第2回宮崎県市町村合併推進審議会会議概要
1.日時
平成17年12月22日(木曜)15時15分~17時35分
2.場所
ホテルプラザ宮崎別館2階「ロイヤル」
3.出席者
- (1)委員(11名)
浜野崇好会長、小林貞雄委員(会長代理)、甲斐カズ子委員、黒木正一委員、平奈緒美委員、津村重光委員、藤井八十夫委員、前田穰委員、山口弘哲委員、山﨑きよ子委員、和田真由美委員
- (2)宮崎県
村社地域生活部長、黒木地域生活部次長、橋口市町村合併支援室長、江上市町村課長、横山地域振興課長ほか
4.内容
- (1)地域生活部長あいさつ
- (2)議題
- 市町村の望ましい姿(第27次地方制度調査会答申)について(説明)
- 市町村の現況及び将来の見通しについて(説明)
- 自主的な市町村合併の推進の必要性等について(協議)
5.審議会の要旨
- 議題1.について、第27次地方制度調査会答申に記載されている「基礎自治体のあり方」等について、県から説明を行なった。
- 議題2.について、「市町村の現況と今後の見通し」について、県から説明を行なった。
- 議題3.においては、まず、上記の説明を踏まえた上で「市町村合併の必要性」等、について各委員からそれぞれの立場や経験をもとにした意見が出された。
その後「合併を考える際に考慮すべき点」や「合併する場合の組合せの考え方」、等について各委員から活発な意見が出された。
- 今回の審議会で各委員から出された意見及び欠席委員から後日提出される意見を、踏まえ県において「自主的な市町村の合併の推進」に関する構想の素案を作成し次回の審議会で示すこととなった。
次回の開催予定
- 日時:平成18年2月2日(木曜)午後1時15分から
- 場所:県自治会館大ホール
(主な発言内容等)
[市町村合併の必要性等について]
- 宮崎県は全国平均より5年ほど先行して高齢化が進んでいる。特に山間部は、生産年齢人口の割合が低く、金が払える程の所得をあげている人がどれだけいるか。今後、地方交付税が少なくなると、山間部の小さいところは、当然のことながら集まる税金よりも使う税金の方が多く立ち行かなくなっていく。
また、高齢化率が高いところほど福祉や医療の専門家が必要になるが、そういうところほど専門的なスタッフを雇うことができず、専門的なスタッフがいても専門の分野だけに集中できるような体制になく専門性を発揮できない状況にある。少子高齢化の方向性から考えると、今のような形での山間部の存続は不可能というのが実態だと思う。
- 九州の青年会議所の代表者の集まる会議で耳にするのは、合併することで、新しく入ってくる町の伝統やまちづくりに関して真剣に考えるようになったとか、小さい町や村のメンバーも中心都市を考えの根っこに置くことで広域的なまちづくりができるようになったということ。
また、少ない役場のスタッフでまちづくりや福祉、教育を考えるよりも、大所帯の役所で専門的なプロを作ったほうがまちづくりに活かせると思うので、まちづくりの一翼を担う青年会議所としては、市町村合併を推進すべきであると考えている。
- 高千穂鉄道の問題で、高千穂町の知人から隣接する町の住民の協力を得られないという話を聞いて、なぜ隣町の人も一緒になって考えるという事ができないのか不思議に思った。
文化について考えたときに、昔の文化を守り継続していくことはもちろん大事であるが、交流することで新しい文化を作っていくことも必要ではないか。
- 森林組合は、25組合が合併して8組合になった。森林組合が合併したところで合併していない市町村があることで仕事の面で一貫性が取れず困っているところがあり、できれば、森林組合の枠組みで合併してもらうとありがたいと思っている。
自分たちも最初は合併は嫌だったが、合併して力を合わせ、いろんなアイデアが生まれ、互いに協力し合うなど、今は合併して良かったと思っている。
- 市町村の現況や将来見通しの説明を聞き、本当に難しい時代に移っていくのだなということを感じた。まちに生きても村に生きても同じような人生を送ることができるようにするために、市町村合併は一つの大きな役割になるのではと思う。
