所長挨拶 研究所の紹介 発表・調査研究 情報・ニュース 宮崎県感染症情報センター 見学と研修のお申し込み リンク集 お問い合わせ

宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2015年第36号

第17巻36号[宮崎県第36週(8/31〜9/6)全国第35週(8/24〜8/30)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県2015年第36週の発生動向

トピックス

後天性免疫不全症候群(全数報告の感染症)の報告が宮崎市保健所から1例あった。患者は30歳代男性で、指標疾患は単純ヘルペスウイルス感染症であった。県内の今年の累計報告数は14例で、調査が開始された平成11年以降最多となった。年齢群別では30歳代が全体の50%を占める。また、推定感染経路は性行為感染が全体の86%を占める。

全数報告の感染症(36週までに新たに届出のあったもの)
  • 1類感染症:報告なし。
  • 2類感染症:結核1例。
  • 3類感染症:腸管出血性大腸菌感染症3例。
  • 4類感染症:E型肝炎1例、デング熱1例。
  • 5類感染症:後天性免疫不全症候群1例、侵襲性肺炎球菌感染症1例。

全数把握対象疾患累積報告数(2015年第1週〜36週)

( )内は今週届出分、再掲

定点把握の対象となる5類感染症

・定点医療機関からの報告総数803人(定点当たり25.7)で、前週比93%と減少した。前週に比べ増加した主な疾患はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎で、減少した主な疾患は手足口病とヘルパンギーナであった。

インフルエンザ・小児科定点からの報告

【RSウイルス感染症】
・報告数は94人(2.6)で、前週比91%と減少した。例年同時期の定点当たり平均値(3.8)の約0.7倍であった。年齢別では6ヶ月〜1歳が全体の約7割を占めた。

過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値。

【手足口病】
・報告数は212人(5.9)で、前週比74%と減少した。流行警報レベル(5.0)を超過している。例年同時期の定点当たり平均値(3.0)の約2.0倍と多い。中央(13.0)、日南(9.0)、日向(8.5)保健所からの報告が多く、年齢別は1〜2歳が全体の約6割を占めた。。

基幹定点からの報告

○細菌性髄膜炎:宮崎市保健所管内で1例報告があった。0歳で、血液からStreptococcus agalactiaeが分離された。
○無菌性髄膜炎:宮崎市保健所管内と都城保健所管内で各1例ずつ報告があった。1〜4歳と10歳代で、
1例は鼻腔粘液からRSウイルスが検出され、1例は検査中。

流行警報・注意報レベル基準値超過疾患

病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成27年9月7日までに検出)

ウイルス

○フィリピンへの海外渡航歴のある男性からデングウイルス1型が検出された。病原体診断には、ウイルス遺伝子検査、非構造タンパクNS1抗原検出、ウイルス分離がある。ウイルスは発病1〜2日前から発熱期に血液中に存在するため、この時期に採取された検体からは、比較的容易にウイルス遺伝子の検出ができるが、解熱とともに検出されなくなる。一方、NS1抗原は、解熱後も数日間検出できる場合が多く、イムノクロマトキットで、迅速かつ簡便に検査が可能である。しかし、ウイルス遺伝子検査と異なりウイルス型別はできない。検査法それぞれに特徴があり、検査法を組み合わせることで、より精度の高い診断を行うことが可能となる。
○脳炎と診断された男性の咽頭ぬぐい液からヒトヘルペスウイルス6型(HHV6)が検出された。検体として他に、髄液、血液が採取されているが、いずれもウイルスは検出されていない。HHV6は、唾液腺などに潜伏感染するため、咽頭ぬぐい液から検出されても、既往感染を示すのみになる。
○急性脳症疑いの乳児の便及び咽頭ぬぐい液からコクサッキーウイルスA6型(CA6)が分離された。検体として髄液も採取されているが、髄液からはウイルスは検出されておらず、CA6と急性脳症の因果関係は不明である。

細菌

百日咳疑いの6名から、百日咳菌(Bordetella pertussis)が検出された。百日咳は、ワクチンで予防可能な疾患であるが、近年では、ワクチンの効果が減弱する年齢層での感染が問題となっている。当所での百日咳菌検査はスクリーニングとしてreal-time PCR法を、確認にはLAMP法および菌の分離を行っている。通常、ワクチン未接種の乳幼児以外では百日咳菌の分離は難しいとされているが、今回の事例ではすべて菌が分離されており、百日咳と確定された。

全国第35週の発生動向

全数報告の感染症(全国第35週)
定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比101%とほぼ横ばいであった。前週と比較して増加した主な疾患はRSウイルス感染症とA群溶血性レンサ球菌咽頭炎で、減少した主な疾患は咽頭結膜熱であった。

RSウイルス感染症の報告数は1,689人(0.54)で前週比150%と増加した。宮崎県(2.9)、大分県(2.5)、鹿児島県(2.2)からの報告が多く、年齢別では1歳が全体の約4割を占めた。

手足口病の報告数は17,736人(5.7)で前週比100%と横ばいであった。新潟県(15.6)、長野県(14.6)、青森県(13.4)からの報告が多く、年齢別では1〜2歳が全体の約6割を占めた。

PDFファイルダウンロード


宮崎県衛生環境研究所
〒889-2155 宮崎市学園木花台西2丁目3-2 / 電話.0985-58-1410 FAX.0985-58-0930