4−7 北川層群の地質構造

 延岡市北東方の北川層群の分布域では,南縁部に千枚岩優勢層,そしてその北側に砂岩泥岩優勢層が広く分布する.両者の境界は,その周辺で確認される層理面の傾斜よりはかなり低角であり(坂井・勘米良,1981;坂井,1989),衝上断層である可能性が示唆される.坂井(1992a)によると,北川層群は,北傾斜の衝上断層によって地層が何回か繰り返すことが指摘されている.

 砂岩泥岩互層中の砂岩は,頻繁に級化層理を示し,上下判定ができる場合が多い.延岡市の熊野江北西方では,地層は20°〜40°Nと低角から中角に傾斜しているが,広域に逆転していることが明らかになっている(奥村ほか,1985;杉山,1985).この逆転した部分よりも南側では,30°〜50°Nと中角度で正常層が分布している.正常な地層の部分は,逆転した部分より傾斜が急なため,背斜状の形態をしているが,実際は向斜であり,横倒しになった背斜状向斜(antiformal syncline)であることが明らかにされている(奥村ほか,1985;杉山,1985).この背斜状向斜の褶曲軸は,北北西に21°〜30°プランジしており,軸面は24°〜39°北に傾斜している.また,翼間角は,西から東に向かって,開いていく傾向が認められている(奥村ほか,1985;杉山,1985)

 北川層群の砂岩泥岩互層中には,露頭スケールの褶曲も頻繁に認められ,褶曲軸面は一般に北傾斜となっている.千枚岩中の劈開は,一般的に層理面とほぼ平行であるが,砂岩泥岩互層中では,斜交関係がはっきりと認められる場合がある(第19図 74kb).


第19図 北川層群の砂岩泥岩互層中の劈開
拡大図(7
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