
宮崎県感染症発生動向調査2017年第34号
第19巻34号[宮崎県第34週(8/21〜8/27)全国第33週(8/14〜8/20)]
宮崎県感染症週報
宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所
宮崎県第34週の発生動向
全数報告の感染症(34週までに新たに届出のあったもの)
- 1類感染症:報告なし。
- 2類感染症:結核3例。
- 3類感染症:腸管出血性大腸菌感染症1例。
- 4類感染症:レジオネラ症1例。
- 5類感染症:報告なし。

全数把握対象疾患累積報告数(2017年第1週〜34週)

( )内は今週届出分、再掲
定点把握の対象となる5類感染症
定点医療機関からの報告総数は750人(定点当たり23.5)で、前週比107%と増加した。なお、前週に比べ増加した主な疾患はRSウイルス感染症と感染性胃腸炎で、減少した主な疾患は手足口病と流行性耳下腺炎である。
インフルエンザ・小児科定点からの報告
【ヘルパンギーナ】
報告数は142人(3.9)で、前週比115%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(2.0)の約1.9倍である。延岡(11.5)、中央(8.0)、日向(6.8)保健所からの報告が多く、年齢別は6ヶ月〜3歳が全体の約9割を占めた。
【手足口病】
報告数は116人(3.2)で、前週比92%と減少し、例年同時期の定点当たり平均値*(3.9)の約0.8倍である。日向(7.3)、延岡(6.0)、中央(4.0)保健所からの報告が多く、年齢別は6ヶ月〜2歳が全体の約8割を占めた。
【RSウイルス感染症】
報告数は89人(2.5)で、前週比129%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(1.7)の約1.4倍である。日南(4.0)、宮崎市(3.7)、延岡(3.0)保健所からの報告が多く、年齢別は6ヶ月〜1歳が全体の約8割を占めた。
*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値


基幹定点からの報告
保健所別 流行警報・注意報レベル基準値超過疾患
病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成29年8月28日までに検出)
細菌

○20代前半の女性からNeisseria meningitidis(髄膜炎菌)が分離された。髄膜炎菌は、健康なヒトの鼻咽頭からも検出されることはあるが、5類感染症の侵襲性髄膜炎菌感染症として血液や髄液などの無菌的な部位からの検出報告が多い。当所ではこれまで、尿や膣分泌物からも髄膜炎菌が分離されている。グラム染色だけでは、同じナイセリア属菌である淋菌との鑑別は難しいため、尿や膣分泌物などにグラム陰性の双球菌が観察された場合には注意が必要である。
ウイルス

○上気道炎、不整脈の乳児の咽頭ぬぐい液と便からコクサッキーウイルスB1型(CB1)が分離された。コクサッキーウイルスB群は1型〜6型の6種類に分類される。幼児の無菌性髄膜炎、夏風邪、熱性疾患、気道性疾患の起因ウイルスとして知られているが、心筋炎の原因となることもある。ウイルスによる心筋炎は発症するまでに特徴的な症状がないため、注意が必要である。また、全国のコクサッキーウイルスB群の分離・検出状況を型別にみると、近年、CB5の占める割合が多くなっているが、今年はCB2が多い傾向となっているため、今後の動向にも注目する必要がある。
○胃腸炎症状のある幼児2名からノロウイルスGUが検出された。
全国2017年第33週の発生動向
全数報告の感染症(全国第33週)
定点把握の対象となる5類感染症
定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比88%と減少した。なお、前週と比較して増加した主な疾患はRSウイルス感染症で、減少した主な疾患は手足口病とヘルパンギーナである。
RSウイルス感染症の報告数は5,389人(1.8)で前週比106%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(0.34)の約5.2倍である。新潟県、福島県(各3.8)、愛媛県(3.3)からの報告が多く、年齢別では6ヶ月〜1歳が全体の約6割を占めた。
* 過去5 年間の当該週、前週、後週(計15 週)の平均値
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