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掲載開始日:2026年3月5日更新日:2026年3月5日

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あたごニュース『「育てる」から「振る舞う」まで~島と鯛を愛するプロの挑戦~』

島野浦島(延岡市島浦町)は、宮崎県内最大の有人離島で、古くから水産業・水産加工業で栄える町です。今回は、島野浦にあるカフェ「Blue Reef」を紹介します。

今回取材したのは・・・

今回取材に伺ったのは、島野浦で鯛を中心とした養殖業を営む「有限会社木下水産」のみなさんです。

木下水産が手掛ける鯛は、豊かな海が育んだ逸品として「しまうら真鯛」の名で広く親しまれています。そんな養殖のプロが新たに挑戦したのが、島内唯一の飲食店「Blue Reef(ブルーリーフ)」。島の豊かさを映し出す一皿に至るまでの真摯な試行錯誤を辿ります。

木下水産のみなさん
Blue Reefの従業員のみなさん

島野浦へ!!

島へのアクセスは、延岡市浦城港から定期船に揺られて10~20分の船旅です。Blue Reefは、高速艇の発着場からすぐの好立地にあり、島の玄関口のような存在です。

外観

お店の外観

インタビューの前に

取材を始める前に、スタッフおすすめ&人気No.1の「しまうら真鯛御膳」をいただきました!

ご覧のとおりとても豪華!!

この御膳をお目当てに、オープンから約半年で9回も通っているリピーター(しかも島外の人!)がいるほどなんだとか。

鯛は部位によって適した調理法や美味しい食べ方があるそうですが、この御膳には、しまうら真鯛を最も美味しく味わうための知恵と技が、余すところなく凝縮されているとのことです!

真鯛御膳

しまうら真鯛御膳

実食レポート

カマの塩焼き:ほどよい塩加減で、レモンを搾ることで爽やかに味が変化します。骨の周りの身まで綺麗に食べたくなる逸品です!

フライ:細やかな衣のサクッとした食感のあと、驚くほどふわふわな身が解けます。特製のニラだれも絶品です!

お刺身・漬け:生のお刺身は綺麗なピンク色!弾力のあるプリプリとした食感が楽しめます。一方、ひと手間加えた炙りのお刺身はコリコリした歯ごたえと香ばしさが特徴です。同じ刺身でも、驚くほど表情が変わります。漬けは島野浦で古くから愛される漁師飯だそう。しっかりとした歯ごたえの身に甘めの醤油ダレが絡んでおり、ご飯が進みます!

筆者がいちばん衝撃を受けたのは、鯛の生ハム!(写真右上)

本当に鯛!?と疑うくらいしっとりとした食感はまさに生ハムそのもので、脳と舌が錯覚を起こすほど!オリーブオイルとブラックペッパーがかかっており、カルパッチョのような感覚で楽しめるので、野菜との相性も抜群です。これまでの鯛料理の概念を覆す驚きの一皿でした!

バリエーション豊富な鯛料理がたくさん!

そのほかにも、フライ定食や味噌煮定食など、鯛をふんだんに使ったメニューが勢揃いです。真鯛御膳に加えて、南蛮定食、二色丼、鯛塩ラーメンが人気とのことです。

フライ定食

鯛のフライ定食

味噌煮

鯛の味噌煮定食

食事をいただいて取材へ

しまうら真鯛の美味しさの秘密やBlue Reefオープンの背景に迫るべく、木下水産の木下拓磨取締役専務にお話を伺いました。

専務

木下拓磨取締役専務

しまうら真鯛の美味しさの秘密

  • 鯛料理、ものすごく美味しかったです!しまうら真鯛の特徴や、ほかの地域で獲れる鯛との違いを教えてください。

島野浦の漁場は潮の流れがとても速いところなので、魚が潮に逆らって泳ぐことで筋肉が発達します。そうすると、身が引き締まって余分な脂が落ちるので、弾力がある肉質や上品な脂を楽しむことができます。配合飼料だけで育てていますが、いろいろなメーカーのエサを食べ比べさせており、長年養殖業を営んできた独自のノウハウを活かして、成長を見ながら配合を変えるなどの工夫を行なっています。

また、養殖は早く育てるのが基本ですが、うちはゆっくり育てています。普通だと1年半で育てるところを2年かけて1キロにしたり。時間をかけて太らせることで筋肉や脂もゆっくり発達するので、養殖特有の水っぽさがなく、身もちがいいとよく言われます。

開店のきっかけ

  • 長年鯛の養殖に携わってきたなかで、Blue Reefをオープンしようと思ったきっかけを教えてください。

2024年に島で唯一の飲食店が閉店してしまったことが大きいですね。その当時観光を盛り上げようと思って活動していたタイミングだったこともあり、「今飲食店がなくなるとまずい」「ご飯を食べるところがないなんて・・・」とショックを受けました。

そこで、僕がもともと養殖業を営んでいたので、自分が育てた魚を料理として提供できるところを作りたいと思いました。地域の活性化のためにも島外ではなく、「やるなら島一択」と言う思いで動き始めましたね。

 

  • 周りの反応は?

