
宮崎県感染症発生動向調査2019年第13号
第21巻第14号[宮崎県第14週(4/1〜4/7)全国第13週(3/25〜3/31)]
宮崎県感染症週報
宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所
宮崎県第14週の発生動向
トピックス
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重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
(全数報告の感染症)の報告が延岡保健所管内からあった。患者は50 歳代男性で、発症は3 月下旬である。ダニの刺し口は確認出来なかった。
県内での報告は今年2 例目で、累計63 例(平成25 年3 月届出開始以降)となった。
全数報告の感染症(14週までに新たに届出のあったもの)
- 1 類感染症:報告なし。
- 2 類感染症:結核3 例。
- 3 類感染症:報告なし。
- 4 類感染症:重症熱性血小板減少症候群1 例、レジオネラ症1 例。
- 5 類感染症:劇症型溶血性レンサ球菌感染症2 例、百日咳6 例。

全数把握対象疾患累積報告数(2019年第1週〜14週)

( )内は今週届出分、再掲
定点把握の対象となる5類感染症
定点医療機関からの報告総数は660 人(定点当たり18.9)で、前週比102%とほぼ横ばいであった。なお、前週に比べ増加した疾患はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎と水痘で、減少した主な疾患はインフルエンザと伝染性紅斑である
インフルエンザ・小児科定点からの報告
【A群溶血性レンサ球菌咽頭炎】
報告数は115 人(3.3)で、前週比138%と増加しており、例年同時期の定点当たり平均値*(2.1)の約1.6 倍である。宮崎市(6.0)、高鍋(5.3)、延岡(4.3)保健所からの報告が多く、年齢群別では4〜6 歳が全体の約4 割を占めている。
【手足口病】
報告数は64 人(1.8)で、前週比98%とほぼ横ばいであるが、例年同時期の定点当たり平均値*(1.4)の約1.3 倍である。都城(6.5)保健所からの報告が多く、年齢群別では1 歳が全体の約6割を占めている。

*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値
基幹定点からの報告
感染性胃腸炎(ロタウイルス):
報告数は1 例で宮崎市保健所からの報告であった。0〜4 歳で、病原体の群別は不明である。
保健所別 流行警報・注意報レベル基準値超過疾患
病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成31年4月8日までに検出)
細菌

30代前半の男性からSalmonella enterica subsp.houtenaeが分離された。Salmonellaは、哺乳類・爬虫類・両棲類・川及び食品に広く分布し、S. entericaとS.bongoriの2菌種に分けられる。S. entericaはさらに、enterica、salamae、arizonae、diarizonae、houtenae、indicaの6亜種が存在する。このうち、感染症や食中毒として重要となるのはSalmonella enterica subsp.entericaであり、毎年多数の血清型が報告されている。今回の疫学的背景は不明であるが、Salmonella enterica subsp.houtenaeは爬虫類からの分離報告が多いことから、血清型不明の場合には、疫学情報等も考慮し、必要に応じて生化学試験等を追加し菌種を同定していく必要がある。
ウイルス

咽頭炎・発熱症状のある小児よりアデノウイルス3 型が分離された。アデノウイルスは60 以上の型があり、胃腸炎や出血性膀胱炎、流行性角結膜炎など、型によって症状が異なる。3 型は主に咽頭結膜熱(プール熱)などの急性呼吸器疾患に関連する。
インフルエンザと診断された8 名からインフルエンザウイルスが分離された。本県において、今シーズンはAH3 が21 件、AH1pdm が20 件、B 型(ビクトリア系統)が2 件、分離・検出されている。インフルエンザ定点当たりの報告数は減少傾向にあるが、引き続き注意が必要である。
全国2019年第13週の発生動向
全数報告の感染症(全国第13週)
定点把握の対象となる5類感染症
定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比90%と減少した。なお、前週と比較して増加した主な疾患は手足口病で、減少した主な疾患はインフルエンザとA群溶血性レンサ球菌咽頭炎である。
手足口病の報告数は609 人(0.19)で前週比127%と増加しており、例年同時期の定点当たり平均値*(0.17)の約1.1 倍である。鳥取県(2.4)、宮崎県(1.9)、熊本県(0.84)からの報告が多く、年齢群別では1 歳が全体の約4 割を占めている。
伝染性紅斑の報告数は1,594 人(0.50)で前週比89%と減少したが、例年同時期の定点当たり平均値*(0.20)の2.5 倍である。山形県(1.4)、石川県(1.3)、福岡県(1.2)からの報告が多く、年齢群別では4〜6 歳が全体の約半数を占めている。
* 過去5年間の当該週、前週、後週(計15 週)の平均値
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