
宮崎県感染症発生動向調査2012年第35号
第14巻第35号[宮崎県第35週(8/27〜9/2)全国第34週(8/20〜8/26)
宮崎県感染症週報
宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所
宮崎県第35週の発生動向
定点医療機関からの報告総数は699人(定点あたり22.0)で、前週比107%と増加した。
インフルエンザ・小児科定点からの報告
前週に比べ増加した主な疾患はRSウイルス感染症で、減少した主な疾患は感染性胃腸炎とヘルパンギーナであった。
【RSウイルス感染症】
- 報告数は177人(4.9)で前週比260%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値(1.1)の約4.6倍である。日向(10.3)、宮崎市(8.9)保健所からの報告が多く、年齢別では1歳未満が約3割、1歳が約4割、2歳が約2割を占めた。
※ ヘルパンギーナは、流行警報レベル終息基準値(2.0)を下回りました。
基幹定点からの報告
- マイコプラズマ肺炎:高鍋(2人)、延岡(1人)保健所から報告された。患者は11ヶ月、7歳、12歳。
流行警報開始基準値超過疾患
全数把握対象疾患
- 1類感染症
報告なし。
- 2類感染症
結核5例。
- 3類感染症
腸管出血性大腸菌感染症5例。
- 4類感染症
報告なし。
- 5類感染症
麻しん1例。

全数把握対象疾患累積報告数(2012年第1週〜35週)

( )内は今週届出分、再掲
全国第34週の発生動向
定点医療機関あたりの患者報告総数は9.9で、前週比113%と増加した。今週増加した主な疾患は感染性胃腸炎とA群溶血性レンサ球菌咽頭炎で、減少した主な疾患はインフルエンザであった。
感染性胃腸炎の報告数は9,148人(2.9)で、前週比132%と増加した。大分県(6.5)、宮崎県(5.6)、島根県(5.2)からの報告が多く、年齢別では6ヶ月から2歳で全体の約4割を占めた。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の報告数は2,160人(0.69)で、前週比121%と増加した。山口県(2.4)、鳥取県(1.7)、宮崎県(1.4)からの報告が多く、年齢別では4歳から6歳が全体の約4割を占めた。
全数把握対象疾患(全国第34週)

- 腸管出血性大腸菌感染症:北海道(35例)からの報告が多い。
- 風しん:大阪府(19例)、東京都(12例)からの報告が多い。
病原体情報(宮崎県衛生環境研究所微生物部 平成24年9月4日までに検出)
ウイルス

- 本県におけるコクサッキーウイルスA9型の検出数は2001年13件、2002年1件、2003年38件、2006年14件、2009年8件報告されている。本年は、3月に発疹症を伴った小児からも分離されている。
- ヘルペス口内炎疑いの乳児から単純ヘルペスウイルス1型が分離された。
- 気管支炎、下気道炎、呼吸不全などの症状を伴った乳児4人からRSウイルスが検出された。RSウイルスは乳幼児肺炎の約50%を占めており、毎年11月〜翌年の1月にかけて冬季の流行が多く報告されている。
- 麻しん疑いと診断された成人女性(海外渡航歴あり)の咽頭ぬぐい液、尿、血液から麻しんウイルスが検出された。本県では2008年に検出されて以来、4年ぶりの検出である。また、全国の麻しんウイルスの検出数は2012年7月末までに68件報告されている。麻しんウイルス検出例の年齢は0歳〜40代前半まで幅広く、子供も成人も注意が必要である。
細菌

- 8/10〜8/28に32名の検査依頼があり、腸管出血性大腸菌(EHEC)が17名から18株、サルモネラ属菌が12名から12株、毒素原性大腸菌、百日咳菌、ビブリオ属菌のVibrio
furnissii が、それぞれ1名から1株分離された(同一患者からの複数検出例あり)。
- EHECによる集団感染事例が発生した。起因菌はそれぞれO111、O26で、いずれも国内において報告が多い血清型である。EHECは重症化するとHUSや脳症を引き起こし、場合によっては死に至ることもあるが、
その一方で、大半が無症状であることも知られている。しかし、無症状保菌状態でも菌の感染力は失われていないため、EHECが検出された場合は症状が無くても除菌が求められる。
- サルモネラ属菌の検出報告が増加している。今年度分離されたサルモネラの報告数は、9月4日現在27件であり、これはH23年度の報告数に等しい。サルモネラ属菌の発病までの潜伏期は通常6〜48時間で、主症状である下痢や腹痛、嘔気、嘔吐に加えて、発熱が見られるのが特徴である。
感染経路としては、大半が加熱不十分な食品であるが、ペットから感染したと考えられるケースも見られる。
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