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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2023年第40号

第25巻第40号 [宮崎県第40週 (10/2〜10/8) 全国第39週(9/25〜10/1)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県感染症対策課
宮崎県衛生環境研究所

令和5年第40週の発生動向

トピックス
  • 梅毒(全数報告の感染症)の報告数が昨年と比べて大幅に増加している。診断週による累積報告数は137例と、1999年以降最も多くなった前年の第40週時点(77例)と比較すると約1.8倍の報告数となり、今後も増加が懸念される。
    性別は男性が77例、女性が60例で、年齢群別では、20歳代が全体の約4割を占めている。また、保健所別では宮崎市(89例)、都城(27例)保健所からの報告が多くなっている。

全数報告の感染症(40週までに新たに届出のあったもの)
  • 1類感染症:報告なし。
  • 2類感染症:結核4例。
  • 3類感染症:腸管出血性大腸菌感染症1例。
  • 4類感染症:報告なし。
  • 5類感染症:侵襲性肺炎球菌感染症1例、梅毒5例、百日咳1例。

 

全数把握対象疾患累積報告数(2023年 第1週〜第40週 保健所受理分)

(   )内は今週届出分、再掲

定点把握の対象となる5類感染症

・定点医療機関からの報告総数は1,615人(定点当たり33.9)で、前週比82%と減少した。なお、前週に比べ増加した主な疾患は咽頭結膜熱で、減少した主な疾患はインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症及び手足口病であった。

インフルエンザ・小児科定点からの報告
【新型コロナウイルス感染症】

報告数は308人(5.3)で、前週比57%と減少した。延岡(8.7)、高鍋(7.3)、高千穂(6.0)保健所の報告が多く、年齢群別は別グラフに示す。

【インフルエンザ】

報告数は823人(14.2)で、前週比87%と減少した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.21)の約67.8倍であった。日南(27.8)、延岡(22.9)、高鍋(21.3)保健所からの報告が多く、年齢群別は15歳未満が全体の約8割を占めた。

【咽頭結膜熱】

報告数は45人(1.3)で、前週比129%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.45)の約2.8倍であった。都城(3.2)、宮崎市(1.5)、小林(1.3)保健所からの報告が多く、年齢群別は1歳から5歳が全体の約8割を占めた。

*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均

基幹定点からの報告

なし

保健所別 流行警報・注意報レベル基準値以上の疾患

病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 令和5年10月9日までに検出)

細菌

○5〜9歳の女児から腸管凝集性大腸菌(EAggEC)が分離された。EAggECの判定基準は、凝集線毛の産生を制御する遺伝子であるaggR 陽性で、ST/LT/VTを持たない大腸菌とされる。EAggEC感染症は、一般的に急性または14日以上の持続性で粘液を含む下痢及び腹痛を主徴とし、発熱もある場合があるが、嘔吐は少ない。主として熱帯、亜熱帯地域でみられる小児の慢性下痢症の原因菌であり、日本でも散発・集団事例が見られるため、注意する必要がある。

ウイルス

○インフルエンザと診断された1名からインフルエンザウイルスAH1pdm09が分離された。2023/2024シーズンにおいて、当所で分離・検出されたインフルエンザの1例目である。2022/2023シーズンにおいては、AH3亜型が多く分離・検出されたが、前回の報告からAH1pdm09が分離・検出されており、今後の動向に注視が必要である。

新型コロナウイルスゲノム解析結果情報(衛生環境研究所微生物部)

XBB系統は第40週で約95%を占め、EG.5.1系統(XBB.1.9.2の子孫株)が約49%を占めた。
「X」で始まる名前は遺伝子組換えで発生した系統に付けられる。
XBBはBJ.1(BA.2.10.1系統)/BM.1.1.1(BA.2.75.3系統)の組換え株である。
ゲノム解析は概ね前週の検体を用いて実施している。なお、解析検体数が多くない場合は割合の変動が大きくなる。
衛生環境研究所においては、県内医療機関の協力のもと、新型コロナウイルスのPCR陽性となった検体を毎週収集し、ゲノム解析を実施している。

全国2023年第39週の発生動向

全数報告の感染症

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比111%と増加した。なお、前週と比較して増加した主な疾患はインフルエンザ、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎及び手足口病で、減少した主な疾患は新型コロナウイルス感染症と伝染性紅斑であった。

インフルエンザの報告数は47,346人(9.6)で前週比135%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.24)の約40.1倍であった。沖縄県(25.9)、千葉県(19.6)、大分県(19.6)からの報告が多く、年齢群別では15歳未満が全体の約7割を占めた。

新型コロナウイルス感染症の報告数は43,705人(8.8)で前週比80%と減少した。愛知県(12.4)、熊本県(11.3)、茨城県(10.7)からの報告が多く、年齢群別では20歳未満が全体の約4割を占めた。

* 過去5年間の当該週、前週、後週(計15 週)の平均値

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