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木材の豆知識

木材を乾かす(その1)−木材が乾く仕組み−
 日常生活の中でものを乾かすといえば、洗濯物の乾燥でしょう。庭で物干し竿に掛けることを考えてみます。冬の寒い時より夏の暑い時の方が乾きは速いですね。気温が同じであれば、梅雨時よりからっと晴れた日の方が速いです。また、太陽が出てなくても風があれば乾くということも経験します。整理すると、乾燥は温度、湿度、風速で決まるということです。
 これは木材の乾燥にも同じように当てはまり、木材乾燥機は先の3条件を制御する装置です。乾燥工程では木材中の水分が一部の化学成分とともに出てきます。スギ材では精油成分のほかに酸性の成分も含まれるため、装置の中は弱酸性になりますので、内側の壁や配管は耐酸性のステンレスで作られています。
 このような条件で湿度を正確に測定するために乾湿球温度計を使います。棒状の温度計を2本使い、1本はそのままで、他の1本はガーゼで常に湿らせます。室内の空気が乾燥するとガーゼ表面からの蒸発が盛んになって気化熱を奪い湿球温度は乾球温度より低下します。湿ってくると温度差は小さくなります。乾球温度と湿球温度との温度差で相対湿度が分かり、「湿度表」としてまとめられています。例えば、乾球温度20℃、湿球温度15℃、つまり乾湿球温度差5℃の時の相対湿度は58%で、乾湿球温度差が10℃に広がれば相対湿度は22%に低下します。急速に乾燥が進むと木材の表面が割れるので、木材乾燥機内の温度と湿度を上手に制御しながら行います。(続く)
(材料開発部長 農学博士 小田久人)
 
乾湿球温度計の写真 製材工場の大型乾燥機の写真
写真1 乾湿球温度計 写真2 製材工場の大型乾燥機