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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2016年第36号

第18巻36号[宮崎県第36週(9/5〜9/11)全国第35週(8/29〜9/4)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第36週の発生動向

全数報告の感染症(36週までに新たに届出のあったもの)
  • 1類感染症:報告なし。
  • 2類感染症:結核3例。
  • 3類感染症:報告なし。
  • 4類感染症:報告なし。
  • 5類感染症:アメーバ赤痢1例、カルバペネム耐性腸内細菌感染症1例、急性脳炎1例、水痘(入院例)1例。

全数把握対象疾患累積報告数(2016年第1週〜36週)

(   )内は今週届出分、再掲

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関からの報告総数は666人(定点当たり23.1)で、前週比109%と増加した。前週に比べ増加した主な疾患は手足口病とマイコプラズマ肺炎で、減少した主な疾患は咽頭結膜熱とヘルパンギーナであった。

インフルエンザ・小児科定点からの報告

【RSウイルス感染症】
報告数は92人(2.6)で、前週比103%とほぼ横ばいであった。例年同時期の定点当たり平均値*(4.2)の約0.6倍であった。日向(8.0)、延岡(5.3)保健所からの報告が多く、年齢別は1歳が全体の約半数を占めた。

【手足口病】
報告数は81人(2.3)で、前週比184%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(3.8)の約0.6倍であった。延岡(6.8)、日南(3.7)、日向(3.0)保健所からの報告が多く、年齢別は1歳が全体の約4割を占めた。

 

*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値

基幹定点からの報告

○無菌性髄膜炎:延岡保健所から報告があった。5〜9歳が1例であった。
○マイコプラズマ肺炎:宮崎市(10例)、延岡、日南、高鍋、日向(各1例)保健所から報告があった。0〜4歳が5例、5〜9歳が5例、10歳代が3例、30歳代が1例であった。

保健所別 流行警報・注意報レベル基準値超過疾患

病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成28年9月12日までに検出)

細菌

○3名の患者から百日咳菌(Bordetella pertussis)が分離された。百日咳の分離には、ボルデージャング(Bordet-Gengou)培地やCSM(cyclodextrin solid medium)培地などの特殊な培地を必要とし、乳児以外では菌の分離は困難なことが多い。衛生環境研究所では、スクリーニングとしてReal-time PCR法、確定検査としてLAMP法を行い、菌の分離には改良型CSM培地を用いることで、分離率の向上を図っている。

ウイルス

○手足口病疑いの幼児3名からコクサッキーウイルスA16型(CA16)が検出された。CA16は無菌性髄膜炎を引き起こすことがあるが、基本的に予後は良好である。手足口病の主な起因ウイルスとしてCA16、エンテロウイルス71型(EV71)、コクサッキーウイルスA6型(CA6)がよく知られているが、年によって流行する血清型が異なる。今年に入り、全国の手足口病の患者から検出・分離されたウイルスはCA6とコクサッキーウイルスA4型(CA4)が多くなっている。CA4による無菌性髄膜炎も報告されていることから今後の動向に注意が必要である。

○3名の乳幼児からコクサッキーウイルスB5型が検出された。

全国2016年第35週の発生動向

全数報告の感染症(全国第35週)

麻しんの報告数は26例で前週比約3倍と増加した。大阪府(10例)、東京都(5例)、千葉県、兵庫県(各4例)からの報告が多く、九州地方からの報告はなかった。年齢別では20歳代が全体の約4割を占めた。

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比108%と増加した。前週と比較して増加した主な疾患はRSウイルス感染症と感染性胃腸炎であった。減少した主な疾患は水痘と流行性耳下腺炎であった。

RSウイルス感染症の報告数は2,725人(0.86)で前週比165%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.52)の約1.7倍であった。宮崎県(2.5)、岩手県(2.3)、新潟県(2.2)からの報告が多く、年齢別では1歳が全体の約半数を占めた。

流行性耳下腺炎の報告数は2,959人(0.94)で前週比89%と減少した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.41)の約2.3倍であった。富山県(3.5)、新潟県(2.4)、熊本県(2.2)からの報告が多く、年齢別では4〜6歳が全体の約4割を占めた。

* 過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値

月報告対象疾患の発生動向<2016年8月>

性感染症

【宮崎県】 定点医療機関総数:13
定点医療機関からの報告総数は33人(2.5)で、前月比114%と増加した。また、昨年8月(2.8)の約0.9倍であった。

《疾患別》
○性器クラミジア感染症:報告数21人(1.6)で、前月(1.5)の約1.1倍、昨年8月(2.0)の約0.8倍であった。20歳代が全体の約4割を占めた。(男性15人・女性6人)
○性器ヘルペスウイルス感染症:報告数2人(0.15)で、前月(0.23)の約0.7倍、昨年8月(0.15)の1.0倍であった。(女性2人)
○尖圭コンジローマ:報告数1人(0.08)で、前月及び昨年8月(0.23)の約0.3倍であった。(男性1人)
○淋菌感染症:報告数9人(0.69)で、前月(0.31)の約2.3倍、昨年8月(0.46)の約1.5倍であった。(男性6人、女性3人)

【全国】定点医療機関総数:970
定点医療機関からの報告総数は4,199人(4.3)で、前月比103%とほぼ横ばいであった。疾患別報告数は、性器クラミジア感染症2,126人(2.2)で前月比103%、性器ヘルペスウイルス感染症816人(0.84)で前月比100%、尖圭コンジローマ489人(0.50)で前月比94%、淋菌感染症768人(0.79)で前月比115%であった。

薬剤耐性

【宮崎県】 定点医療機関総数:7
定点医療機関からの報告総数は13人(1.9)で前月比68%と減少した。また、昨年8月(3.0)の約0.6倍であった。

《疾患別》
○メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症:報告数11人(1.6)で、前月の約0.6倍、昨年8月(3.0)の約0.5倍であった。70歳以上が全体の約4割を占めた。
○ペニシリン耐性肺炎球菌感染症:報告数2人(0.29)で,60歳以上であった。
(前月及び昨年8月報告なし)
○薬剤耐性緑膿菌感染症 :報告なし。

【全国】 定点医療機関総数:473
定点医療機関からの報告総数は1,560人(3.3)で、前月比109%と増加した。疾患別報告数は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症1,388人(2.9)で前月比109%、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症154人(0.33)で前月比107%、薬剤耐性緑膿菌感染症18人(0.04)で前月比200%であった。

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