
宮崎県感染症発生動向調査2017年第10号
第19巻10号[宮崎県第10週(3/6〜3/12)全国第9週(2/27〜3/5)]
宮崎県感染症週報
宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所
宮崎県第10週の発生動向
全数報告の感染症(10週までに新たに届出のあったもの)
- 1類感染症:報告なし。
- 2類感染症:結核2例。
- 3類感染症:報告なし。
- 4類感染症:報告なし。
- 5類感染症:後天性免疫不全症候群1例。

全数把握対象疾患累積報告数(2017年第1週〜10週)

( )内は今週届出分、再掲
定点把握の対象となる5類感染症
定点医療機関からの報告総数は1,771人(定点当たり39.1)で、前週比111%と増加した。前週に比べ増加した主な疾患はインフルエンザとA群溶血性レンサ球菌咽頭炎で、減少した主な疾患は伝染性紅斑であった。
インフルエンザ・小児科定点からの報告
【インフルエンザ】
報告数は1,142人(19.4)で、前週比105%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(21.6)の約0.9倍であった。日南(41.0)、中央(27.5)、小林(23.8)保健所からの報告が多く、年齢別は5〜9歳が全体の約3割を占めた。

【感染性胃腸炎】
報告数は343人(9.5)で、前週比104%とほぼ横ばいであった。例年同時期の定点当たり平均値*(12.4)の約0.8倍であった。高千穂(19.0)、日南(18.7)、小林(14.7)保健所からの報告が多く、年齢別は1〜3歳が全体の約4割を占めた。
【咽頭結膜熱】
報告数は34人(0.94)で、前週比106%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.73)の約1.3倍であった。日向(1.8)、日南(1.7)保健所からの報告が多く、年齢別は1〜3歳が全体の約6割を占めた。

*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値
基幹定点からの報告
○マイコプラズマ肺炎:高鍋保健所から1例報告があった。10歳代であった。
○感染性胃腸炎(ロタウイルス):日向保健所から5例報告があった。0〜4歳で、病原体の群別は不明であった。
保健所別 流行警報・注意報レベル基準値超過疾患
病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成29年3月13日までに検出)
細菌
ウイルス

○胃腸炎の症状がある乳児の便からアデノウイルス31型が分離された。小児に胃腸炎を起こす原因の約1割がアデノウイルスであると考えられている。胃腸炎を起こす型として40型、41型が多いが、まれに31型も原因となり、下痢や嘔吐を起こす。アデノウイルスは上気道や結膜などで増殖するため、飛沫感染や接触感染で広がる。また、酸に抵抗性が高いため、飲み込んだウイルスが消化管で増殖し糞便中にも排泄されることがある。
○急性小脳失調の幼児の咽頭ぬぐい液からヒトヘルペスウイルス6が検出された。人に感染するヘルペスウイルスは8種類が知られており、その中のヒトヘルペスウイルス6は、突発性発疹を起こす。なお、初感染時は感染性のウイルス粒子を産生していないため潜伏感染を続ける。また、神経向性が強いという特徴を持つため、高率に脳内へのウイルスの移行が見られ、ヘルペスウイルスの再活性化がおこると熱性痙攣や脳炎、肺炎、造血障害などを起こす場合もある。
全国2017年第9週の発生動向
全数報告の感染症(全国第9週)
定点把握の対象となる5類感染症
定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比88%と減少した。前週と比較して増加した主な疾患は咽頭結膜熱、減少した主な疾患はインフルエンザと手足口病であった。
インフルエンザの報告数は67,273人(13.6)で前週比80%と減少した。例年同時期の定点当たり平均値*(20.5)の約0.7倍であった。長ア県(21.4)、石川県(21.0)、沖縄県(20.4)からの報告が多く、年齢別では5〜9歳が全体の約3割を占めた。
咽頭結膜熱の報告数は1,257人(0.40)で前週比108%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.30)の約1.3倍であった。岩手県(1.0)、石川県(0.97)、鹿児島県(0.96)からの報告が多く、年齢別では1〜2歳が全体の約半数を占めた。
* 過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値
月報告対象疾患の発生動向 <2017年2月>
性感染症
【宮崎県】 定点医療機関総数:13
定点医療機関からの報告総数は40人(3.1)で、前月比89%と減少した。また、昨年2月(2.5)の121%であった。
《疾患別》
- 性器クラミジア感染症
報告数20人(1.5)で、前月の約0.8倍、昨年2月の約0.9倍であった。20歳代が全体の約6割を占めた。(男性6人・女性14人)
- 性器ヘルペスウイルス感染症
報告数4人(0.31)で、前月の約0.4倍、昨年2月の0.8倍であった。(男性1人・女性3人)
- 尖圭コンジローマ
報告数7人(0.54)で、前月の約2.3倍、昨年2月の約2.3倍であった。(男性4人、女性3人)
- 淋菌感染症
報告数9人(0.69)で、前月の約1.3倍、昨年2月の約4.5倍であった。(男性6人・女性3人)

【全国】定点医療機関総数:985
定点医療機関からの報告総数は3,607人(3.7)で、前月比97%とほぼ横ばいであった。疾患別報告数は、性器クラミジア感染症1,862人(1.9)で前月比101%、性器ヘルペスウイルス感染症728人(0.74)で前月比95%、尖圭コンジローマ383人(0.39)で前月比89%、淋菌感染症634人(0.64)で前月比94%であった。
薬剤耐性菌
【宮崎県】 定点医療機関総数:7
定点医療機関からの報告総数は18人(2.6)で前月比129%と増加した。また昨年2月(2.9)の約0.9倍であった。
《疾患別》
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
報告数17人(2.4)で、前月の約1.3倍、昨年2月の約0.9倍であった。70歳以上が全体の約8割を占めた。
- ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
報告数1人(0.14)であった。(前月及び昨年2月報告なし)
- 薬剤耐性緑膿菌感染症
報告なし。
【全国】 定点医療機関総数:475
定点医療機関からの報告総数は1,445人(3.1)で、前月比93%と減少した。疾患別報告数は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症1,272人(2.7)で前月比92%、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症160人(0.34)で前月比100%、薬剤耐性緑膿菌感染症13人(0.03)で前月比150%であった。
インフルエンザ情報《県内第10週、全国第9週(再掲)》
県内第10週インフルエンザ発生動向
2017年3月6日〜3月12日までの1週間で1,142人(定点あたり19.4)の報告があった。前週の約1.1倍と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(21.6)の約0.9倍であった(図1)。保健所別推移を図2に示す。年齢群別では5歳未満が全体の24%、5-9歳が31%、10-14歳が16%、15-19歳が5%、20-59歳が18%、60歳以上が6%を占めた。(図3)

全国第9週インフルエンザ発生動向
2017年2月27日〜3月5日までの1週間で67,273人(13.6)で前週比80%と減少した。長ア県(21.4)、石川県(21.0)、沖縄県(20.4)からの報告が多い。年齢別では5歳未満が全体の20%、5-9歳が29%、10-14歳が16%、15-19歳が5%、20-59歳が21%、60歳以上が9%であった。
PDFファイルダウンロード