
宮崎県感染症発生動向調査2017年第30号
第19巻30号[宮崎県第30週(7/24〜7/30)全国第29週(7/17〜7/23)]
宮崎県感染症週報
宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所
宮崎県第30週の発生動向
トピックス
ヘルパンギーナ(定点把握対象)
第30週(7/24〜7/30)の県内の定点当たり報告数は7.2で、今年初めて流行警報レベル開始基準値(6.0)を超えた。昨年と比較して2週間遅くなっている。詳細後述。
重症熱性血小板減少症候群(全数報告の感染症)
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の報告が日南保健所から1例報告があった。県内での報告は今年8例目で、累計44例(平成25年3月届出開始以降)である。患者は70歳代の男性で、発症は7月下旬である。ダニの刺し口は確認できず、海外渡航歴はなかった。

全数報告の感染症(30週までに新たに届出のあったもの)
- 1類感染症:報告なし。
- 2類感染症:結核1例。
- 3類感染症:腸管出血性大腸菌感染症1例。
- 4類感染症:重症熱性血小板減少症候群1例。
- 5類感染症:報告なし。

全数把握対象疾患累積報告数(2017年第1週〜30週)

( )内は今週届出分、再掲
定点把握の対象となる5類感染症
定点医療機関からの報告総数は1,142人(定点当たり33.8)で、前週比104%とほぼ横ばいであった。なお、前週に比べ増加した主な疾患は咽頭結膜熱とヘルパンギーナで、減少した主な疾患は水痘と手足口病である。
インフルエンザ・小児科定点からの報告
【ヘルパンギーナ】
報告数は259人(7.2)で、前週比149%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(4.4)の約1.6倍である。延岡(23.8)、日向(16.3)、日南(8.7)保健所からの報告が多く、年齢別は1〜2歳が全体の約6割を占めた。
【手足口病】
報告数は417人(11.6)で、前週比84%と減少したが、例年同時期の定点当たり平均値*(5.5)の約2.1倍である。小林(19.3)、延岡(16.3)、日南(14.3)保健所からの報告が多く、年齢別は1〜2歳が全体の約6割を占めた。
*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値

基幹定点からの報告
保健所別 流行警報・注意報レベル基準値超過疾患
病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成29年8月1日までに検出)
細菌

○50代前半の女性の血液から、C. perfringens A型菌が検出された。C. perfringensは、α、β、ε、ιの各毒素の産生性によりA〜E型に分類される。A型菌は、土壌やヒトの腸管内にも常在しているが、エンテロトキシンを産生する場合は食中毒の原因となるため発生動向には注意が必要である。最新の知見では、カナマイシン低耐性株やレシチナーゼ反応が弱く乳糖遅分解性を示す株、新型のエンテロトキシンを産生する株などの報告もあり、原因菌を見逃さないよう検出には慎重になる必要がある。
ウイルス

○3名の乳幼児から、コクサッキーウイルスA10型(CA10)が分離された。全国のエンテロウイルス検出状況をみると、ヘルパンギーナ患者からはCA2に次いでCA10が多く検出されているのに対し、手足口病患者からはCA6が全体の4分の3を占め、次いでエンテロウイルス71型(EV71)、CA16、CA10となっている。当所においても、手足口病患者からの検体数が増加しているため、今後のエンテロウイルス検出動向に注意していく必要がある。
○呼吸器症状のある乳児2名から、アデノウイルス1型が分離された。
全国2017年第29週の発生動向
全数報告の感染症(全国第29週)
定点把握の対象となる5類感染症
定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比94%と減少した。なお、前週と比較して増加した主な疾患はRSウイルス感染症と手足口病で、減少した主な疾患はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎と感染性胃腸炎である。
手足口病の報告数は28,229人(8.9)で前週比108%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(4.0)の約2.2倍である。福井県(21.6)、大分県(17.1)、三重県(16.8)からの報告が多く、年齢別では1〜3歳が全体の約7割を占めた。
RSウイルス感染症の報告数は2,239人(0.71)で前週比125%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(0.17)の約4.2倍である。沖縄県(2.9)、福島県(1.8)、北海道(1.7)からの報告が多く、年齢別では6ヶ月〜1歳が全体の約6割を占めた。
* 過去5 年間の当該週、前週、後週(計15 週)の平均値
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