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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2023年第34号

第25巻第34号 [宮崎県第34週 (8/21〜8/27) 全国第33週(8/14〜8/20)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県感染症対策課
宮崎県衛生環境研究所

令和5年第34週の発生動向

トピックス
  • 梅毒(全数報告の感染症)の報告数が昨年と比べて大幅に増加している。診断週による累積報告数は117例と、1999年以降最も多くなった前年(116例)の報告数を超え、第34週時点で過去最多を更新した。
    性別は男性が66例、女性が51例で、年齢群別では、20歳代から30歳代が全体の約6割を占めている。また、保健所別では宮崎市(77例)、都城(22例)保健所からの報告が多くなっている。

全数報告の感染症(34週までに新たに届出のあったもの)
  • 1類感染症:報告なし。
  • 2類感染症:報告なし。
  • 3類感染症:結核2例。
  • 4類感染症:報告なし。
  • 5類感染症:梅毒5例、播種性クリプトコックス症1例。

 

全数把握対象疾患累積報告数(2023年 第1週〜第34週 保健所受理分)

(   )内は今週届出分、再掲

定点把握の対象となる5類感染症

・定点医療機関からの報告総数は1,607人(定点当たり33.4)で、前週比110%と増加した。なお、前週に比べ増加した主な疾患はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、手足口病及びヘルパンギーナで、減少した主な疾患はRSウイルス感染症と水痘であった。

インフルエンザ・小児科定点からの報告
【新型コロナウイルス感染症】

報告数は987人(17.0)で、前週比99%とほぼ横ばいであった。延岡(28.7)、日向(19.3)、小林(18.0)保健所からの報告が多く、年齢群別は別グラフに示す。

【インフルエンザ】

報告数は184人(3.2)で、前週比106%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.06)の約52.9倍であった。日南(9.6)、日向(5.2)、小林(3.5)保健所からの報告が多く、年齢群別は別グラフに示す。

【手足口病】

報告数は98人(2.7)で、前週比134%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(1.3)の約2.0倍であった。延岡(5.0)、中央(5.0)、日向(4.8)保健所からの報告が多く、年齢群別は6ヵ月から3歳が全体の約8割を占めた。

*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均

基幹定点からの報告

なし

保健所別 流行警報・注意報レベル基準値以上の疾患

病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 令和5年8月28日までに検出)

細菌

○患者10名からサルモネラ属菌が検出された。そのうち、患者4名からSalmonella Thompsonが検出された。病原微生物検出情報(IASR)によると、S. Thompsonは、2022年度は国内で最も多く検出されており、本県においても20株が当所で同定された。サルモネラ属菌によって起こるサルモネラ症の主な症状は腹痛、下痢、発熱であり、下痢は水様性から血便や粘血便を呈することもある。経過は一般に短く、主な症状は1〜2日でおさまり、1週間ほどで回復するが、小児や高齢者では重症化しやすく、回復も遅れる傾向があるので注意が必要である。サルモネラ症の予防には、原因食品、特に食肉及び鶏卵の低温保存管理、調理前後の汚染防止等の衛生管理が大切である。また、低年齢層ではペット等の動物からの接触感染にも注意が必要である。

ウイルス

○発疹(丘疹)の症状を呈する患者から、コクサッキーA9型およびサイトメガロウイルスが検出、分離された。コクサッキーウイルスA群は、コクサッキーA16型やA6型を主として、ヘルパンギーナや手足口病の原因ウイルスとして知られている。一方、サイトメガロウイルスは、通常、幼小児期に不顕性感染の形で感染し、生涯その宿主に潜伏感染する。

新型コロナウイルスゲノム解析結果情報(衛生環境研究所微生物部)

XBB系統は第34週で約92%を占め、そのうちEG.5.1(XBB.1.9.2系統)が約38%を占めた。
「X」で始まる名前は遺伝子組換えで発生した系統に付けられる。
XBBはBJ.1(BA.2.10.1系統)/BM.1.1.1(BA.2.75.3系統)の組換え株である。
ゲノム解析は概ね前週の検体を用いて実施している。なお、解析検体数が多くない場合は割合の変動が大きくなる。
衛生環境研究所においては、県内医療機関の協力のもと、新型コロナウイルスのPCR陽性となった検体を毎週収集し、ゲノム解析を実施している。

全国2023年第33週の発生動向

全数報告の感染症

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比108%と増加した。なお、前週と比較して増加した主な疾患は新型コロナウイルス感染症、咽頭結膜熱及び水痘で、減少した主な疾患はRSウイルス感染症、手足口病及びヘルパンギーナであった。

新型コロナウイルス感染症の報告数は86,756人(17.8)で前週比126%と増加した。岐阜県(31.0)、岩手県(30.4)、秋田県(28.5)からの報告が多く、年齢群別では10歳未満が全体の約2割を占めた。

咽頭結膜熱の報告数は1,952人(0.63)で前週比113%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.23)の約2.8倍であった。大阪府(2.2)、福岡県(1.9)、兵庫県(1.7)からの報告が多く、年齢群別では1歳から5歳が全体の約8割を占めた。

* 過去5年間の当該週、前週、後週(計15 週)の平均値

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