- 今日は、雪が降りとても苦労をして出てきたが、宮崎市内は晴れていて何の支障もなかった。この天気を見て、合併問題と同じではと思った。恵まれた環境にいる人たちが、合併したとき人口が減ってしまった山奥の人たちの思いをどれだけ理解してくれるのかと思う。伝統文化を守るために中心地から隅々に向けて援助がいただけるのか、私たちの思いが伝わるのかそういう思いを持っている。
西米良村は、千人あたり34人の公務員を抱えているが、財政的にやって行けているのは、ラスパイレス指数を低く押さえているから。公務員が人口を支えているということを考えると複雑な思いがする。
- 合併で、市民が気にするのが特例が認められている議員の数をどうするかということがあるが、都城市と北諸4町の合併では、市民にある程度納得いただける定数に決めていったと思う。
- 合併は、国の財政の逼迫、少子化問題等に対する一つの解決策であると思うが、特例法の期限がくるからそれに合わせて合併するということは問題があり、拙速であると思う。
将来、夢のあるような合併に取り組んでいくことが重要であり、山村僻地においてはそうしたことに皆が納得しないまま合併を進めると本当に人はいなくなる合併するのなら、前向きな合併となるように取り組んでいくべきと思う。
- 旧法での合併が一段落したところなので、個人的には次の合併に積極的な関心はないが、交付税や国庫補助金が削減されてきて今後もさらに厳しくなる見込みの中で、真面目に考えている市町村長や議員には合併は避けられない課題だという認識はあると思う。そういう意味で、今後合併は避けられない課題として重要になってくると思う。
地方交付税が少なくなる中で、住民サービスを落とさないためには、スケールメリットを利かせて、行政改革をして、その分を住民サービスの維持向上に振り向けるやり方が大事。
これからのレベルの高い自治体を維持するためには、職員の政策形成能力が大事であり、専門的な能力を持った職員を用い、研修にお金をかけられるような役所にしていく必要がある。
- 旧合併特例法に基づく合併で9市22町村にまとまっており、この段階で一息入れて良いのではないかと思う。合併においてどうやって地域づくり、まちづくりをやっていくのかという議論が置かれていった嫌いがある。全ての合併を否定するわけではないが、もっとゆっくりした議論をし、町村部の不安を解消する中で方向性を見出していくということで、ワンクッション置いた論議をしてほしい。
合併をさらにステップアップするということであれば、県として市町村の位置付けをどうするのかというところを示してもらうことで、それを糧に議論を深めさせてほしい。
[市町村合併を考える際に考慮すべき点、対象市町村の組合せの考え方について]
- 昭和の合併の悪いイメージを持っている人がたくさんいる。そうした人が合併に反対したのでは。
財政や高齢化などの問題が山間部ほどきつくなる中で、山間部を救うためにこそまちの力を生かすというような発想の転換、合併することによって住民サービスは今までより良くなるんだといった議論をもっとすべきだと思う。
合併の組合せについては、大きい川に沿ったところがイメージとしては捉えやすく、一体感を持ちやすい。一体感を持てれば、もっとまちに住む人たちが山村部と交流できるのでは。
宮崎県の合併はスタートが遅かったので、そういう意味では拙速だったということあるかもしれないが、宮崎県はほかより高齢化が進んでおり、今後、県全体がもっと住み良く明るく高齢化を抱えながらもその高齢化を生かしてどういうふうに展望を持つかということを考えるにはあまり早くはない。これで止まったら仕方がない。
- この審議会の役割は、県民に対して妥当性を持ったエリアを示してあげて、それを持って県民のまちづくりの議論を活発にすることが目的であると認識している。
青年会議所としては、市民・町民・村民がどんな生活圏を持っているのかということでまちづくりを考えるので、その生活圏を絵にしたのが、会議資料P55の「ごみ処理広域化計画」のブロック分けになると思う。
この枠組みでもって、合併が一段落したところも自立を選んだところも、そして全ての県民がもう一度新しいまちづくりの検討をしてほしい。県は、生活圏で枠組みを考えてたたき台として示してほしい。
- 一般の企業の社長であれば、一番ここで判断されることになる経常収支比率の推移が4年間でこれほど悪化していることを見ると、決断というものは早くしていく必要があると思う。
