県広報みやざき
【特集】
待ったなし「宮崎県の医療」〜医療の現状とわたしたちができること〜

待ったなし「宮崎県の医療」
トップページ県内の自治体病院などの医師が
不足しています。


時間外(休日・夜間)受診の現状 
今、休日や夜間の患者を受け入れる「救急医療」の現場では、医師や看護師たちの過酷な勤務が続いています。  
平日や日中は「仕事を休めないから」、「用事があるから」といった安易な理由で時間外受診をするいわゆる「コンビニ受診」の増加が大きな要因のひとつとなっています。
安易な「時間外受診」を控えましょう
医療機関は、基本的に診療時間内の外来患者を診るために必要な人員を配置しています。
  一方で、時間外の診療体制はあくまで緊急事態に備えた少人数の体制です。
  加えて、高度救急医療を担う施設では、その限られた体制のなかで、重症患者を救うためにより多くのスタッフによる医療チームを組まなければ対応ができません。
  そこに緊急性の無い患者が次々と訪れると、一刻を争う重症の救急患者の対応ができなくなります。また、医師の負担がますます大きく、過度なものとなり、医師の離職という悪循環につながる恐れもあります。
  安易な時間外受診は、地域の医療体制の崩壊につながりかねない深刻な問題です。
病気の程度により病院を選びましょう
 休日や夜間の時間外受診は、病気の程度に応じて医療機関の担う役割が分かれています。
  「宮崎県の救急医療体制」(3ページ右上参照)のとおり、症状が軽い場合は、在宅当番医などの初期救急医療施設で診てもらいましょう。また、お子さんの症状で、急を要するか判断に迷ったら、受診の前に「小児救急医療電話相談」(3ページ左下参照)を活用してみてください。
  県立病院などの救急外来は、入院が必要な患者や生命に危険のある患者を受け入れる2次または3次の救急医療施設となっています。
かかりつけ医を持ちましょう
 かかりつけ医とは、皆さんが普段から受診することで、信頼関係を持ち、さらには、日ごろからの健康管理や、救急時の診療を行う「地域の医師」のことです。
  かかりつけ医に自分の病歴や体質を知ってもらえれば、救急時にも安心して診療してもらうことができるとともに、日ごろから健康管理をしてもらうことによって、病気の予防、早期発見、早期治療につながります。
  また、詳しい検査や高度な治療・入院が必要と診断された場合には、適切な医療機関や専門医を紹介してくれます。
県民総力戦で地域医療を支えていきましょう
 地域医療は、県民みんなで支え合うことにより、成り立っています。医療を提供する医師や看護師などは、 私たち県民全体の共有の財産であり、一人ひとりが適切に医療機関を利用することが地域医療の存続を左右する大きな鍵となっています。
医療機関、行政、県民の皆さんが協力して、県民総力戦で地域の医療体制を支えていきましょう。

■医療に関するお問い合わせ

医療薬務課

0985(26)7055

■県立病院に関するお問い合わせ

病院局 経営管理課

0985(26)7062

みやざき医療ナビ

日ごろの健康管理や、宮崎県内の夜間救患センター、最寄りの在宅当番医の情報などが分かりやすく検索できます。

http://www.e-navi.pref.miyazaki.lg.jp/qqport/

小児救急医療電話相談

小児科医の支援体制のもとに、看護師が相談に応じる電話相談です。夜間の子どもの急病時、病院へ行った方が良いかどうか判断に迷った時に ご利用ください。

プッシュ回線 ♯8000

携帯・ダイアル回線 
0985−35−8855

土・日・祝日 19:00〜23:00

 この電話相談にかかってきた電話のうち、実際に病院に行く必要があったのは約20%だったというデータもあります。
  救急医療機関を受診する前に、まずは電話してみてください。

 

県立延岡病院
楠元 志都生 院長


地域医療を守るために、
地域完結型の医療の構築が不可欠です。

県北の医療の課題について〜地域の医療機関の連携〜
 県北地域は、地理的条件などを考えると、高度医療や救急医療を担う当院を中核とする地域完結型の医療の構築が不可欠です。
  しかし、昨今の医師不足などの医療を取り巻く諸問題は、県北地域にも無縁ではなく、当院や他の医療機関では大変厳しい状況となっています。
  今後、限られた医師や看護師などで県北の医療を守るためには、各医療機関が役割を分担し、かかりつけ医制度や救急医療制度など、効率的な医療環境を地域で創り上げることが重要と考えています。
県立延岡病院の現状について〜コンビニ受診・過酷な医師の勤務〜
 当院の救命救急センターは、日向・入郷地区を含めた県北地域唯一の重症・重篤患者の対応を行う2次・3次救急施設(いわゆる最後の砦)であり、年間約3千台の救急車を含め約1万人の救急患者を24時間体制で受け入れています。
  センターでは、夜間・休日は医師2名の当直体制としていますが、県北一円から一刻を争う重症患者らが運ばれることから、連日、多くの医師が応援に駆けつけ治療にあたっています。
このような中で、あえて時間外に直接当院に来られる軽症患者(いわゆるコンビニ受診患者)が増加してきており、医師の負担増に拍車が掛かっています。
地域医療を守るために〜皆さまのご理解・ご協力〜
 キャンペーンにより、コンビニ受診は減少傾向にあるようですが、深夜帯は他に医療機関がないこともあり、以前と変わらない状況です。
住民の皆さまには、引き続き、救急受診についてご協力いただきますとともに、お近くの「かかりつけ医」で日頃の健康管理や診療を受けられることが大切と考えます。
  当院の医師は「地域医療を守る」という強い使命感で、激務に耐え診療を続けています。より一層の皆さまのご理解、ご協力をよろしくお願いします。