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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2016年第38号

第18巻38号[宮崎県第38週(9/19〜9/25)全国第37週(9/12〜9/18)]

宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所

宮崎県第38週の発生動向

全数報告の感染症(37週までに新たに届出のあったもの)
  • 1類感染症:報告なし。
  • 2類感染症:結核6例。
  • 3類感染症:腸管出血性大腸菌感染症2例。
  • 4類感染症:デング熱1例、日本紅斑熱1例。
  • 5類感染症:報告なし。

全数把握対象疾患累積報告数(2016年第1週〜38週)

(   )内は今週届出分、再掲

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関からの報告総数は532人(定点当たり18.8)で、前週比84%と減少した。前週に比べ増加した主な疾患は伝染性紅斑で、減少した主な疾患はRSウイルス感染症とA群溶血性レンサ球菌咽頭炎であった。

インフルエンザ・小児科定点からの報告

【RSウイルス感染症】
報告数は65人(1.8)で、前週比64%と減少した。例年同時期の定点当たり平均値*(3.9)の約0.5倍であった。延岡(6.5)、日向(5.3)保健所からの報告が多く、年齢別は1歳以下が全体の約8割を占めた。

【伝染性紅斑】
報告数は38人(1.1)で、前週比146%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.23)の約4.6倍であった。日向(2.5)、日南(1.7)、延岡(1.5)保健所からの報告が多く、年齢別は別グラフに示す。

*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値

基幹定点からの報告

○無菌性髄膜炎:都城保健所から1例報告があった。年齢は0〜4歳であった。

○マイコプラズマ肺炎:日向(4例)、延岡(3例)、宮崎市(2例)、高鍋(1例)保健所から報告があった。0〜4歳が3例、5〜9歳が4例、10歳代が2例、30歳代が1例であった。

保健所別 流行警報・注意報レベル基準値超過疾患

病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成28年9月26日までに検出)

細菌

○複数の患者から百日咳菌(Bordetella pertussis)が分離、検出された。百日咳菌の感染は小児に多いが、今週は1歳以下の乳児〜40代の女性と幅広い年代で検出された。臨床症状を見ると、1歳以下の乳児では特有の症状が見られるが、小児や成人では百日咳特有の症状を示さないこともあるため、気づかずに保菌者となっていることもある。家族や周囲に百日咳の患者が見られた場合には、感染源とならないよう注意が必要である。

ウイルス

○海外渡航歴のある成人男性からデングウイルス3型が検出された。デングウイルスには1型から4型までの4種の血清型が存在し、国内での検出はデングウイルス1型、2型が多くなっている。デングウイルスは、デング熱・デング出血熱の起因ウイルスとして知られているが、感染者の50〜80%は不顕性感染に終わるといわれている。症状は突然の発熱で始まり、頭痛、筋肉痛・関節痛を伴うことが多く、比較的軽症ですむことが多い。デングウイルス初感染の場合、感染した血清型のデングウイルスに対して終生免疫を獲得するが、再感染で終生免疫を獲得した血清型以外のデングウイルスに感染すると、出血傾向やショック症状を呈する重症のデング出血熱となる確率が高くなるため、注意が必要である。

○乳児1名、幼児4名からライノウイルスが検出された。ライノウイルスは風邪の代表的なウイルスとして知られており、ライノウイルスによる炎症は、通常上気道に限局される。しかし、下気道にも炎症が及んでいる場合、気道過敏性の亢進が考えられ、肺炎や気管支炎など重症化する可能性もある。

全国2016年第37週の発生動向

全数報告の感染症(全国第37週)

麻しんの報告数は21例で前週比約0.9倍と減少した。大阪府(11例)、東京都(3例)、神奈川県、和歌山県(各2例)からの報告が多く、九州地方からの報告はなかった。年齢別では20歳代が全体の約4割を占めた。

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比103%とほぼ横ばいであった。前週と比較して増加した主な疾患はRSウイルス感染症とA群溶血性レンサ球菌咽頭炎であった。減少した主な疾患は伝染性紅斑とヘルパンギーナであった。

流行性耳下腺炎の報告数は3,366人(1.1)で前週比108%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.40)の約2.7倍であった。富山県(3.7)、新潟県(3.6)、熊本県(2.6)からの報告が多く、年齢別では4〜5歳が全体の約3割を占めた。

* 過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値

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