大変難しい問題ではあるが、今の小さい子どもたちの30年後、40年後はどうなるのかということも考えていただきたい。
- 先程、山はすごく遅れていてまちはどんどん進んでという話があったが、私たちで言えば「川上」「川下」という言い方になるが、川上のものが川下のことを考える、川下のものは川上の人たちのことを考える。みんなで宮崎県のことを考えていくという形の考え方が望ましい。
- もし合併するとしたら、あれはこっち、これはこっちというのではなく、森林組合の合併圏、JAの合併圏、ごみ処理の広域圏などというのは一つになった方が望ましいかなと思う。
医療も教育も商業も全て田舎の人たちが宮崎に必死に持ってきてお金を置いて帰っている状況にあるので、今度は行政サービスは平等にして、川上に流れていくルートをつくって、隅っこが出てこないような行政を心がけた合併にしていただきたい。
- 宮崎県全体をできるだけ公平化なり平均化して、山村だけがいろいろな悩み事を抱えずに、それを恵まれた都市がどう協働し合うかということを作り上げることにしたいものだと思う。
どういう合併が今後必要なのかということについての具体的な議論をしていく必要があるのではないか。
- 中山間地域に生活する人たちは、歴史的な生活を背負いながらその地域を守っており、それが国土の保全に繋がっている。国土の保全を合併の中に盛り込んでいく必要があると思う。国土の保全が都市の生活に繋がっている。
- 旧法下で、それぞれの市町村が悩みに悩んだ末に結論を出したわけであり、さて次にといってもなかなか難しい。
旧法下では、農協や森林組合の合併や広域連合の枠組みから、日向市から椎葉村までを含めた流域でまず合併協議をすべきと考えたが、抜けていく団体が出て次第に狭められ、将来の目標がない合併だとの声が大きくなり、今回の判断をした。
これからの合併をどうするかについては、原点に戻って将来の宮崎県全体のビジョンとか将来のビジョンとかが描けるような合併でなければ、住民に説明がつかないと思う。
- 人口が都市部に流れていくのは時代の大きなうねり。そういった中で合併が避けられない課題になっている。
役場がなくなることの不安があると思うが、合併特例区や総合支所を置くことで残っていくことになると思う。そういったものを調査研究していくと良いのでは。
旧法下で合併したところには合併特例債があり、宮崎市と同じサービスをするためにそれを使えるが、今度の合併は合併特例債がない。そんな中で市町村を受入れる場合にどうするかとなると、個人的には、後から入ってきたらもう一回1市3町分を割り返して、同じサービスを提供するように新市で議論すべきと思う。
中山間地で初めて合併するところには、県が他のサービスを削って、その分を浮かせて、宮崎県版の合併特例債を出してあげるべきだと思う。
- 前回の合併パターンがどこでどのように作られたかが全然見えてこなかった。そういう面からも十分論議を深める必要がある。
合併パターンの検討においては、地方の文化をしっかり理解し受け止めた上で作るべきであり、産業経済基盤の共有がどれほどかということも調査検討する必要がある。
全面的に合併を否定するものではないが、長い歴史と文化と地域の特徴と個性をしっかり担保できるという前提の中で大きいところと本当の意味での一体感が作られるかどうかという議論を、町民の認識を深めるという前提の中でとりくんでいかなければならない。
- この審議会の役割について確認したい。
また、市町村や住民の世論などをどのように吸い上げたりしていくのか県の考えを聞きたい。
(県回答)
- 市町村合併推進審議会は、県が合併新法に基づき「自主的な市町村の合併の推進に関する構想」を作成するにあたり、意見を聞く機関という位置付け。
- 今回、委員の皆さんから出された意見を伺った上で、次の審議会で構想の素案をお示しし、各委員の意見を伺うことでさらに議論を深めていきたい。
- 新法においても、自主的な市町村合併を進めるという考え方は基本的に同じであり、県が作る構想は市町村の皆さんが議論していただくスタート台である。
それから先は市町村の皆さんに議論していただくことになる。