
宮崎県感染症発生動向調査2011年第44号
第13巻第44号[宮崎県44週(10/31〜11/6)、全国43週(10/24〜10/30)]
宮崎県感染症週報
宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所
宮崎県第44週の発生動向
定点医療機関からの報告総数は587人(定点あたり18.7)で、前週比111%と増加した。
前週に比べ増加した疾患は水痘と感染性胃腸炎で、減少した主な疾患は手足口病であった。
水痘の報告数は58人(1.6)で前週比157%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(1.2)の約1.3倍である。延岡(2.8)・宮崎市(2.4)保健所からの報告が多く、年齢別では1歳から5歳で全体の約8割を占めた。
感染性胃腸炎の報告数は246人(6.8)で前週比128%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(10.2)の約7割である。小林(15.0)・都城(10.7)保健所からの報告が多く、年齢別では1歳から4歳で全体の約半数を占めた。
マイコプラズマ肺炎8人が延岡(4人)、都城(2人)、宮崎市・日南(各1人)保健所から報告された。年齢別報告数を【表】に示す。病原体はすべてMycoplasma pneumoniae であった。

疾患別流行警報開始基準値超過疾患
全数把握対象疾患
- 1類感染症
報告なし。
- 2類感染症
結核3例が宮崎市(2例)、高鍋(1例)保健所から報告された。
《宮崎市保健所》
- 70歳代の男性でその他の結核(結核性腹膜炎)。発熱、腹痛、腹部膨満がみられた。
- 80歳代の男性で肺結核。痰、発熱、呼吸困難がみられた。
《高鍋保健所》
40歳代の女性で肺結核。咳、痰、発熱がみられた。
- 3類感染症
腸管出血性大腸菌感染症3例が、高鍋(2例)、宮崎市(1例)保健所から報告された。
《宮崎市保健所》
14歳の男子で腹痛、水様性下痢、血便、血尿がみられた。原因菌の血清型はO111(VT1、VT2産生)。
《高鍋保健所》
- 60歳代の女性で無症状病原体保有者。原因菌の血清型はO157(VT2産生)。
- 70歳代の男性で水様性下痢、発熱がみられた。原因菌の血清型はO157(VT産生)。
- 4類感染症
レプトスピラ症1例が小林保健所から報告された。30歳代の男性で発熱、結膜充血、咽頭痛、鼻閉がみられた。
- 5類感染症
- ウイルス性肝炎(B型)1例が宮崎市保健所から報告された。10歳代の男性で全身倦怠感、嘔吐、褐色尿、肝機能異常、黄疸がみられた。
- 後天性免疫不全症候群1例が延岡保健所から報告された。30歳代の男性で無症候性キャリア。
全数把握対象疾患累積報告数(2011年第1週〜44週)

( )内は今週届出分、再掲
動物感染症累積報告数(2011年第1週〜44周)(参考)
病原体情報(衛生環境研究所 微生物部)
細菌(平成23年10月25日〜平成23年11月7日までに検出)

- 無症状保菌者からO157:HNM VT2、EHEC疑いの患者からO111:HNM VT1,2がそれぞれ分離された。一般的に鞭毛抗原(H抗原)を表記する場合、HNMあるいはHUTと表記されることがある。HNMのNMはnon-motileの略で、運動性が確認されなかった場合に、またHUTのUTはuntypableの略で運動性は確認されるが血清型別出来なかった場合に表記される。
ウイルス(平成23年10月25日〜平成23年11月7日までに検出)
全国第43週の発生動向
定点医療機関あたりの患者報告総数は10.8で、前週比101%と横ばいであった。今週増加した主な疾患は感染性胃腸炎とA群溶血性レンサ球菌咽頭炎で、減少した主な疾患は流行性耳下腺炎とヘルパンギーナであった。
感染性胃腸炎の報告数は10,044人(3.2)で、前週比108%と増加した。山口県(8.3)、愛媛県(6.7)、大分県(6.6)からの報告が多く、年齢別では1歳から3歳で全体の約4割を占めた。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の報告数は3,735人(1.2)で、前週比108%と増加した。北海道(2.6)、大分県(2.3)、福井県(2.0)からの報告が多く、年齢別では4歳から7歳で全体の約半数を占めた。
全数把握対象疾患
- 1類感染症
報告なし。
- 2類感染症
結核347例
- 3類感染症
コレラ1例、細菌性赤痢8例、腸管出血性大腸菌感染症37例、パラチフス1例
- 4類感染症
E型肝炎1例、A型肝炎2例、オウム病1例、つつが虫病8例、デング熱1例、日本紅斑熱3例、日本脳炎1例、マラリア3例、レジオネラ症14例
- 5類感染症
アメーバ赤痢9例、ウイルス性肝炎2例、クロイツフェルト・ヤコブ病2例、後天性免疫不全症候群20例、梅毒19例、破傷風1例、バンコマイシン耐性腸球菌感染症4例、麻しん2例
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