガス田と呼ばれている。宮崎ガス田の基盤は主として古第三紀の四万十累層群で、ガス層は新第三紀の中新世後期から第四紀の更新世前期にまたがる宮崎層群である。宮崎層群は砂岩、泥岩およびこれらの互層よりなる海成層で層厚は約3,000mに達する。全般的な構造は北東−南西の走向を有し、東の日向灘へ向かって10゜〜20゜の緩傾斜で単斜しているが、宮崎市鏡州、高岡町穆佐付近では基盤が小隆起しており、これを反映して宮崎層群も多少湾曲して分布する。
本地域で最も期待されるガス鉱床は、堆積前の媒質であった地層の間隙水、いいかえれば化石海水中にその圧力、温度、塩分濃度等に応じた溶解度でCH4を主成分とする天然ガスが溶解しているものを主体とする、いわゆる水溶性ガス鉱床で、貯留層として開発の対象となるのは、孔隙率に富み、かつ浸透性の高い、砂岩・礫岩等の粗粒堆積物である。
宮崎層群の岩相をみると南北で著しい差異があり、一ツ瀬川、三財川以北では泥岩を主とし砂岩等の粗粒岩に乏しい。一方木花、青島以南では主に砂岩泥岩互層よりなるが、砂岩の膠結度が高いことが多い。宮崎・佐土原地区はこれらの岩相の漸移部にあたり、砂岩泥岩互層のほか、砂岩や泥岩が単独の厚い地層としても存在し、砂岩には未固結で共水性ガスの貯留層として適当なものがある。以下佐土原、宮崎、日南の各地域について概要を述べる。