
宮崎県感染症発生動向調査2010年第34号(医療機関向け情報)
第12巻第34号[宮崎県第34週(8/23〜8/29)、全国第33週(8/16〜8/22)]
宮崎県感染症週報
宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所
宮崎県第34週の発生動向

定点医療機関からの報告総数は697人(定点あたり24.4)で、前週比110%と増加した。
前週に比べ多かった主な疾患はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎と手足口病であった。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の報告数は35人(0.97)で前週比140%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(0.98)と比較するとほぼ同数である。延岡(4.5)保健所からの報告が多く、年齢別では2歳から5歳で全体の約7割を占めた。全て9歳以下の報告であった。
手足口病の報告数は138人(3.8)で前週比120%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(1.3)と比較すると約2.9倍である。延岡(8.3)、日向(7.3)保健所からの報告が多く警報レベルを超えている。年齢別では1歳から3歳で全体の約7割を占めた。
保健所別流行警報開始基準値超過疾患
全数把握対象疾患
- 1類感染症
報告なし。
- 2類感染症
結核4例が日南(3例)、都城(1例)保健所から報告された。
《都城保健所》
40歳代の男性で疑似症患者。咳、痰、発熱がみられた。
《日南保健所》
- 40歳代の女性で肺結核。咳、痰、発熱、呼吸困難がみられた。
- 80歳代の女性で疑似症患者。発熱、貧血がみられた。
- 90歳代の女性で肺結核。咳、痰、呼吸困難がみられた。
- 3類感染症
腸管出血性大腸菌感染症8例が延岡(4例)、高鍋(2例)、日南・日向(各1例)保健所から報告された。
《延岡保健所》
- 5歳の女児で腹痛、水様性下痢、血便がみられた。原因菌の血清型はO157(VT2産生)。
- 7歳の男児で水様性下痢がみられた。原因菌の血清型はO157(VT1、VT2産生)。
- 8歳の男児で腹痛、血便、発熱がみられた。原因菌の血清型はO157(VT2産生)。
- 8歳の女児で無症状病原体保有者。原因菌の血清型はO157(VT1、VT2産生)。
《日南保健所》
1歳の男児で2週間続く下痢、粘血便がみられた。血清型はO165(VT2産生)。
《高鍋保健所》
- 40歳代の女性で腹痛、血便、軟便がみられた。原因菌の血清型はO157(VT1、VT2産生)。
- 70歳代の女性で無症状病原体保有者。原因菌の血清型はO157(VT1、VT2産生)。
《日向保健所》
3歳の女児で腹痛、水様性下痢、血便、嘔吐、発熱がみられた。原因菌のO血清型は不明(VT1産生)。
- 4類感染症
デング熱1例が宮崎市保健所から報告された。フィリピンに渡航歴のある20歳代の女性で発熱、全身の筋肉痛、血小板減少、白血球減少がみられた。
- 5類感染症
報告なし。
病原体情報(衛生環境研究所 微生物部)
細菌(平成22年8月17日〜8月30日までに分離同定)
ウイルス(平成22年8月17日〜8月30日までに分離同定)
全国第33週の発生動向
定点医療機関あたりの患者報告総数は10.4で、前週比99%とほぼ横ばいであった。今週増加した主な疾患は伝染性紅斑と感染性胃腸炎で、減少した主な疾患はヘルパンギーナと手足口病であった。
伝染性紅斑の報告数は1,005人(0.34)で、前週比131%と増加した。例年同時期の約1.7倍である。長崎県(1.3)、三重県(1.2)、福岡県(1.1)からの報告が多く、年齢別では2歳から6歳で全体の約7割を占めた。
感染性胃腸炎の報告数は8,123人(2.7)で、前週比114%と増加した。例年同時期の約1.1倍である。大分県(8.1)、宮崎県(6.3)、福井県(6.0)からの報告が多く、年齢別では6ヶ月から3歳で全体の約半数を占めた。
全数把握対象疾患
- 1類感染症
報告なし。
- 2類感染症
結核304例
- 3類感染症
コレラ1例、細菌性赤痢7例、腸管出血性大腸菌感染症194例、腸チフス1例
- 4類感染症
E型肝炎1例、A型肝炎3例、つつが虫病1例、デング熱9例、日本紅斑熱3例、マラリア3例、レジオネラ症11例
- 5類感染症
アメーバ赤痢10例、ウイルス性肝炎1例、急性脳炎2例、クロイツフェルト・ヤコブ病1例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例、後天性免疫不全症候群13例、ジアルジア症1例、梅毒3例、破傷風3例、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例、風疹1例、麻しん8例
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