母は最初から応援してくれましたが、離島という過酷な環境での経営の難しさから、社長である父から反対を受けました。しかし、「今やらないと一生できないだろう」という思いが強かったので、なんとか社長を説得して許可をもらいました。

お店のコンセプトについて

木下専務は大漁旗を飾るなど「漁師食堂」のようなコンセプトにしたかったそう。しかし、開店準備にあたっていちばん本気を出したのは、意外にも当初は反対していた社長だったそうです!店内はジャズが流れていますが、これも完全に社長の趣味なんだとか。

また、「Blue Reef」という屋号のとおり、お店のインテリアや食器はを基調としたものも取り入れているとのこと。

「おしゃれな感じが逆に島っぽくなくて、結果的によかったのでは?」と専務は話します。

内装

お店の内装

水槽

水槽(お魚さんたちがお出迎えしてくれます!)

島での役割について

  • オープンしてからの島の人たちの反応はどうですか?

観光客だけでなく、地元の人も結構来てくれています。島のおばあちゃんたちが敬老会や女子会に使ってくれるので、とても嬉しいです(笑)

島の人たちがふらっと立ち寄って、気軽に食べることができるようなメニュー開発にも力を入れていきたいと考えています。

 

  • 島外の人にBlue Reefを通じてどのように島の魅力を伝えていきたいですか?

このお店を始めた目的のひとつが、「島に来る理由の一つになること」です。島野浦には、山も海も、観光地になりそうなスポットはたくさんありますが、そこに人の手を加えたり、観光客の受入れを行なったりといった「観光地化」はまだ発展途中です。

Blue Reefをきっかけに、島に来た人たちが島を知って、誰かに伝えて、また新しい人が来て、と好循環が生まれると良いですね。

そのために、まずはおいしい食事を提供して島に来た人たちに満足して帰ってもらう。それが今のBlue Reefに出来ることかなと思います。

今後の目標

お客さんから「美味しかったです」「また来ます」と言ってもらえることに、飲食店ならではの喜び・醍醐味を感じているとのこと。実際に食べて感想をもらう機会が増えたことは、養殖のモチベーションアップにもつながっているそうです。

さらに、しまうら真鯛の強みはその味だけにとどまりません。環境や地域社会に配慮した持続可能な養殖の証である「ASC認証(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会)」という国際認証を取得しています。

『安心・安全で、海に優しい魚が選ばれる時代が、いつか必ず訪れる――』

そう確信し、世界基準という高いハードルに挑み続ける木下専務に、今後の目標をお聞きしました。

 

  • これから挑戦したい新メニューや今後の目標を教えてください!

現在牡蠣の養殖に挑戦しているので、将来的には牡蠣も提供できればいいなと考えています。「牡蠣飯とかいいなぁ」なんていろいろ想像しているので、お客さんに喜んでいただけるようにメニューをどんどんアップデートしていきたいです。

まずは「鯛」という魚のもつポテンシャルや、ASC認証をとれるほどの恵まれた環境、そして僕たちが育てた「しまうら真鯛」のおいしさを多くの人に感じてほしいです!

 

  • 島に興味をもっている人たちに一言お願いします!

島野浦は、島ならではのゆったりとした時間がいちばんの魅力です。船に乗って、海を見て、美味しい料理を食べて・・・。のんびりとした時間に癒やされてほしいと思います。何気なく思いついたときに、気軽にBlue Reefに来てください!

編集後記

延岡に赴任してから一度は行ってみたいと思っていた島野浦。念願叶って、あたごニュースの取材で訪れることができました。

取材に同行してくれた水産技師の同期はBlue Reefの常連らしく、「来る度にメニューが変わってる!」と言っていました(笑)

今回いただいた鯛料理はどれも絶品で、「今までこんなにも美味しい鯛を食べずに過ごしてきたのか・・・」とこれまでの約四半世紀の人生を後悔したところです。「鯛=おめでたい席でいただく魚」というイメージが強かったのですが、木下専務は「もっと親しみやすい魚になってほしい」と仰っていました。

今回の取材を通して、「お店のメニューを全制覇する」という目標ができたため、今度はプライベートでBlue Reefを訪れるつもりです!

小さな島での大きな挑戦を今後も陰ながら見守っていきたいと思います。

お問い合わせ

宮崎県東臼杵農林振興局
〒882-0872
宮崎県延岡市愛宕町2-15
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ファクス番号:0982-32-6139
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