
宮崎県感染症発生動向調査2025年第29号
第27巻第29号 [宮崎県第29週(7/14〜7/20) 全国第28週(7/7〜7/13)]
宮崎県感染症週報
宮崎県感染症情報センター
宮崎県薬務感染症対策課
宮崎県衛生環境研究所
令和7年第29週(ARIのみ第28週)の発生動向
全数報告の感染症(29週までに新たに届出のあったもの)
- 1類感染症:報告なし。
- 2類感染症:結核4例。
- 3類感染症:報告なし。
- 4類感染症:報告なし。
- 5類感染症:ウイルス性肝炎1例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例、梅毒4例、百日咳40例。

全数把握対象疾患累積報告数(2025年 第1週〜第29週 保健所受理分)

( )内は今週届出分、再掲
定点把握の対象となる5類感染症
・第29週の定点医療機関からの報告総数(急性呼吸器感染症除く)は428人(定点当たり24.8)で、前週比104%とほぼ横ばいであった。なお、前週に比べ増加した主な疾患は新型コロナウイルス感染症、伝染性紅斑、ヘルパンギーナで、減少した主な疾患はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎であった。また、第28週の急性呼吸器感染症の報告総数は1,291人(定点当たり46.1)で、前週比102%とほぼ横ばいであった。
【新型コロナウイルス感染症】
報告数は133人(4.8)で、前週比196%と増加した。年齢群別は20歳未満と60歳以上がそれぞれ全体の約3割ずつを占めた。
【伝染性紅斑】
報告数は38人(2.5)で、前週比165%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.5)の約5.1倍であった。年齢群別は4歳から7歳が全体の約7割を占めた。
【ヘルパンギーナ】
報告数は57人(3.8)で、前週比121%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(3.6)の約1.1倍であった。年齢群別は6ヵ月から2歳が全体の約7割を占めた。
*新型コロナウイルス感染症流行前5年間(2015−2019)の
当該週、前週、後週(計15週)の平均値

基幹定点からの報告
○マイコプラズマ肺炎:報告数は1例(定点当たり0.1)で、宮崎市保健所から報告があった。年齢は10〜14歳であった。
保健所別 流行警報・注意報レベル基準値以上の疾患
病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部)
急性呼吸器感染症(Acute Respiratory Infection:ARI)
(2025年第28週:7月7日〜7月13日搬入分)

○急性呼吸器感染症(ARI)※1サーベイランス検体について、急性呼吸器感染症サーベイランス遺伝子検査マニュアルに従い、検査を実施した。
※1 急性呼吸器感染症(ARI):咳嗽、咽頭痛、呼吸困難、鼻汁、鼻閉のいずれか 1 つ以上の症状を呈し、発症から 10 日以内の急性的な症状であり、かつ医師が感染症を疑う外来症例
※2 左記のいずれのウイルスも検出されなかった検体数を計上
(細菌・ウイルスについては2025年7月21日までに検出分)
細菌

○80代男性からAmpC型βラクタマーゼを産生するEnterobacter bugandensisが検出された。Enterobacter属は元来染色体上にAmpCをコードする遺伝子を保有しており、AmpC型βラクタマーゼ遺伝子を検査したところEnterobacter属由来のEBC型が陽性となった。
80代女性から非O1, 非O139, コレラ毒素(CT)非産生性のVibrio chorelaeが検出された。感染症法において問題となるのはCT産生のO1またはO139のコレラ菌で、三類感染症に分類される。コレラ菌が疑われる場合には、血清型の確認及びCT産生性の確認が重要である。
ウイルス

※ ARI病原体定点から検出されたウイルスのうち、分離されたウイルスも再掲
全国2025年第28週の発生動向
全数報告の感染症
定点把握の対象となる5類感染症
定点医療機関当たりの患者報告総数(急性呼吸器感染症除く)は前週比103%とほぼ横ばいであった。なお、前週と比較して増加した主な疾患は新型コロナウイルス感染症、水痘、ヘルパンギーナで、減少した主な疾患は咽頭結膜熱、伝染性紅斑であった。また、急性呼吸器感染症の報告数は前週比100%と横ばいであった。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の報告数は5,410人(2.3)であった。例年同時期の定点当たり平均値*(2.2)の約1.0倍であった。栃木県(5.3)、愛媛県(5.0)、埼玉県(4.1)からの報告が多く、年齢群別では4歳から7歳が全体の約半数を占めた。
伝染性紅斑の報告数は4,847人(2.1)であった。例年同時期の定点当たり平均値*(0.6)の3.7倍であった。山形県(5.8)、島根県(4.6)、栃木県(4.4)からの報告が多く、年齢群別では3歳から6歳が全体の約6割を占めた。
* 新型コロナウイルス感染症流行前5年間(2015−2019)の
当該週、前週、後週(計15週)の平均値
PDFファイルダウンロード
バックナンバーはこちら