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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2023年第32号

第25巻第32号 [宮崎県第32週 (8/7〜8/13) 全国第31週(7/31〜8/6)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県感染症対策課
宮崎県衛生環境研究所

令和5年第32週の発生動向

全数報告の感染症(32週までに新たに届出のあったもの)
  • 1類感染症:報告なし。
  • 2類感染症:結核3例。
  • 3類感染症:腸管出血性大腸菌感染症2例。
  • 4類感染症:レジオネラ症1例。
  • 5類感染症:ウイルス性肝炎1例、梅毒2例、破傷風1例。

 

全数把握対象疾患累積報告数(2023年 第1週〜第32週 保健所受理分)

(   )内は今週届出分、再掲

定点把握の対象となる5類感染症

・定点医療機関からの報告総数は1,644人(定点当たり32.9)で、前週比67%と減少した。なお、前週に比べ増加した主な疾患は特になく、減少した主な疾患はインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、手足口病及びヘルパンギーナであった。

インフルエンザ・小児科定点からの報告
【新型コロナウイルス感染症】

報告数は1,025人(17.7)で、前週比68%と減少した。延岡(40.6)、日向(20.5)、中央(18.5)保健所からの報告が多く、年齢群別は別グラフに示す。

【インフルエンザ】

報告数は241人(4.2)で、前週比57%と減少した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.04)の約111.3倍であった。日向(14.2)、日南(8.4)、中央(6.0)保健所からの報告が多く、年齢群別は別グラフに示す。

【手足口病】

報告数は93人(2.6)で、前週比59%と減少した。例年同時期の定点当たり平均値*(1.3)の約2.0倍であった。延岡(10.0)、日向(5.5)、中央(5.0)保健所からの報告が多く、年齢群別は6ヵ月から4歳が全体の約9割を占めた。

*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均

基幹定点からの報告

なし

保健所別 流行警報・注意報レベル基準値以上の疾患

病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 令和5年8月14日までに検出)

細菌

○10歳代の男性からSalmonella enterica subsp.entericaが分離された。サルモネラ属菌は、哺乳類・爬虫類・両棲類・川及び食品に広く分布し、S.entericaS.bongoriの2菌種に分けられる。S.entericaはさらに、entericasalamaearizonaediarizonaehoutenaeindicaの6亜種が存在する。このうち、感染症や食中毒として重要となるのはSalmonella enterica subsp.entericaであり、毎年多数の血清型が報告されている。血清型不明の場合には、疫学情報等も考慮し、生化学試験等を追加して菌種を同定していく必要がある。
また、10歳代の女性からS.Oranienburgが分離された。S.Oranienburgは、2018年8月に鹿児島県内で散発事例が複数発生したことが報告されている(IASR Vol.40 No.5(2019.5))。報告では、いずれも血液から分離され、重症例も多く見られている。非チフス性サルモネラ属菌の菌血症は感染症発生動向調査の対象ではないが、これまでにS.Oranienburgの集団食中毒事例も報告されていることから、今後も注意が必要な血清型と考えられる。

ウイルス

○インフルエンザと診断された2名からインフルエンザウイルスAH3が分離された。県内では8月現在でも定点医療機関あたり報告数が1以上であり、流行期が継続している。

新型コロナウイルスゲノム解析結果情報(衛生環境研究所微生物部)

XBB系統は第32週で約97%を占め、そのうちXBB.1.16系統が約29%、EG.5.1(XBB.1.9.2系統)が約23%を占めた。
「X」で始まる名前は遺伝子組換えで発生した系統に付けられる。
XBBはBJ.1(BA.2.10.1系統)/BM.1.1.1(BA.2.75.3系統)の組換え株である。
ゲノム解析は概ね前週の検体を用いて実施している。なお、解析検体数が多くない場合は割合の変動が大きくなる。
衛生環境研究所においては、県内医療機関の協力のもと、新型コロナウイルスのPCR陽性となった検体を毎週収集し、ゲノム解析を実施している。

全国2023年第31週の発生動向

全数報告の感染症

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比93%と減少した。なお、前週と比較して増加した主な疾患は咽頭結膜熱で、減少した主な疾患はインフルエンザ、RSウイルス感染症、伝染性紅斑及びヘルパンギーナであった。

インフルエンザの報告数は7,090人(1.4)で前週比88%と減少した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.05)の約27.3倍であった。鹿児島県(7.6)、宮崎県(7.2)、福岡県(5.7)からの報告が多く、年齢群別では15歳未満が全体の約7割を占めた。

新型コロナウイルス感染症の報告数は77,937人(15.8)で前週比99%とほぼ横ばいであった。佐賀県(34.7)、長崎県(28.5)、宮崎県(25.8)からの報告が多く、年齢群別では20歳未満が全体の約3割を占めた。

* 過去5年間の当該週、前週、後週(計15 週)の平均値

月報告対象疾患の発生動向 <2023年7月>

性感染症

【宮崎県】 定点医療機関総数:13
定点医療機関からの報告総数は34人(2.6)で、前月比77%と減少した。また、昨年7月(3.7)の約0.7倍であった。

《疾患別》

  • 性器クラミジア感染症:報告数24人(1.9)で、前月と同程度、昨年7月の約0.9倍であった。20歳代が全体の約7割を占めた。(男性8人・女性16人)
  • 性器ヘルペスウイルス感染症:報告数3人(0.23)で、前月の0.5倍、昨年7月の約0.3倍であった。(男性1人・女性2人)
  • 尖圭コンジローマ:報告数1人(0.08)で、前月の約0.1倍、昨年7月と同率であった。(女性1人)
  • 淋菌感染症:報告数6人(0.46)で、前月と同率、昨年7月の約0.5倍であった。(男性5人・女性1人)

【全国】
定点医療機関からの報告総数は4,775人(4.8)で、前月比94%と減少した。疾患別報告数は、性器クラミジア感染症2,623人(2.7)で前月比91%、性器ヘルペスウイルス感染症782人(0.79)で前月比93%、尖圭コンジローマ581人(0.59)で前月比95%、淋菌感染症789人(0.80)で前月比101%であった。

薬剤耐性菌

【宮崎県】 定点医療機関総数:7
定点医療機関からの報告総数は22人(3.1)で、前月比129%と増加した。また、昨年7月(3.4)の約0.9倍であった。

《疾患別》

  • メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症:報告数22人(3.1)で、前月の約1.3倍、昨年7月の約0.9倍であった。70歳以上が全体の半数を占めた。
  • ペニシリン耐性肺炎球菌感染症:報告なし。
  • 薬剤耐性緑膿菌感染症 :報告なし。

【全国】
定点医療機関からの報告総数は1,364人(2.9)で、前月比103%とほぼ横ばいであった。疾患別報告数は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症1,246人(2.6)で前月比102%、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症107人(0.22)で前月比110%、薬剤耐性緑膿菌感染症11人(0.02)で前月比100%であった。

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