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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2017年第32号

第19巻32号[宮崎県第32週(8/7〜8/13)全国第31週(7/31〜8/6)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第32週の発生動向

全数報告の感染症(32週までに新たに届出のあったもの)
  • 1類感染症:報告なし。
  • 2類感染症:結核5例。
  • 3類感染症:報告なし。
  • 4類感染症:報告なし。
  • 5類感染症:報告なし。

全数把握対象疾患累積報告数(2017年第1週〜32週)

(   )内は今週届出分、再掲

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関からの報告総数は902人(定点当たり30.2)で、前週比103%とほぼ横ばいであった。なお、前週に比べ増加した主な疾患はRSウイルス感染症とヘルパンギーナで、減少した主な疾患は感染性胃腸炎と手足口病である。

インフルエンザ・小児科定点からの報告

【ヘルパンギーナ】
報告数は237人(7.4)で、前週比134%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(3.3)の約2.2倍である。中央(30.0)、延岡(23.8)、日向(15.0)保健所からの報告が多く、年齢別は3歳以下が全体の約8割を占めた。

【手足口病】
報告数は179人(5.6)で、前週比66%と減少したが、例年同時期の定点当たり平均値*(5.6)と同率である。延岡(13.3)、日向(7.7)、小林(6.0)保健所からの報告が多く、年齢別は1〜2歳が全体の約6割を占めた。

【RSウイルス感染症】
報告数は70人(2.2)で、前週比232%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(0.78)の約2.8倍である。宮崎市(3.4)、延岡(3.3)、都城(2.3)保健所からの報告が多く、年齢別は1歳が全体の約半数を占めた。

*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値

基幹定点からの報告

○マイコプラズマ肺炎:延岡保健所から1例報告があり、0〜4歳であった。

保健所別 流行警報・注意報レベル基準値超過疾患

病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成29年8月14日までに検出)

細菌

5名の患者から腸管病原性大腸菌(EPEC)が分離された。EPECの判定基準は病原因子のST/LT/VTを持たないeae(インチミン遺伝子)陽性の大腸菌で、遺伝子検査を実施できない場合は見逃される可能性が高い下痢原性大腸菌である。また、1名の患者からEscherichia albertiiが分離された。E. albertiieaeを保有(まれにstx2fも保有)する大腸菌とは異なる菌種で、生化学性状も非定型的な大腸菌と似ている。なお、厚生労働省はE. albertiiによる集団感染事例が増えていることを受け、平成28年11月9日付で(1)eae陽性・非運動性・乳糖非発酵・硫化水素非産生の菌株、(2)stx2f陽性の菌株、(3)Shigella boydii血清型13と同定された菌株、(4)Hafnia alveiと同定された菌株についてはPCR法によるE. albertiiの探索を行い、分離株の分与や疫学調査、情報提供などを求めている。

ウイルス

○手足口病と診断された6名の乳幼児のうち5名からコクサッキーウイルスA6型が、1名からコクサッキーウイルスA10型が分離・検出された。手足口病は飛沫感染によって伝播することが多いが、便中に排泄されたウイルスの経口感染もありうる。手足口病発症後、唾液へのウイルス排泄は約1週間とされているが、便へのウイルス排泄は回復後も2〜4週間続くとされている。そのため、回復した後もおむつの処理や排泄後の手洗いは念入りに行う必要がある。

○不明熱と診断された幼児1名からパラインフルエンザウイルス3型(PIV3)が検出された。PIVは4つの血清型があるが、そのうちPIV3は感染力が強く、下気道炎を起こしやすいとされているため注意が必要である。

全国2017年第31週の発生動向

全数報告の感染症(全国第31週)

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比98%とほぼ横ばいであった。なお、前週と比較して増加した主な疾患はRSウイルス感染症で、減少した主な疾患はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎とヘルパンギーナである。

RSウイルス感染症の報告数は4,934人(1.6)で前週比149%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(0.26)の6.0倍である。福島県(4.1)、愛媛県、鳥取県(各3.2)からの報告が多く、年齢別では6ヶ月〜1歳が全体の約6割を占めた。

手足口病の報告数は29,972人(9.5)で前週比97%とほぼ横ばいで、例年同時期の定点当たり平均値*(4.2)の約2.3倍である。福井県(23.3)、新潟県(21.2)、石川県(18.2)からの報告が多く、年齢別では1〜2歳が全体の約6割を占めた。

* 過去5 年間の当該週、前週、後週(計15 週)の平均値

※今回記載の宮崎県第32週の報告数及び定点当たりの報告数は、お盆期間の影響により暫定値となります。次回確定値へ修正いたしますので、今回と値が異なる場合がございますが、御了承ください。

月報告対象疾患の発生動向<2017年7月>

性感染症

【宮崎県】 定点医療機関総数:13
定点医療機関からの報告総数は37人(2.9)で、前月比93%と減少した。また、昨年7月(2.2)の128%である。

《疾患別》

  • 性器クラミジア感染症
    報告数25人(1.9)で、前月と同率、昨年7月の約1.3倍である。20歳代が全体の約4割を占めた。(男性13人・女性12人)
  • 性器ヘルペスウイルス感染症
    報告数3人(0.23)で、前月の0.6倍、昨年7月と同率である。(女性3人)
  • 尖圭コンジローマ
    報告数5人(0.38)で、前月の5.0倍、昨年7月の約1.7倍である。(男性2人、女性3人)
  • 淋菌感染症
    報告数4人(0.31)で、前月の約0.4倍、昨年7月と同率である。(男性4人)

【全国】定点医療機関総数:985
定点医療機関からの報告総数は4,110人(4.2)で、前月比99%と横ばいであった。疾患別報告数は、性器クラミジア感染症2,153人(2.2)で前月比99%、性器ヘルペスウイルス感染症772人(0.78)で前月比91%、尖圭コンジローマ481人(0.49)で前月比100%、淋菌感染症704人(0.71)で前月比108%である。

薬剤耐性菌

【宮崎県】 定点医療機関総数:7
定点医療機関からの報告総数は21人(3.0)で前月比100%と横ばいであった。また昨年7月(2.7)の約1.1倍である。

《疾患別》

  • メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
    報告数20人(2.9)で、前月と同率、昨年7月の約1.1倍である。70歳以上が全体の約6割を占めた。
  • ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
    報告数1人(0.14)で、前月と同率である。年齢は70歳以上である。(昨年7月報告なし。)
  • 薬剤耐性緑膿菌感染症
    報告なし。

【全国】 定点医療機関総数:472
定点医療機関からの報告総数は1,504人(3.2)で、前月比97%と横ばいであった。疾患別報告数は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症1,354人(2.9)で前月比98%、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症137人(0.29)で前月比88%、薬剤耐性緑膿菌感染症13人(0.03)で前月比100%である。

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