
宮崎県感染症発生動向調査2017年第44号
第19巻44号[宮崎県第44週(10/30〜11/5)全国第43週(10/23〜10/29)]
宮崎県感染症週報
宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所
宮崎県第44週の発生動向
トピックス
インフルエンザ(定点把握対象):第44週(10/30〜11/5)の定点当たりの報告数は1.1と、流行期の目安となる1.0を上回りました。昨シーズンと比較して4週間早い流行期入りです。詳細後述。
全数報告の感染症(44週までに新たに届出のあったもの)
- 1類感染症:報告なし。
- 2類感染症:結核4例。
- 3類感染症:報告なし。
- 4類感染症:報告なし。
- 5類感染症:報告なし。

全数把握対象疾患累積報告数(2017年第1週〜44週)

( )内は今週届出分、再掲
定点把握の対象となる5類感染症
定点医療機関からの報告総数は612人(定点当たり18.9)で、前週比103%とほぼ横ばいであった。なお、前週に比べ増加した主な疾患はインフルエンザと咽頭結膜熱で、減少した主な疾患は感染性胃腸炎と手足口病である。
インフルエンザ・小児科定点からの報告
【インフルエンザ】
報告数は65人(1.1)で、前週比250%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(0.01)の約110倍である。高鍋、日向(4.5)保健所からの報告が多く、年齢別は10〜14歳が全体の40%を占めた。

【感染性胃腸炎】
報告数は268人(7.4)で、前週比88%と減少し、例年同時期の定点当たり平均値*(10.6)の約0.7倍である。日向(20.3)、小林(13.0)、日南(8.7)保健所からの報告が多く、年齢別は1〜3歳が全体の約半数を占めた。

【咽頭結膜熱】
報告数は62人(1.7)で、前週比129%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(0.95)の約1.8倍である。小林(8.3)、都城(4.7)保健所からの報告が多く、年齢別は1〜3歳が全体の約6割を占めた。
*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値
基幹定点からの報告
保健所別 流行警報・注意報レベル基準値超過疾患
病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成29年11月6日までに検出)
細菌

○6ヶ月ぶりにBordetella pertussis (百日咳菌)が遺伝子検査により検出された。但し、菌の分離はできなかった。菌の分離には検体の採取方法が重要で、抗菌薬を使用する前に、咽頭ぬぐい液もしくは後鼻腔分泌物(乳幼児の場合)を脂肪酸の含まないスワブ(レーヨン製など)で採取することが望ましい。抗菌薬を使用した後は、遺伝子検査を用いても検出できない場合があり、百日咳が疑われた場合には迅速に検査を行うことが発生動向の正確な把握につながると考えられる。百日咳の検出に関しては、平成28年11月より関連学会が定めるガイドラインの百日咳診断基準における臨床診断例定義を満たす患者に対して、LAMP法を用いた遺伝子検査が保険適用となり、大手検査会社による受託検査も始まっている。
ウイルス

○急性脳症疑いの幼児1名からコクサッキーウイルスA2型(CV-A2)が分離された。エンテロウイルスが疑われる中枢神経合併症症例の場合には検体として髄液が用いられることが多い。しかし、CV-A2やEV-A71などのA群エンテロウイルスは、無菌性髄膜炎の主要な原因となるエコーウイルスなどのB群エンテロウイルスと比較すると、髄液からの検出率が低い。そのため、咽頭ぬぐい液や便等も合わせて検査することが病原体検索には重要となる(IASR:Vol.38 2017)。
○4名○4名の乳幼児からコクサッキーウイルスA6型が分離・検出された。
全国2017年第43週の発生動向
全数報告の感染症(全国第43週)
定点把握の対象となる5類感染症
定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比107%と増加した。なお、前週と比較して増加した主な疾患はインフルエンザと手足口病で、減少した主な疾患は水痘と流行性耳下腺炎である。
インフルエンザの報告数は1,772人(0.36)で前週比150%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(0.16)の約2.3倍である。沖縄県(4.8)、福井県(2.5)、福岡県(0.91)からの報告が多く、年齢別では4〜8歳が全体の約4割を占めた。
手足口病の報告数は6,522人(2.1)で前週比116%と増加し、例年同時期の定点当たり平均値*(0.85)の約2.4倍である。佐賀県(4.5)、愛媛県(4.2)、茨城県、神奈川県(3.7)からの報告が多く、年齢別では1〜2歳が全体の約半数を占めた。
* 過去5 年間の当該週、前週、後週(計15 週)の平均値
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