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木材の豆知識

 木は生きている?
 樹と木は一般的には使い分けられています。山などで立って生きているのが樹、材料として使われるのが木です。ところが、生きていると思われている樹の大部分の細胞は死んでいます。生きているのは形成層と呼ばれる目に見えないほど薄い層と、その内側の数年輪であるといわれています(図1)。そのほかに柔細胞と呼ばれる細胞も生きていますが、総細胞数に占める割合はわずかです。木は天然乾燥や人工乾燥をしてから使われるので、ほぼ完全にすべての細胞が死滅しています。
 建築関係の人がよく、「木は生きている」とか、「木は生き物である」という表現をされますが、厳密に言うとこれは間違いです。吸脱湿性(湿気を吸収したり放出したりすること)は死んだ細胞の物理現象です。もちろん「木は呼吸している」というのは間違いで、死んだ細胞が呼吸をすることはあり得ません。
 でも、木は生物材料です。生き物にしかできない精緻な構造が木の良さを生み出しています。たとえば、細胞の骨格(細胞壁)が残ることで、中空構造となっています(図2)。このおかげで、軽くて強く、さわると暖かく、ぶつかったときの衝撃を和らげ、光を乱反射して目に優しく、等々・・・。これらの長所を理解して「生きた木の使い方」をするのが大切だと思います。
スギの木口の写真 
スギ三断面の電子顕微鏡写真