
宮崎県感染症発生動向調査2015年第22号
第17巻22号[宮崎県第22週(5/25〜5/31) 全国第21週(5/18〜5/24)]
宮崎県感染症週報
宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所
宮崎県2015年第22週の発生動向
トピックス
・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)(全数報告の感染症)の届出が延岡保健所から1例あった。県内での報告は今年4例目、累計23例目となった。患者は60歳代女性で、5月上旬に発症した。ダニの刺し口があり、海外渡航歴はなかった。
全数報告の感染症(22週までに新たに届出のあったもの)
- 1類感染症
報告なし。
- 2類感染症
結核9例。
- 3類感染症
報告なし。
- 4類感染症
重症熱性血小板減少症候群1例、日本紅斑熱1例。
- 5類感染症
後天性免疫不全症候群1例、梅毒1例、破傷風1例。

全数把握対象疾患累積報告数(2015年第1週〜22週)

( )内は今週届出分、再掲
定点把握の対象となる5類感染症
・定点医療機関からの報告総数は915人(定点当たり27.3)で、前週比98%とほぼ横ばいであった。前週に比べ増加した主な疾患はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎で、減少した主な疾患は咽頭結膜熱と感染性胃腸炎であった。
インフルエンザ・小児科定点からの報告
【A群溶血性レンサ球菌咽頭炎】
・報告数は149人(4.1)で、前週比120%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(3.1)の約1.4倍と多い。延岡(10.3)、日南(10.0)保健所からの報告が多く、年齢別では4〜6歳が全体の約半数を占めた。
* 過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値
【感染性胃腸炎】
・報告数は443人(12.3)で、前週比90%と減少した。例年同時期の定点当たり平均値*(9.9)の約1.2倍と多い。小林(26.0)、中央(23.0)、日南(22.0)保健所からの報告が多く、年齢別では1〜4歳が全体の約半数を占めた。
流行警報・注意報レベル基準値超過疾患
基幹定点からの報告
○感染性胃腸炎(ロタウイルス)
高鍋保健所管内で7例報告された。0〜4歳が6例、50歳代が1例で、病原体の群別不明。
病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成27年6月1日までに検出)
細菌
敗血症を呈した60代後半の男性の血液から、lgnatzschineria indica疑いの菌が検出された。この菌は、2011年にハエの腸管内に存在することが報告されているが、症例の報告が少なく生化学性状などは不明な点が多い。ヒトへの感染例としては、類縁菌のlgnatzschineria larvaeにおいて、糖尿病性の潰瘍や外傷性の傷へうじ虫が寄生し敗血症を呈した事例が報告されている。今後、報告数が増えれば、より詳細な菌の性状なども明らかになるものと思われる。
ウイルス
エンテロウイルス疑いの乳児2名と伝染性紅斑(りんご病)疑いの乳児1名からエコーウイルス3型が分離された。また、風疹疑いの乳児からコクサッキーウイルスA9型が分離された。エンテロウイルスは小児において夏季に流行する感染症である。今回、エコーウイルス3型が分離された3名中2名はりんご病様の発疹(紅斑)がみられている。りんご病は主に小児を中心にしてみられる発疹性疾患であり、また妊婦が感染すると流早産や胎児性水腫を起こすことがある。全国では手足口病とりんご病の増加が例年より早くみられており、宮崎県でも今後増加する可能性があるため今後の発生動向に注意が必要である。
全国第21週の発生動向
全数報告の感染症(全国第21週)
定点把握の対象となる5類感染症
定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比105%とやや増加した。前週と比較して増加した主な疾患は手足口病とヘルパンギーナで、減少した主な疾患はインフルエンザと水痘であった。
手足口病の報告数は5,255人(1.7)で前週比155%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(0.68)の約2.5倍と多い。徳島県(8.1)、鳥取県(5.8)、香川県(5.6)からの報告が多く、年齢別では1〜2歳が全体の約6割を占めた。
ヘルパンギーナの報告数は989人(0.31)で前週比163%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(0.33)の約0.9倍であった。宮崎県(2.3)、愛媛県(1.6)からの報告が多く、年齢別では1〜2歳が全体の約半数を占めた。
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