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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2016年第40号

第18巻40号[宮崎県第40週(10/3〜10/9)全国第39週(9/26〜10/2)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第40週の発生動向

トピックス
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

 

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)(全数報告の感染症)の報告が宮崎市保健所から1例あった。県内での報告は今年8例目で、累計35例(平成25年3月届出開始以降)となった。患者は60歳代男性で、発症は9月下旬であった。ダニの刺し口があり、海外渡航歴はなかった。

全数報告の感染症(40週までに新たに届出のあったもの)
  • 1類感染症:報告なし。
  • 2類感染症:結核5例。
  • 3類感染症:腸管出血性大腸菌感染症1例。
  • 4類感染症:重症熱性血小板減少症候群1例。
  • 5類感染症:カルバペネム腸内細菌感染症1例、水痘(入院例)1例。

全数把握対象疾患累積報告数(2016年第1週〜40週)

(   )内は今週届出分、再掲

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関からの報告総数は751人(定点当たり25.7)で、前週比114%と増加した。前週に比べ増加した主な疾患はRSウイルス感染症と手足口病で、減少した主な疾患は流行性耳下腺炎と水痘であった。

インフルエンザ・小児科定点からの報告

【RSウイルス感染症】
報告数は110人(3.1)で、前週比141%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(2.9)の約1.1倍であった。延岡(11.3)、日向(8.0)保健所からの報告が多く、年齢別は2歳以下が全体のほぼ全数を占めた。

【手足口病】
報告数は161人(4.5)で、前週比163%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(2.0)の約2.2倍であった。延岡(12.3)、日向(8.3)、宮崎市(6.4)保健所からの報告が多く、年齢別は1〜2歳が全体の約6割を占めた。

*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値

基幹定点からの報告

○マイコプラズマ肺炎:延岡(4例)、宮崎市、日南、日向(各3例)、高鍋(1例)保健所から報告があった。0〜4歳が5例、5〜9歳が4例、10歳代が5例であった。

保健所別 流行警報・注意報レベル基準値超過疾患

病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成28年10月11日までに検出)

細菌

○5〜9歳の男児からパラ百日咳菌が検出された。パラ百日咳は百日咳と比較して症状が軽いとされているが、臨床症状から両者を鑑別することは困難である。当所では、Real-timePCR法を用いてパラ百日咳菌と百日咳菌の鑑別を行い、改良型シクロデキストリン(CSM)培地等で分離を行っている。全国的に分離数が少なく詳細については不明な点が多いため、今後も引き続き発生動向に注意していく必要がある。

ウイルス

○3名の乳幼児・小児からパラインフルエンザウイルス1型が検出された。パラインフルエンザウイルスは乳幼児における下気道炎(肺炎、気管支炎、細気管支炎)の起因ウイルスとなることが多い。また、3名のうち1名は慢性心筋炎の疑いがあった。心筋炎は心症状(胸痛、失神、呼吸困難、動悸、ショックなど)に先行してかぜ症状や消化器症状などの非特異的な症状で発現し、様々なウイルスの感染によって惹起されることが知られている。当所では、今年9月以降にパラインフルエンザウイルス1型が5件、3型が9件検出されており、今後の動向に注意が必要である。

○手足口病疑いの乳幼児3名と急性脳症の幼児1名からコクサッキーウイルスA16型が検出された。

全国2016年第39週の発生動向

全数報告の感染症(全国第39週)

麻しんの報告数は6例で前週比約0.7倍と減少した。東京都、神奈川県(各2例)、静岡県、大阪府(各1例)から報告があり、九州地方からの報告はなかった。年齢別では20歳代、30歳代から各3例ずつ報告があった。

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比125%と増加した。前週と比較して増加した主な疾患はRSウイルス感染症と感染性胃腸炎であった。減少した主な疾患はなかった。

流行性耳下腺炎の報告数は3,790人(1.2)で前週比128%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.41)の約2.9倍であった。新潟県(4.3)、富山県(2.8)、徳島県、鹿児島県(2.4)からの報告が多く、年齢別では4〜6歳が全体の約半数を占めた。

* 過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値

月報告対象疾患の発生動向 <2016年9月>

性感染症

【宮崎県】 定点医療機関総数:13
定点医療機関からの報告総数は35人(2.7)で、前月比106%と増加した。また、昨年9月(1.5)の約1.8倍であった。

《疾患別》
○性器クラミジア感染症:報告数20人(1.5)で、前月(1.6)の1.0倍、昨年9月(0.7)の約2.2倍であった。20歳代が全体の4割を占めた。(男性8人・女性12人)
○性器ヘルペスウイルス感染症:報告数2人(0.15)で、前月(0.15)の1.0倍、昨年9月(0.31)の約0.5倍であった。(女性2人)
○尖圭コンジローマ:報告数3人(0.23)で、前月及び昨年9月(0.08)の約3.0倍であった。(男性1人、女性2人)
○淋菌感染症:報告数10人(0.77)で、前月(0.69)の約1.1倍、昨年9月(0.38)の約2.0倍であった。
(男性7人、女性3人)

【全国】定点医療機関総数:984

定点医療機関からの報告総数は4,116人(4.2)で、前月比97%とほぼ横ばいであった。疾患別報告数は、性器クラミジア感染症2,167人(2.2)で前月比101%、性器ヘルペスウイルス感染症736人(0.75)で前月比89%、尖圭コンジローマ475人(0.48)で前月比96%、淋菌感染症738人(0.75)で前月比95%であった。

薬剤耐性菌

【宮崎県】 定点医療機関総数:7
定点医療機関からの報告総数は12人(1.7)で前月比92%と減少した。また、昨年9月(2.7)の約0.6倍であった。

《疾患別》
○メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症:報告数12人(1.7)で、前月の約1.1倍、昨年9月(2.7)の約0.6倍であった。70歳以上が全体の約6割を占めた。
○ペニシリン耐性肺炎球菌感染症:報告なし。
○薬剤耐性緑膿菌感染症 :報告なし。

【全国】 定点医療機関総数:473
定点医療機関からの報告総数は1,490人(3.2)で、前月比96%とほぼ横ばいであった。疾患別報告数は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症1,324人(2.8)で前月比96%、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症151人(0.32)で前月比97%、薬剤耐性緑膿菌感染症15人(0.03)で前月比75%であった。

訂正とお詫び

宮崎県感染症週報[第18巻39号]の全数報告の感染症において、表の分類に誤りがございました。3類ウイルス性肝炎と掲載していましたが、正しくは5類ウイルス性肝炎です。お詫びして訂正いたします。

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