
宮崎県感染症発生動向調査2013年第46号
第15巻第46号[宮崎県第46週(11/11〜11/17)全国第45週(11/4〜11/10)]
宮崎県感染症週報
宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所
宮崎県平成25年第46週の発生動向
定点医療機関からの報告総数は953人(定点あたり28.3)で、前週比114%と増加した。
前週に比べ増加した主な疾患は感染性胃腸炎と水痘で、減少した主な疾患はヘルパンギーナであった。
インフルエンザ・小児科定点からの報告
【感染性胃腸炎】
- 報告数は612人(17.0)で前週比122%と増加した。例年同時期の定点あたり平均値*(10.9)の約1.6倍である。小林(56.3)、日南(21.0)保健所からの報告が多く、小林保健所管内で大きく増加している。年齢別では1歳から4歳が全体の約6割を占めた。


【水痘】


流行警報レベル開始基準値超過疾患
全数把握対象疾患(46週までに届出のあったもの)
- 1類感染症
報告なし。
- 2類感染症
結核5例。
- 3類感染症
腸管出血性大腸菌感染症1例。
- 4類感染症
つつが虫病1例。
- 5類感染症
急性脳炎1例。

全数把握対象疾患累積報告数(2013年第1週〜46週)

( )内は今週届出分、再掲
病原体情報(衛生環境研究所微生物部 2013年11月17日までに検出)
ウイルス

- 胃腸炎を呈した乳児1名と上気道炎等の症状を呈した幼児2名からライノウイルスが検出された。ライノウイルスの主な臨床所見は頭痛、のどの痛み、鼻詰まり、くしゃみなどである。急性の呼吸器系感染症の50%はライノウイルスによると考えられるが、症状は軽く一般には数日で軽快する。ライノウイルスは一年を通して検出されており、特に秋と春にかけて多く検出されている。
細菌

- 下痢、嘔気、嘔吐の症状を呈した海外渡航歴のある60歳代男性からV. cholerae O1 エルトール小川型(コレラ菌)が検出された。
コレラ菌はコレラ毒素産生性の血清型O1またはO139のV. choleraeであり、O1は型特異因子により小川型と稲葉型および彦島型に細分され、さらに生物型でアジア型とエルトール型に分類される。国立感染症研究所の病原微生物検出情報 Vol.32 No.4によると、近年国内で検出されるコレラ菌のほとんどはエルトール小川型であり、今回検出されたものも同一の型である。
コレラ菌の検査は従来の培養法に加え、O抗原遺伝子(rfb)検出による血清型O1とO139の鑑別およびコレラ毒素遺伝子(ctx A)検出に有用なマルチプレックスPCRも開発されており、迅速な診断に有用である。
- BCG接種後にリンパ節腫脹を呈した0〜4歳の女児からM. bovis BCGが検出された。
感染症法において結核は、結核菌群(M. tuberculosis complex、ただしM. bovis BCGを除く)による感染症と定義されているが、結核菌群とM.bovis BCGとの鑑別は同定キットを用いても難しい。M. bovis BCGは結核菌群と異なりRD1という遺伝子領域が欠損していることが知られており、そのことを利用したPCR法が有用である。
- 発熱、ショック、低血圧の症状を呈した80歳代男性からN. meningitidis(Y群)が検出された。
感染症法では、従来N. meningitidisによる急性化膿性髄膜炎のことを髄膜炎菌性髄膜炎と定義していたが、平成25年4月1日からN. meningitidisによる侵襲性感染症のうち本菌が髄液又は血液から検出された感染症を侵襲性髄膜炎菌感染症とすることとなった。
また、届出基準についても、従来の分離同定による病原体の検出に加えPCR法による病原体の遺伝子検出によっても届出可能となった。
全国第45週の発生動向
定点医療機関あたりの患者報告総数は10.2で、前週比94%と減少した。今週増加した主な疾患はインフルエンザで、減少した主な疾患は手足口病であった。
インフルエンザの報告数は528人(0.11)で前週比138%と増加した。沖縄県(0.93)、愛媛県(0.70)からの報告が多く、年齢別では5歳以下が全体の26%。6-9歳が18%、10-14歳が13%、15-19歳が4%、20歳以上が39%を占めた。
感染性胃腸炎の報告数は12,940人(4.1)で前週比100%と横ばいであった。宮崎県(14.0)、熊本県(8.0)、愛媛県(7.7)からの報告が多く、年齢別では1歳から4歳が全体の約半数を占めた。
全数把握対象疾患(全国第45週)
PDFファイルダウンロード