報道発表日:2025年9月8日更新日:2025年9月8日
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令和7年2月27日に国(九州防衛局及び航空自衛隊新田原基地)から県に対し、航空自衛隊新田原基地内に設置されている井戸において、PFAS(有機フッ素化合物)の一種であるPFOS及びPFOAが暫定目標値50ng/L(注1)を超過して検出された旨の情報提供がありました。
これを受け、県では、基地周辺の水質検査を実施しており、これまでに35地点中、4地点で指針値50ng/L(注2)超過が判明し、超過地点は広範囲に広がっていないことを確認したところです。
今回、航空自衛隊新田原基地において基地内の暫定目標値及び指針値超過が判明した3地点で同基地による継続調査が行われ、また、県において基地周辺で指針値超過が判明した4地点の継続調査を実施しました。この結果、基地内では3地点全てで、基地周辺では4地点のうち2地点で、50ng/L超過を確認しました。
さらに、県において基地周辺の指針値超過エリアの特定を目的として指針値超過地点の近辺(概ね半径200m範囲)調査を実施したところ、9地点のうち1地点で指針値超過を確認しました。
(注1)暫定目標値…水道水の水質管理目標設定項目(水道水質管理上留意すべき項目として、将来にわたり水道水の安全性の確保等に万全を期する見地から、水道事業者等において水質基準に係る検査に準じた検査等の実施に努めるべきもの)としてPFOS及びPFOA合算で50ng/L(体重50kgの人が、水を一生涯にわたって毎日2L飲用したとしても、この濃度以下であれば人の健康に悪影響が生じないと考えられる値)以下
(注2)指針値…河川や地下水等の環境水の要監視項目(人の健康の保護に関連する物質ではあるが、直ちに環境基準とはせず引き続き知見の集積に努めるべきもの)としてPFOS及びPFOA合算で50ng/L(体重50kgの人が、水を一生涯にわたって毎日2L飲用したとしても、この濃度以下であれば人の健康に悪影響が生じないと考えられる値)以下(令和7年6月30日に環境省通知により「指針値(暫定)」から「指針値」に改正)
これまでに暫定目標値及び指針値超過が確認された基地内の3地点(いずれも井戸)について、8月7日に水質検査が実施されました。
この結果、3地点のうち、全ての地点で50ng/Lを超過していたとの報告を受けました。
調査結果は下表のとおりです。
今回測定結果 PFOS及びPFOA[ng/L] |
前回測定結果(採水日) PFOS及びPFOA[ng/L] |
---|---|
160 | 210(令和7年1月14日) |
840 | 560(令和7年1月14日) |
220 | 140(令和7年3月10日) |
これまでの4回の調査において、合計35地点で水質検査を実施し、4地点(いずれも井戸)で指針値超過が確認されました。
この4地点について、季節や時間経過による濃度の変動を確認するために、再度、8月4日に水質検査を実施しました。
この結果、いずれの地点も濃度は低下していましたが、4地点のうち2地点で指針値を超過していました。
検査結果は下表のとおりです。
基地からの位置 |
今回測定結果 PFOS及びPFOA[ng/L] |
前回測定結果(採水日) PFOS及びPFOA[ng/L] |
---|---|---|
北西 | 21 | 69(令和7年4月7日) |
北西 | 48 | 56(令和7年5月20日) |
南東 | 58 | 110(令和7年4月7日) |
東 | 440 | 890(令和7年3月5日) |
指針値超過エリアを特定することを目的として、上記の指針値超過を確認している4地点の近辺(概ね半径200m範囲)で水質検査を実施しました。
指針値超過地点は、基地から北西、南東、東の3箇所に分散しており(基地の南西部には指針値超過地点は確認されていません)、それぞれ3地点ずつ、合計9地点で水質検査を実施しました。
この結果、9地点のうち1地点で指針値超過を確認しました。
検査結果は下表のとおりです。
位置 | 地点 | PFOS及びPFOA(ng/L) | 用途 | |
---|---|---|---|---|
北西 | 地下水(井戸) | 1 |
0.3未満 |
雑用 |
2 | 0.4 | 雑用 | ||
3 | 1.3 | 雑用 | ||
南東 | 水路 | 4 | 24 | ー |
地下水(井戸) |
5 | 17 | 雑用 | |
6 | 0.3未満 | 雑用 | ||
東 | 水路 | 7 | 54 | ー |
町管理水源地 | 8 | 33 | 飲用 | |
地下水(井戸) |
9 | 46 | 飲用 |
今回の調査により、指針値超過範囲がおおむね特定されました。
これまでの調査結果から、基地の北西部及び南東部では比較的濃度の低い分布が、基地の東部では比較的濃度が高い分布が確認されました。
有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称して「PFAS」と呼び、1万種類以上の物質があるとされています。
PFASの中には撥水・撥油性、熱・化学的安定性等の物性を示すものがあり、その中でも、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、半導体用反射防止剤・レジスト、金属メッキ処理剤、フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤、泡消火剤などの幅広い用途で使用されてきました。
PFOS及びPFOAは、発がん性など人への健康被害が懸念されています。
国では、最新の科学的知見に基づき、専門家による検討を進めています。
POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)により、PFOSは2009年、PFOAは2019年に廃絶等の対象とすることが決められています。
これを受けて、国内では化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)に基づき、PFOSは2010年、PFOAは2021年に製造・輸入等が原則禁止となっています。