二酸化炭素(炭酸ガス)

 二酸化炭素は温泉−鉱泉に伴って知られており、特に霧島火山周辺の新第三紀安山岩類から湧出するものは純度が高い。えびの市吉田温泉およびその周辺の温泉に伴うものなどがよく知られている。また高原町内では血捨ノ木をはじめ、湯ノ元、蓮太郎などの温泉に伴うガスが知られている。高原町一帯は四万十累層群を基盤とし、北東および北西系断層による基盤の陥没地に、安山岩類、シラスなどが堆積していると考えられる。安山岩類は新第三紀安山岩類および霧島火山旧期溶岩などに属するものである。二酸化炭素は霧島の火山活動に伴う火山ガスの分化最終段階ものもであろう。また日南層群中の串間市石波鉱泉にも二酸化炭素がある。それらの主な成分は第9表に示したとおりである。

第9表 主要温泉・鉱泉のガス成分

温泉・鉱泉名/遊離ガス(Vol.%) CO2 N2 CH4
1) 吉田温泉鹿之湯 98.48 1.47 0.005
1) 湯之元鉱泉 99.14 0.81 0.01
2) 蓮太郎温泉 63.60 35.19 0.13
2) 血捨ノ木温泉  93.74 3.53 2.39
3) 石波鉱泉 75.93 1.54 22.21

1)宮崎県(1972)より     
2)福田・永田(1975)より
3)福田・永田(1976)より

 二酸化炭素は溶接用・ガス型鋳物用・飲料用・消火用・農業用など、種々利用可能な資源であり、注目に値する。