
宮崎県感染症発生動向調査2010年第41号(医療機関向け情報)
第12巻第41号[宮崎県第41週(10/11〜10/17)、全国第40週(10/4〜10/10)]
宮崎県感染症週報
宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所
宮崎県第41週の発生動向

定点医療機関からの報告総数は560人(定点あたり18.7)で、前週比103%とほぼ横ばいであった。
先週に比べ多かった主な疾患は流行性耳下腺炎と感染性胃腸炎で、減少した主な疾患はヘルパンギーナとRSウイルス感染症であった。
流行性耳下腺炎の報告数は91人(2.5)で前週比121%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(1.3)の約1.9倍と多い。延岡(8.3)保健所からの報告が多く警報レベルを超えている。年齢別では3歳から7歳で全体の約6割を占めた。
感染性胃腸炎の報告数は201人(5.6)で前週比108%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(6.5)の約9割である。中央(12.0)、小林(11.0)、
日向(10.0)からの報告が多く、年齢別では1歳から3歳で全体の約半数を占めた。
保健所別流行警報開始基準値超過疾患
全数把握対象疾患
- 1類感染症
報告なし。
- 2類感染症
結核4例が日向(2例)、宮崎市・高鍋(各1例)保健所から報告された。
《宮崎市保健所》
80歳代の男性で疑似症患者。発熱がみられた。
《高鍋保健所》
80歳代の男性で肺結核。咳がみられた。
《日向保健所》
- 60歳代の男性で肺結核。
- 90歳代の男性で肺結核。痰、発熱がみられた。
- 3類感染症
腸管出血性大腸菌感染症1例が小林保健所から報告された。30歳代の女性で無症状病原体保有者。原因菌の血清型はO91(VT1産生)。
- 4類感染症
報告なし。
- 5類感染症
アメーバ赤痢1例が延岡保健所から報告された。50歳代の男性で腸管アメーバ症。粘血便がみられた。
病原体情報(衛生環境研究所 微生物部)
ウイルス(平成22年10月14日〜平成22年10月19日までに分離同定)

- 都城保健所管内で、インフルエンザA型の報告があった。遺伝子検査の結果、インフルエンザAH1pdm(新型)が検出された。9月以降4例目、5例目の報告である。
全国第40週の発生動向
定点医療機関あたりの患者報告総数は9.3で、前週比105%であった。今週増加した主な疾患はインフルエンザとRSウイルス感染症で、減少した主な疾患はヘルパンギーナと手足口病であった。
インフルエンザの報告数は537人(0.11)で、前週比183%と増加したが、例年同時期の約1割である。沖縄県(1.2)、岩手県(0.58)、福岡県(0.41)からの報告が多く、年齢別では5歳以下が全体の36%、6歳から9歳が19%、10歳から14歳が8%、15歳から19歳が4%、20歳代から50歳代が28%、60歳以上が5%を占めた。
RSウイルス感染症の報告数は1,057人(0.35)で、前週比117%と増加した。例年同時期の約1.8倍である。宮崎県(3.5)、鹿児島県(1.7)、福岡県(1.1)からの報告が多く、年齢別では2歳以下で全体の約9割を占めた。
全数把握対象疾患
- 1類感染症
報告なし。
- 2類感染症
結核265例
- 3類感染症
細菌性赤痢10例、腸管出血性大腸菌感染症92例、腸チフス1例、パラチフス1例
- 4類感染症
E型肝炎1例、つつが虫病1例、デング熱9例、日本紅斑熱1例、日本脳炎1例、レジオネラ症11例、レプトスピラ症3例
- 5類感染症
アメーバ赤痢10例、ウイルス性肝炎1例、クロイツフェルト・ヤコブ病2例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例、後天性免疫不全症候群13例、ジアルジア症1例、梅毒12例、破傷風2例、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例、麻しん2例
月報告対象疾患の発生動向 <9月>
性感染症
【宮崎県】 定点医療機関総数:13
定点医療機関からの報告総数は54人(4.2)で、前月比86%と減少した。昨年9月(4.8)の約9割であった。
《疾患別》
- 性器クラミジア感染症
報告数32人(2.5)で、前月の約9割、前年の約8割であった。都城(4.5)、宮崎市(4.0)保健所からの報告が多く、男性23人、女性9人で、20歳代・30歳代がそれぞれ全体の約3割を占めた。
- 性器ヘルペスウイルス感染症
報告数2人(0.15)で、前月・前年の約2割であった。20歳代と30歳代の女性であった。
- 尖圭コンジローマ
報告はなかった。
- 淋菌感染症
報告数20人(1.5)で、前月の約1.4倍、前年の約2.2倍であった。男性18人、女性2人で、20歳代が全体の約4割、30歳代が全体の約3割を占めた。

【全国】定点医療機関総数:959
定点医療機関からの報告総数は4,377人(4.6)で、前月比99%であった。疾患別報告数は、性器クラミジア感染症2,297人(2.4)で前月比101%、性器ヘルペスウイルス感染症649人(0.68)で前月比88%、尖圭コンジローマ448人(0.47)で前月比102%、淋菌感染症983人(1.0)で前月比102%であった。
薬剤耐性菌
【宮崎県】 定点医療機関総数:7
定点医療機関からの報告総数は36人(5.1)で前月比95%とほぼ横ばいであった。また昨年9月(7.0)の約7割であった。
《疾患別》
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
報告数29人(4.1)で、前月・前年の約9割であった。高鍋(9.0)、宮崎市(6.0)、延岡(5.0)保健所からの報告が多く、70歳以上が全体の約6割を占めた。
- ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
報告数7人(1.0)で、前月の約1.2倍、前年の約4割であった。宮崎市(5.0)保健所からの報告が多く、1歳から9歳が全体の約6割を占めた。
- 薬剤耐性緑膿菌感染症
報告はなかった。
【全国】 定点医療機関総数:467
定点医療機関からの報告総数は2,266人(4.9)で、前月比89%であった。疾患別報告数は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症1,927人(4.1)で前月比89%、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症284人(0.61)で前月比84%、薬剤耐性緑膿菌感染症55人(0.12)で前月比92%であった。
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