
宮崎県感染症発生動向調査2011年第24号
第13巻第24号[宮崎県24週(6/13〜6/19)、全国23週(6/6〜6/12)]
宮崎県感染症週報
宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所
宮崎県第24週の発生動向

定点医療機関からの報告総数は1,043人(定点あたり29.9)で、前週比95%とほぼ横ばいであった。
前週に比べ増加した主な疾患はヘルパンギーナと咽頭結膜熱で、減少した主な疾患はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎と水痘であった。
ヘルパンギーナの報告数は83人(2.3)で前週比141%と増加したが、例年同時期の定点あたり平均値(3.5)の約7割であった。日向(6.5)保健所からの報告が多く、警報レベルを超えている。年齢別では6ヶ月から2歳で全体の約8割を占めた。
咽頭結膜熱の報告数は49人(1.4)で前週比140%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(0.76)の約1.8倍と多い。延岡(4.3)保健所からの報告が多く、警報レベルを超えている。年齢別では1歳から5歳で全体の約8割を占めた。
無菌性髄膜炎2人が日南・高鍋(各1人)保健所から報告された。1歳の男児と80歳代の男性であった。
保健所別流行警報開始基準値超過疾患
疾患別流行警報開始基準値超過疾患
全数把握対象疾患
- 1類感染症
報告なし。
- 2類感染症
結核6例が宮崎市(4例)、都城・高鍋(各1例)保健所から報告された。
《宮崎市保健所》
- 60歳代の女性で無症状病原体保有者。
- 50歳代の女性で頚部リンパ節結核。頚部腫脹がみられた。
- 60歳代の男性で無症状病原体保有者。
- 70歳代の女性で肺結核。咳、発熱がみられた。
《都城保健所》
80歳代の女性で肺結核。発熱がみられた。
《高鍋保健所》
70歳代の女性で肺結核。咳、痰がみられた。
- 3類感染症
報告なし。
- 4類感染症
報告なし。
- 5類感染症
報告なし。
病原体情報(衛生環境研究所 微生物部)
ウイルス(平成23年6月7日〜平成23年6月20日までに検出)

- アデノウイルス咽頭炎の小児からアデノウイルス2型が分離された。アデノウイルス2型は、本県ではほぼ毎年検出されており、ライノウイルス等とともに、「かぜ症候群」を起こす主要病原ウイルスの一つと考えられている。
- 無菌性髄膜炎の新生児の髄液及び咽頭ぬぐい液からコクサッキーウイルスB1型が分離された。コクサッキーウイルスB1型は、無菌性髄膜炎、心筋炎、手足口病などの原因となることが知られている。
細菌(平成23年6月7日〜平成23年6月20日までに検出)

- 血便を呈した60代の女性と下痢を呈した幼児から、血清型O121のEHECが分離された。O121の多くは毒性の強いVT2を産生するので、症状の重篤化に注意する必要がある。
- 無症状の20歳代女性から血清型O157のEHECが検出された。
全国第23週の発生動向
定点医療機関あたりの患者報告総数は17.9で、前週比106%と増加した。今週増加した主な疾患はヘルパンギーナと手足口病で、減少した主な疾患はインフルエンザと流行性耳下腺炎であった。
ヘルパンギーナの報告数は1,762人(0.56)で、前週比156%と増加した。鹿児島県(4.1)、香川県(2.4)、徳島県(2.1)からの報告が多く、年齢別では1歳から4歳で全体の約8割を占めた。
手足口病の報告数は5,275人(1.7)で、前週比153%と増加した。香川県(8.1)、島根県(7.8)、岡山県(7.3)からの報告が多く、年齢別では1歳から3歳で全体の約7割を占めた。
全数把握対象疾患
- 1類感染症
報告なし。
- 2類感染症
結核362例
- 3類感染症
細菌性赤痢3例、腸管出血性大腸菌感染症101例、腸チフス1例
- 4類感染症
E型肝炎1例、つつが虫病10例、日本紅斑熱5例、マラリア2例、レジオネラ症11例
- 5類感染症
アメーバ赤痢5例、ウイルス性肝炎7例、急性脳炎2例、クロイツフェルト・ヤコブ病3例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例、後天性免疫不全症候群12例、ジアルジア症1例、髄膜炎菌性髄膜炎1例、梅毒20例、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例、風疹12例、麻しん15例
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